100年前のレーシングカーを復元、100kmを走る…伝説級のメルセデスベンツ

100年前のレースで優勝したメルセデスベンツの「2リットルレーシングカー」
100年前のレースで優勝したメルセデスベンツの「2リットルレーシングカー」全 3 枚

メルセデスベンツは、米国「ペブルビーチ・オートモーティブ・ウィーク2024」でのクラシックカーによる100kmツアーに、1924年に開催された伝説的レース「タルガ・フローリオ」で優勝したレーシングカーを出走させた。

メルセデスベンツの100年前のレーシングカー

1924年に開催されたシチリアの伝説的なタルガ・フローリオレースで優勝したメルセデスの「2リットルレーシングカー」が、100年の時を経て復元された。メルセデスベンツ・クラシックは、この歴史的な車両を極めて忠実に復元することに成功した。

1920年代初頭、タルガ・フローリオはヨーロッパのモータースポーツ界で最も重要なイベントの一つだった。第一次世界大戦後、ドイツ企業は当初ヨーロッパグランプリ選手権への参加を禁止されていたため、このレースは彼らにとって重要な機会だった。メルセデスベンツは1921年に総合2位、1922年にはプライベーターがメルセデスで優勝した。

1924年、メルセデスは新しいレーシングカーで再び参戦した。この車両はポール・ダイムラーの設計に基づき、1923年4月からダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフトの技術部長兼開発責任者を務めていたフェルディナンド・ポルシェによってレース仕様に仕上げられた。

100年前のレースで優勝したメルセデスベンツの「2リットルレーシングカー」100年前のレースで優勝したメルセデスベンツの「2リットルレーシングカー」

レーシングチームはシュトゥットガルトからシチリアまで、4台の2リットルレーシングカーで自走して移動した。メルセデスはこのうち3台をタルガ・フローリオとコッパ・フローリオにエントリーした。特筆すべきは、イタリア車に通常使用される赤い塗装が施されていたことだ。これはレース中にイタリアのファンからの干渉を防ぐためだった。当時、ドイツのレーシングカーは通常白く塗装されていた。

メルセデスのワークスドライバー、クリスチャン・ヴェルナーは、432km(108kmを4周)の距離を6時間32分37.4秒で走破し、タルガ・フローリオで初のイタリア国外のドライバーによる勝利を収めた。ヴェルナーは2リットル以下の排気量クラスでもチームを率いてトリプル勝利を達成した。

総合順位では、クリスチャン・ラウテンシュレーガーが11位、アルフレッド・ノイバウアーが16位に入った。メルセデスチームは最優秀ワークスチームとしてコッパ・テルミニを受賞した。さらにヴェルナーは、コッパ・フローリオの分類のためにもう1周を走り、8時間17分1.4秒でこのコンテストも制した。チームメイトのラウテンシュレーガーは9位、ノイバウアーは13位でフィニッシュした。

この復元プロジェクトは、メルセデス・ベンツの歴史と技術力を象徴するものであり、クラシックカーファンにとっても大きな喜びとなる、としている。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. カローラクロスと立場が逆転、だからこそ生まれた「斬新セダン」のデザイン…ジャパンモビリティショー2025
  2. 三菱自動車の営業利益81%減、赤字92億円 2025年度上半期決算
  3. ライバルはアルファード? メルセデスベンツの最高級ミニバンが日本初公開!…ジャパンモビリティショー2025
  4. 【トヨタ ランドクルーザーFJ】「ランクルらしさ」と“サイコロ”を融合した小さいランクル、デザインの肝
  5. 原付スポーツカーを受注生産!日本一周4万6000km走破の実力、ICOMAが提案する「おもちゃ箱」のようなモビリティ…ジャパンモビリティーショー2025
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る