日産、大幅な増収増益でも喜ぶことができない厳しい現実

横浜市にある日産自動車の本社
横浜市にある日産自動車の本社全 12 枚

日産自動車が5月9日に発表した2024年3月期の連結決算は、売上高が前期比19.7%増の12兆6857億円、営業利益が同50.8%増の5687億円、当期純利益が同92.3%増の4264億円と大幅な増収増益だった。


◆日産ネクストは自己評価「B」

「日産ネクストで、3つの重点分野で事業構造改革に取り組み、生産能力と商品ポートフォリオをそれぞれ20%削減して最適化し、販売の質を向上させて、アライアンスを新たなステージへと移行させた。2023年度に日産は財務実績を着実に向上させた」

内田誠社長は今回の決算についてこう評価した。確かにこの業績を見れば、そうかもしれない。4カ年の事業構造改革計画「日産ネクスト」を発表したときの2020年度は、営業損益と当期純損失がそれぞれ1506億円、4486億円の赤字で、そこから業績を大きく改善したのは評価されるだろう。内田社長も自己採点でABCDの評価で「B」と合格点をつけている。

◆リカバリーのペースが遅い

一方で内田社長は「日産ネクストで達成できなかった課題も残っている」と話す。その一つがグローバル販売台数だ。2023年度は344万2000台で、期初目標の400万台から大きく減らし、下方修正した355万台も達成できなかった。

「コロナ禍以前の2018年から比較すると、われわれはまだまだリカバーのペースが低い」と内田社長も話す。2018年3月期のグローバル販売台数は過去最高の577万台で、6割の水準だ。

また、営業利益率にしても4.5%。トヨタ自動車が11.9%なので、半分以下だ。三菱自動車の6.9%よりも低く、OEMメーカーで最下位争いをしている状況である。これでは、大幅な増収増益でも、手放しで喜ぶことはできないだろう。

今後は台当たりの利益をさらに上げ、販売台数を大きく伸ばすことが重要だ。3月25日に発表した3年間の経営計画「The Ark」では、26年度までにグローバル販売で100万台増と営業利益率6%以上を目指す。

◆ファーストステップとしてきちっと

この達成に向け、24年度のグローバル販売計画を前期比25万8000台増の370万台に設定した。「ファーストステップとして、市場が若干伸び悩んでいるところもあるが、きちっとやっていく。これが一番重要だと思っている」と内田社長は目標達成に意欲を示したが、その道のりは厳しいといった見方が少なくない。


《山田清志》

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