産学連携:日産と神奈川工業高校、次世代モビリティエンジニア育成へ

次世代モビリティエンジニア育成コンソーシアム
次世代モビリティエンジニア育成コンソーシアム全 7 枚

神奈川県立神奈川工業高等学校(神奈川工業高校)、日産横浜自動車大学校(日産横浜校)、日産自動車の3者は7月4日、自動車業界における競争力強化を目的とした産学連携協定を締結し、「次世代モビリティエンジニア育成コンソーシアム」を設立した。3者が同日、発表した。

◆7年一貫プログラム

自動車業界は「100年に1度の大変革期」と称され、EV(電気自動車)、自動運転、コネクテッド技術などの革新が進むいっぽう、国内では少子化や理系離れといった課題がある。本コンソーシアムは、自動車産業発祥の地の一つである神奈川県で、工業高校、専門学校、企業が連携し、一貫した7年間の育成プログラムを運用することで、次世代に対応できるモビリティエンジニアを育て、自動車業界の成長に貢献することをめざす。

コンソーシアムでは、(1)高度化・細分化する社会に対応、(2)高校・専門学校・企業の連携、(3)体験を通しての好奇心・興味喚起、(4)早期から業界の情報発信などによって、「Society5.0」で活躍できる次世代モビリティエンジニアを育成する。より具体的には実験部・開発エンジニア、工場完成検査エンジニア、整備士・高度故障診断士を育成する。

◆2つのステップで人材育成

コンソーシアムの人財育成計画は、2つのステップを予定している。

●ステップ1

神奈川工業高校での3年間で、自動車業界への認知拡大と好奇心の醸成を目的に、日産自動車および日産横浜校からさまざまなプログラムを提供する。自動車産業やモータースポーツの歴史を学べる見学会、日産テクニカルセンターの見学、現役エンジニアとの座談会、最先端技術の授業などを通じて、モビリティエンジニアになるための素養を醸成し、業界への興味を喚起する。

●ステップ2

日産横浜校の4年間では、モビリティエンジニアに必要な知識とスキルを習得する。日産自動車直営の整備専門学校ならではの教育環境、最先端の技術を備えた実習車や特別授業により、自動車業界で戦力となるモビリティエンジニアを育成する。最終的には高度故障診断の実践的スキルを持った国家一級自動車整備士の資格を取得し、自動車業界で活躍できるエンジニアを育成する。

コンソーシアムに基づくカリキュラムは、神奈川工業高校の機械科生徒、現1年生80人を対象に開始する。神奈川工業高校から日産横浜校への進学実績は毎年1~5人。またコンソーシアムによって卒業生の日産自動車や関連会社への就職が優遇されることはないが、人材としてはレベルの向上が期待できる。日産横浜校の井出泰男校長によると、「日本の自動車産業従事者は550万人、そのうち整備士は33万人、さらに日産関連の整備士は1万1000人いる」そうだ。


《高木啓》

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