イタリアの恋人:アルファロメオ『ジュリエッタ』が誕生70周年を迎える

ジュリエッタ・スプリント
ジュリエッタ・スプリント全 35 枚

1954年4月21日、トリノモーターショーで初公開されたアルファロメオジュリエッタ・スプリント』(Alfa Romeo Giulietta Sprint)は、“ラ・フィダンザータ・ディタリア”=イタリアの恋人として親しまれ、今年で70周年を迎えた。ジュリエッタは、女性の名を冠した初めてのアルファロメオだ。

ジュリエッタ・スプリントのプレゼンテーション(写真のキャプションは1955年となっているがおそらく54年)ジュリエッタ・スプリントのプレゼンテーション(写真のキャプションは1955年となっているがおそらく54年)

ジュリエッタ・スプリントは、自動車史に名を刻むモデルだ。発表されたトリノモーターショーの初日から数日で約2000台の注文が集まり、当時としては驚異的な数字を記録した。発表の2週間前には、ポルテッロ工場の中庭で関係者向けのプレビューが行われ、シェイクスピア劇のロミオとジュリエットに扮した2人の俳優がヘリコプターから飛び降りるという演出がなされた。

1950年代初頭、アルファロメオは、ファリーナ、ファンジオによって1950、51年と2年連続F1チャンピオンを獲得した後、「技術、性能、スタイル」というアルファロメオの成功要因を維持しながら、より幅広い消費者に訴えかけるモデルの導入を考えていた。その結果、低く構えたミニマリスティックな側面と、後方に大きく傾斜したラップアラウンド・リアウィンドウを持つ、2ドアファストバッククーペが誕生したのだった。デザインは、アルファロメオ・チェントロスティーレの原案から、フランコ・スカリオーネ率いるベルトーネが開発した。

1954年トリノモーターショー1954年トリノモーターショー

高性能コンパクトクーペ市場に参入したアルファロメオは、このジュリエッタ・スプリントによって技術と性能について市場の基準を書き換えた。ジュリエッタのエンジンは、当時の量産エンジンとしては革新的な全軽合金製の1290ccツインカム4気筒で、最高速度約170km/hを実現し、上位カテゴリーの車両に匹敵する性能を持っていた。特に「ヴェローチェ」バージョンは、1956年のミッレミリアでクラス優勝を果たすなど、世界中のサーキットや道路で数々の勝利を収めた。

スプリント(クーペ)からはすぐに派生車が誕生した。ベルリーナ(セダン)、ピニンファリーナがデザインしたスパイダー(ヴェローチェ仕様もあり)、ベルトーネによるスプリント・スペチアーレ、ザガートによるSZなど、さまざまなバリエーションが加わった。「プロミスクア」と名付けられたステーションワゴンも企画されていたという。

1290ccエンジン1290ccエンジン

ジュリエッタ・スプリントは、経済成長の象徴として消費者に受け入れられた。アルファロメオで初めて6桁の生産台数を達成し、ポルテッロ工場から10万0001台目のジュリエッタ・セダンが生産ラインを出た際には、映画監督フェデリコ・フェリーニのミューズで妻であるジュリエッタ・マシーナが現場を訪れ、生産を祝った。1954年から1965年までに、全バリエーション合わせて17万7690台が生産された。

時を経ても色褪せない魅力をもつジュリエッタ・スプリント。70周年を祝うため、アルファロメオ・チェントロスティーレは特別なロゴを制作している。

ジュリエッタ・スプリントジュリエッタ・スプリント

《高木啓》

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