フェラーリ『12チリンドリ』日本上陸…フェラーリと言えば12気筒、12気筒と言えばフェラーリ

フェラーリ12チリンドリ
フェラーリ12チリンドリ全 21 枚

1947年のフェラーリ創業以来、跳ね馬のエンスージアストが胸を高鳴らせてきたV12エンジンを搭載した最新モデルが、日本に上陸した。フェラーリ・ジャパンは6月11日、フェラーリ12チリンドリ』(ドーディチ・チリンドリ、Ferrari 12Cilindri)を発表した。

車名のドーディチ・チリンドリはイタリア語で「12気筒」を意味する。12気筒エンジンの決定版(おそらくは最終形態)だと主張するネーミングだ。その12チリンドリのエンジンは自然吸気の65°V12、総排気量は6496cc、最高出力830cv、最大トルクは678Nm。


◆ジェントルマンドライバーのために

フェラーリ・ジャパンのドナート・ロマニエッロ代表取締役社長は発表会で「フェラーリのV12エンジンは、1946年にイタリア、マラネッロ本社の工場から轟音を上げながら世に出た最初のエンジンだ。日本においてもV12は、1960年代に『275GTB』が初めて正規輸入されて以来の歴史を持つ」と説明。

日本発表会では、フェラーリS.p.A.からヘッド・オブ・プロダクトマーケティングのエマヌエレ・カランド氏も登壇し、この特別な2シータークーペの魅力を解説した。

「12チリンドリは、フェラーリの哲学のピュアな具現化だ」とカランド氏は言う。12チリンドリは、1950~60年代のグランドツアラーをインスピレーションの源として開発された。ドライビングのエンスージアストだけでなく、パフォーマンス、快適性、デザインの新スタンダードを求める顧客にも向けられている。

「フェラーリのDNAを明確に理解しているジェントルマンドライバーのために設計された、まさにひと握りの人のためのモデルだ」

フェラーリ12チリンドリフェラーリ12チリンドリ

◆V12エンジンは基本設計が1946年?

エンジンについてカランド氏は、「フェラーリの歴史は1946年に製作されたV12エンジンから始まったとも言える。創業者のエンツォ・フェラーリが『以後のエンジンは派生』と言ったように、フェラーリの価値観を守りながら進化を続けてきた」と説明する。

搭載される「F140HD」エンジンは自然吸気V12の新バージョンだ。最高出力は830psに達し、最高回転数は9500rpmに引き上げられた。トルクは最大トルクの80%を2500rpmから発揮する。エンジン制御ソフトウェアは、ドライバーが選択したギアに応じて最大トルクを調整し、スムーズなギアシフトを可能とした。

このエンジンは、『812コンペティツィオーネ』のエンジンで採用された技術を進化させたもので、チタン製コンロッドや軽量化されたアルミニウム合金のピストンなどが特徴だ。スライディング・フィンガーフォロワー式のバルブトレインは、F1での経験が活かされた。

エンジンサウンドについても、吸排気ダクトの設計が改良され、フェラーリならではのV12サウンドを車内でも楽しめるという。

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◆最近のフェラーリとは違うデザイン

デザインは、フラヴィオ・マンゾーニ率いるフェラーリ・スタイリング・センターのデザインチームが手がけた。12チリンドリのデザインはクリーンな構成で、各パーツのフォルムを強調しながらも、全体をシームレスにまとめている。

デザイナーたちは、従来のフェラーリのミッドフロントV12エンジンモデルのスタイリングルールを書き換えた。812コンペティツィオーネの造形ルールから離れ、代わりに洗練された要素を用い、いっぽうでフェラーリのスタイリングの統一感を保つことにも成功した。

さらに12チリンドリのデザインでは、自動車の伝統的なデザイン要素とは異なるデザイン要素を模索することも目標のひとつだったという。例えばフロントグリルの代わりに1本の帯があり、ヘッドライトはその中に組み込まれている。

ヘッド・オブ・プロダクトマーケティングのカランド氏は、(1)SFふうのデザイン、(2)黒いパーツとボディカラーとの塗り分け、(3)空力特性、の3点を12チリンドリのデザインの特徴としてあげた。

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◆デュアルコックピット・アーキテクチャー

12チリンドリのインテリア・デザインは、3つの階層に分かれている。第1のレベルはダッシュボード上面で、左右へと回り込んでドアパネルの内張りに溶け込んでいる。次は中央部、3つ目はフットウェルとシートを含む部分だ。

ダッシュボードは、トリムで覆われた上部のボリュームと、技術的な機能が集まる下部(コクピット全体でいうと中段)とがはっきり分かれており、同時に横への広がりを強調している。各レベルは明確に区切られ、色と素材の組み合わせでインテリアのデュアルコックピットの効果も強めている。デュアルコックピット・アーキテクチャーは、助手席も運転席ふうにデザインする手法で、近年のフェラーリでは『ローマ』や『プロサングエ』に採用されている。

室内には3個のディスプレイが設置された。ドライビングと車両ダイナミクスに関する情報は、ドライバー正面の15.6インチ・ディスプレイに表示される。車両の主な機能は、ドライバーからもパッセンジャーからも手が届く、中央の10.25インチ・タッチスクリーンで操作できる。助手席正面には8.8インチ・ディスプレイがあり、パッセンジャーは常にドライビング・エクスペリエンスに関与できるので、本当のコドライバーのような感覚が期待できるだろう。

オーディオは、Burmesterと共同で開発したシステムがオプション設定されている.15個のスピーカーで構成され、1600Wの大出力だ。

フェラーリ・ジャパンでは媒体向け発表会の後、「Ferrari 12Cilindri Japan Premiere」を東京都内にて6月11日から3日間にわたり開催し、招待客向けに披露する。本国イタリアではクーペの「12チリンドリ・ベルリネッタ」とオープンの「12チリンドリ・スパイダー」が発表されたが、日本で披露されたのはクーペだ。

Ferrari 12Cilindri Japan PremiereFerrari 12Cilindri Japan Premiere

《高木啓》

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