スバル 大崎社長「当社はマルチパスウェイをやるような企業規模ではない」

東京・恵比寿にあるスバルの本社ビル
東京・恵比寿にあるスバルの本社ビル全 6 枚

SUBARU(スバル)は“選択と集中”が最も成功している1社と言っていいかもしれない。車種は四輪駆動車を、市場は日本と米国に集中、その結果、営業利益率は高く、OEMメーカーの中ではトヨタ自動車に次いで2番目だ。


◆米国市場の販売台数が7割超

5月13日に発表した2024年3月期の連結決算は、売上高あたる売上収益が前期比24.6%増の4兆7029億円、営業利益が同75.0%増の4681億円、当期純利益が同92.1%増の3850億円と大幅な増収増益だった。営業利益率も10%と同業他社がうらやむ数字だ。

グローバル販売台数は97万6000台で、うち日本が9万9000台、米国が69万5000台となっており、この2カ国で8割以上を占める。米国だけでも7割超という具合だ。米国1本足と心配する声もあるが、この10年間、米国がスバルの業績を大きく牽引してきた。

◆選択と集中が成功

スバルと言えば、かつていろいろなビジネスを展開してきた。例えば、風力発電設備や清掃ロボット、地雷探査ロボットといったもので、とても業績に寄与していると思われなかった。2010年代にそれらのビジネスから撤退。軽自動車にしても、根強いファンがいたものの、2008年にその生産から撤退した。「軽自動車は一度も黒字にならなかった」と当時の役員はこぼしていた。

市場にしても、中国に力を入れようと現地生産を同国政府に働きかけたものの、なかなか認可がおりなかった。そこで、米国市場での販売に注力。すると、四輪駆動車がスノーバルト地帯で好評を博し、徐々にスバル車の評判が米国各地に広がっていった。その結果、20年以上にわたって赤字体質に苦しんでいた現地の生産工場SIAの稼働率が上がり、収益を大きく上げるようになった。

◆電動化でも独自路線、スバルの企業規模でできること

大きな背伸びをせず、分相応の経営に徹する。これが今のスバルの好業績につながっていると言ってもいい。電動化にしても、独自の戦略を進めている。「うちはマルチパスウェイという形でカーボンニュートラルの取り組みをやる企業規模ではない。総合的に考えて、やはりわれわれとしてはバッテリーEVがカーボンニュートラルの解決策の一つだと考えている」と大崎社長は話す。

そのBEVにしても、「いわゆる黎明期には非常に先行きを読むのが難しい状況で、スバルの企業規模からしても単独では非常にリスクが大きい。アライアンス先であるトヨタ自動車と共同開発することによって、リスクを軽減しながらやっていくのがいいのではないかと合意して進めていく」という。


《山田清志》

アクセスランキング

  1. 洗車で「水シミZERO」、水道に取り付けるだけで純水を生成…サンコーが発売
  2. 【アウディ A5セダン 新型試乗】4ドアクーペ風にあえてしなかった見識に拍手…島崎七生人
  3. スズキ『アルトラパン』が10年目のビッグマイチェン! 開発者が語る「長く愛される理由」と、それでもデザインを大刷新したワケ
  4. 極限の軽量ホイール革命!レイズ ボルクレーシング『CE28N-plus SL』が示す究極の走行性能PR
  5. 台風や秋雨対策に、大型サイドミラー対応の超撥水ガラスコート「ゼロワイパー」発売
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る