高速道路の深夜割引を見直し…車両の滞留解消、距離の上限設定 2024年度末から

東京本線料金所前の滞留状況
東京本線料金所前の滞留状況全 4 枚

NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本は、高速道路の深夜割引について、割引額の算出方法など見直し、2024年度末頃に運用を開始する予定だ。7月12日に内容を発表した。

今回の見直しは、現行の深夜割引適用待ちの車両の滞留などの課題を踏まえ、割引適用時間帯に走行した分の料金を対象として割り引くことや、トラック運転者の負担軽減のため、割引適用時間帯の拡大などを行なう。

課題:割引適用待ち車両の滞留が発生
課題:運転者らの労働環境の悪化

深夜割引の目的は、一般道の沿道環境を改善するため、交通容量に余裕のある高速道路の夜間利用を促進すること。現行の割引は、0時から4時の間に高速道路料金所を通行するETC車の料金が3割引だ。対象時間内に料金所を通行すれば、対象時間前後の連続走行も合わせて料金が割引きされる。

このときの課題として、0時前に料金所手前で割引適用待ち車両の滞留が発生している。また、割引適用の走行距離を伸ばそうとするために、長時間の連続走行といった運転者らの労働環境の悪化、高速走行のような無謀な運転が発生している。

見直し:割引対象時間帯の走行分のみ3割引
見直し:割引対象時間帯を22時から翌5時に拡大

見直しでは、料金所手前での車両の滞留を解消するために、対象時間帯の走行分のみ料金を3割引とする。同時に対象時間帯を22時から翌日5時に前後拡大し、走行可能な距離を増やす。

上限距離の設定

割引対象距離を増大させることを目的とした速度超過などの無謀な運転を抑止するために、割引対象距離の上限を設定する。割引の対象となる距離の上限は、利用時間と利用時間1時間あたりの上限距離で設定される。1時間あたりの上限距離は、車種によって異なる。

割引の対象となる距離の上限は、利用時間が4時間以内の場合:(利用時間)×(上限距離)、4時間~4時間30分の場合:(4時間)×(上限距離)、4時間30分~7時間の場合:(利用時間−30分)×(上限距離)。上限距離は利用時間1時間あたり、大型車以上の貨物自動車等は90km、それ以外の車両は105kmだ。利用時間4時間以上の場合は、無休憩運転を抑制するため、最大30分の休憩を加味した。

割引額は後日還元

見直しに際して、深夜割引を「ETCマイレージサービス」または「ETCコーポレートカード」への後日還元型による割引制度に変更する。

割引計算の方法(走行の記録)は、従来の料金所通過時間に加え、高速道路内にETC無線通信専用アンテナを設置して、各アンテナから車両毎の通信記録を収集し、それらのデータを基にした割引対象距離により深夜割引の還元率を算出する。車両毎の通信データの処理に時間を要することから、現行の平日朝夕割引と同様の、後日還元型による割引制度に変更する。

割引の対象路線は現行から変更はない。

NEXCO各社は高速道路の深夜割引の見直しについて2023年1月に方針を発表し、ユーザーから意見を募集するとともに、国など関係機関と調整を進めてきた。今後は必要な準備を進め、道路整備特別措置法第3条に基づき国土交通大臣あて申請し、事業許可を受けたうえで、2024度末頃に運用を開始することになる。

《高木啓》

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