日産自動車と本田技研工業(ホンダ)は、3月15日に締結した覚書に基づき、自動車の知能化・電動化時代に向けた戦略的パートナーシップの協議を進めてきた。このたび、次世代ソフトウェアデファインドビークル(SDV)向けプラットフォームの基礎的要素技術について、共同研究契約を締結した。また、戦略的パートナーシップの深化に関する覚書も新たに締結した。
◆次世代SDVプラットフォーム領域
8月1日の記者会見で日産自動車の代表執行役社長兼最高経営責任者である内田誠氏は、「キーとなるのはソフトウェアだ。ソフトウェアを進化させることで車やサービスの価値が高まり、ユーザーと車との関係が一新される」と強調した。
日産とホンダはカーボンニュートラルおよび交通事故ゼロ社会の実現に向け、EVやSDVの普及と進化に注力している。特に、自動運転やコネクティビティ、AIなどのソフトウェア領域は技術革新が速く、両社のリソースを融合することで相乗効果が期待される。
次世代SDVプラットフォームの基礎的要素技術の共同研究は、まず1年を目途に基礎研究を終えることをめざし、その後の量産開発も視野に入れている。本田技研工業の三部敏宏取締役代表執行役社長は「顧客のニーズが多様化しており、それに答えるためにはソフトウェアの自由度が必要。状況変化のスピードが加速している時、ハードウェア中心の変化ではそれに追いつかない。共通のSDVプラットフォームに各社がアプリを追加したりアップデートしたりする」と述べる。
また三部社長は「SDVの進化を左右する要素は『技術者の質と数』、『データ量』、『計算処理能力』、これらの掛け算だ。個社で取り組むよりパートナーシップが有効だ。両社の考え・思想が一致した。すでに研究はスタートしている」と語った。
◆戦略的パートナーシップ深化
EVのキーコンポーネントであるバッテリーについても、両社間で仕様の共通化や相互供給を検討している。これにより、投資負担やリスクの分散、コストダウン効果が期待される。両社がそれぞれ供給を計画しているバッテリーが、どちらの車にも搭載できるように、両社のEV向けバッテリーセル・モジュールの仕様について、中長期視野で共通化を図ることに基本合意した。
また、次世代EVに搭載予定のe-Axleについても、両社は中長期的に仕様の共通化を目指し、モーターやインバーターの共用に合意した。さらに、両社がグローバルで販売するモデルの相互補完についても協議を進めており、短期的な対応として対象モデルや地域に基本合意している。