史上最短で終了したニュル24時間耐久レースに雪辱を誓う──トーヨータイヤ「PROXES Slicks」が描いた頂点への道

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ADAC RAVENOL 24h Nürburgring
ADAC RAVENOL 24h Nürburgring全 128 枚

“世界で最も過酷な24時間レース”として、クルマ好きなら誰しも一度は耳にしたことがあるだろう。そんな厳しい耐久レースとして知られるのが、ドイツ・ニュルブルクリンクで開催される「ADAC RAVENOL 24h Nürburgring」(ニュルブルクリンク 24時間耐久レース) だ。

例年5月から6月頃に開催される当レースの第52回大会が、5月30日から開催された。毎年世界中から熱狂的なレースファンが集うことでも有名で、レースウィークの月曜日からコースサイドでキャンプがはじまるほど。今年は過去最高の観客動員数で、なんと24万人も集まったというのだから驚くほかないだろう。

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そんな過酷さを極めるニュル24時間耐久レースに、本気でクラス優勝を目指しているチームがある。その正体は「トーヨータイヤ(TOYO TIRES)」がサポートする「TOYO TIRES with Ring Racing」だ。

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世界中のGT4マシンがしのぎを削るSP10クラスに、日本のマシン『トヨタ GRスープラ GT4 EVO』を2台体制で投入(#170、#171)、装着するのは日本のトーヨータイヤ「PROXES Slicks(プロクセス スリック)」、さらにニュルマイスターの日本人ドライバー「木下隆之」選手の参戦という“日本代表”の力を知らしめるべく挑戦したのだ。

Michael Tischner選手(左)、木下 隆之選手(中央)、Heiko Tönges選手(右)Michael Tischner選手(左)、木下 隆之選手(中央)、Heiko Tönges選手(右)

今回はトーヨータイヤのニュル24時間耐久レースの参戦模様を、現地レポートを交え挑戦の裏側までレポートしていく。

ゲームチェンジャーとして追う側から追われる側へ、本気で優勝を目指すトーヨータイヤ陣営

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今年のトーヨータイヤ陣営を一言でいうのであれば「絶好調」という言葉で間違いないだろう。年間を通じてニュルで開催される「NLS耐久シリーズ」では、現在シリーズランキング1位、2位を快走。さらにニュル24時間耐久レースの前哨戦として開催された「ADAC 24h Nürburgring Qualifiers」(ニュル24時間予選レース)でも、第1レースで1-2フィニッシュという素晴らしい成績を残している。

コース上で欧州車勢の速さに手を焼くGRスープラ GT4 EVOだが、木下選手をはじめとするドライバー陣の巧みなドライビングとPROXES Slicksの強力な性能を武器に、今シーズンは初戦から速さを見せているのだ。

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その証拠にニュル24時間予選レースでは、#171が予選のクラッシュから最後尾でのスタートを余儀なくされたが、そこから怒涛の追い上げを開始。まるで水を得た魚のように駆け抜け、2位まで順位を押し上げてフィニッシュしたのだ。

これまでに地道な努力を重ね、今年5年目の挑戦となるトーヨータイヤの目標はただ1つ。それこそがニュル24時間耐久レースでのSP10クラス優勝だ。

5年間の開発の集大成で挑んだニュル24時間耐久レース、あまりに残酷なニュルウェザーの洗礼

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5月30日に開幕したニュル24時間レースだが、驚くことが1つある。レースウィークの大まかなスケジュールは30日に予選が2回(昼・夜)で合計5時間程度、31日に約1時間弱の予選が1回の計3回の走行のみ*で、決勝レースの24時間耐久レースへと進行する。つまり練習走行の時間は確保されておらず、合計で僅か6時間程度の練習走行を兼ねた予選セッションでタイムを残す必要があるのだ。*上位25台で行われるトップクオリファイを除く

24時間のレースディスタンスに対して予選の順位がさほど重視されていないという側面もあるが、アクシデントの可能性などを考えると可能な限り前目のポジションからスタートしたいところ。しかし速さの異なる全130台、SP10クラスには15台のGT4車両がエントリーしておりアタックするだけでも一苦労だ。1日目に予定通りのプログラムを遂行し好位置につけたTOYO TIRES with Ring Racingは、2日目を車両の整備に専念。結果、#170が6番手、#171が11番手グリッドを獲得した。

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6月1日の16時に幕開けとなった決勝レース。レースウィークを通して不安定であった天候に、各チームも頭を悩ませたことだろう。トーヨータイヤ陣営は作戦として#170がレインタイヤ、#171がスリックタイヤでフォーメーションラップに入っていったところ、スタートが近づくにつれて段々と雨が強まる展開に。

先陣を切る木下選手のロケットスタートに期待していたが天候は味方せず…そこで#171はスタートラップで緊急ピットインを行い、レインタイヤへと交換してトラフィックのクリアな状況で後ろから追い上げる作戦へと切り替え、猛ペースでの追い上げを開始する。

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一方レインタイヤでスタートした#170は順調にペースアップし、6位スタートながら序盤からSP10クラスの首位に浮上。優勝に向けて、ライバルチームを徐々に引き離していきたいところであった。

しかしレース開始から2時間時点で、#170に駆動系のマシントラブルが発生。残り時間を考えると不安を抱えての走行はリタイアに繋がるため、緊急ピットインでマシンの修復を試みる。Ring Racingのメカニックたち迅速な作業で送り出し、約12分の最小限のロスでコースへ復帰を果たした。

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#170、#171ともに追い上げて上位を目指していたところ、約8時間経過の地点で“霧”が段々と夜のノルドシュライフェに立ち込めていく。その後濃霧で視界が確保できなくなったため、深夜12時を迎える前に赤旗で一時中断。レース再開は翌朝以降の天候次第での判断となった。

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しかし、無情にも天候は回復することなく、赤旗時点での順位のままコース確認を兼ねたフォーメーションラップを行ってレースは終了。最終的なSP10クラスのリザルトは#171が5位、#170が6位で、52回目を迎えたニュル24時間レースは史上最短の走行時間で幕を閉じた。

タイヤには絶対的な信頼、全力を出しきれなかった悔しさと光るスピードに自信

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あっけなく終わりを迎えたニュル24時間レース。今回はレインタイヤだけでなく、実はスリックタイヤも新スペックのタイヤが投入された。しかもこの新スペックの「PROXES Slicks」はもこれまでのタイヤよりも大幅なペースアップが見込めるという自信作。

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実際に今回のニュル24時間レースでも、序盤はレインタイヤでスタートしたものの、段々と路面が乾いていくコンディションでスリックタイヤへとスイッチ。新スペック投入の効果もあり、これまでにないペースでノルドシュライフェを快走する走りをみせてくれた。

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そして今回投入された新しいレインタイヤも、天候が不安定・かつ気温も低い状況で素晴らしい走りを披露。今回は気まぐれなニュルウェザーに振り回されてしまうことになったが、逆にこれまではテストのタイミングを含めてほとんどがドライコンディションだったため、ようやく満を持しての新スペック投入となった。

技術開発本部OEタイヤ開発部MS商品開発グループ グループ長 富高 祐氏技術開発本部OEタイヤ開発部MS商品開発グループ グループ長 富高 祐氏

結果的にスリック・レインともに強力なスペックへと進化し、TOYO TIRES with Ring Racingの速さを支える武器としてドライバーとチームの信頼も厚い。これまで約5年に渡って地道な開発をつづけてきた、トーヨータイヤ開発陣の努力が実を結んだ結果だろう。タイヤの進化を含めて、Ring Racingの代表を務めるUwe Kleen監督に話を伺った。

TOYO TIRES with Ring Racing Uwe Kleen監督TOYO TIRES with Ring Racing Uwe Kleen監督

Uwe Kleen監督のコメント
「今回のニュル24時間を振り返ると、#170はクラスをリードするポジションでスタート。その後は小さなマシントラブルで順位を落としました。#171もタイヤ選択が裏目にでたものの、最低限表彰台までに挽回できるペースはあったと思うので、レースが約1/3で終了してしまったことは本当に残念でした」

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「PROXES Slicksは数度のテストを経て投入しましたが、本当に完璧で素晴らしいタイヤです。今後はさらにその速さを活かして、戦うことができると思います。新しいレインタイヤも完璧に近い仕上がりでした。ストラテジー担当がクオリファイの走りを通じて使用を決定し、結果的にパーフェクトな走りを見せてくれました。これまでのタイヤと比較してとても大きく進歩したと思います」

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「木下選手のドライビングは、今回もとてもよかったです。もちろんドライ路面は速いし、これまで2年間走行がなかったことを考えると、ウエットも驚きのペースでした。経験を積み重ねれば、さらにウエットでも速く走ることができるでしょう」

「次のニュル24時間レースは、もっといい天気になるといいね。冗談はさておき、絶対に速さを見せられると自信をもっています。そして今リードしているNLS耐久シリーズにおいてSP10クラスのシリーズチャンピオンを獲得するためにプッシュして戦い続けます!」

“強者”として戦える力、武器となる“速さ”を身につけた今、NLS年間チャンピオンを目指し走り続ける

ADAC RAVENOL 24h NürburgringADAC RAVENOL 24h Nürburgring

惜しくもニュル24時間耐久レースでは、狙っていた優勝には手が届かなかったTOYO TIRES with Ring Racing。しかし冒頭で話したとおり、今シーズンはNLS耐久シリーズで好走を見せている。なんとしても年間シリーズを制覇したいトーヨータイヤ陣営としては、折り返しとなるシリーズ後半戦で幸先の良いスタートを決めたいところ。

後半戦最初のレースとなるNLS3は、今週末の6月22日に決勝レースが開催される。ニュル24時間耐久レースが不完全燃焼だっただけに、チーム・ドライバーともに全力の挑戦を見せてくれることだろう。

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日本から遠く離れた異国の地で戦いを続けるTOYO TIRES with Ring Racing、そしてその足元を支える「PROXES Slicks」の活躍に引き続き注目してほしい。

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《取材協力:トーヨータイヤ》

《後藤竜甫》

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