三菱自 加藤社長「これまでの三菱のブランド力を考えると、今のアセアンの状況は物足りない」

三菱自動車の加藤隆雄社長
三菱自動車の加藤隆雄社長全 8 枚

三菱自動車が成長ドライバーと位置づけているアセアンで苦戦している。“アセアンに強い三菱”と言われただけに、加藤隆雄社長も「これまでの三菱のブランド力を考えると、今のアセアンの状況は物足りない」と不満げだ。


5月8日に発表した2024年3月期の連結決算によると、グローバル販売台数は前期に比べて1万9000台(2%)減の81万5000台だった。『アウトランダー』シリーズが牽引した北米が3万台(23%)、『デリカミニ』が好調だった日本が1万9000台(21%)増加したが、アセアン、豪州、欧州、中国、中南米などそれ以外の市場で販売がが減少し、全体を押し下げてしまった。

◆タイ、インドネシアで全体需要が減少

特にアセアンについては、2万3000台(9%)減少の23万9000台だった。新型車の『トライトン』と『エクスフォース』をタイ、インドネシアを皮切りに投入したが、両市場とも大きく全体需要が停滞したことが響いた。

例えば、タイは期初に5万8000台を見込んでいたが2万9000台に終わってしまった。インドネシアも同様で11万2000台の計画に対して7万8000台だった。ベトナムとマレーシアについてもそれぞれ4万5000台、2万5000台の計画に対し、3万台、2万台という状況で、唯一フィリピンだけが7万台の計画に対して8万1000台と増加した。

◆金利高になるとアセアンの状況が悪化

「金利が高く、為替が円安に大きく振れると、われわれのビジネスモデル上、北米事業が儲かっていく構図になる。その一方で、金利高になると、アセアンの経済状況がきわめて悪化する。タイバーツが高くなってくると、タイから輸出をしているので、儲からなくなってしまう。今のようなビジネス環境だと、どうしてもアセアンでのビジネスが難しくなる」と加藤社長は解説し、こう付け加える。

「アセアンは今儲かっているとか、儲かっていないとかということに関係なくしっかりと強化していく。そのうち、金利も下がって、為替ももう少し正常化すれば、アセアンで儲けるという構図になる。アセアンには一番力を入れていく」

◆市場の回復には時間がかかりそう

2025年3月期の販売台数については、3万8000台増の27万7000台を見込んでいるが、タイ、インドネシア、ベトナムの市場が回復するには一定の時間を要すると見ている。ただ、トライトンやエクスフォースが堅調な受注を得ているので、販売台数が増加するという。


《山田清志》

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