EUが足踏みしている今が挽回のチャンス…「EV電池スマートユース協議会」が発足

日本総研 取締役専務執行役員 木下輝彦氏
日本総研 取締役専務執行役員 木下輝彦氏全 5 枚

10月2日、「EV電池スマートユース協議会」が発足し、その記者発表が行われた。発表会には協賛する環境省・経済産業省・福岡県の他18の協賛企業、バッテリーや循環型社会の専門家・識者が集まり設立の趣旨や活動概要が発表された。


資源輸入国日本こそサーキュラーエコノミーが必要

この協議会は、EVバッテリーを起点とした循環型経済(サーキュラーエコノミー:CE)を消費者やユーザー企業の視点で広げるために設立された。日本総研の研究では、EVを取り巻くサーキュラーエコノミーは2050年に8兆円規模に達するとしている。この前提となるのが中古EVやそのバッテリーの再利用(リユース)だ。これらが循環することで新しい市場やビジネスが生まれるわけだ。

だが、EV化に遅れている日本は、リセールやバッテリー再利用(パックの組み替えによる再生や定置型蓄電池等への再利用)が進まず、ほとんどの中古EVはそのまま海外に輸出されている。使えばリセール市場や蓄電池市場が広がり、最終的なリサイクルで再び資源になるにもかかわらずだ。日本でも中古EVが少しずつ増えているが、バッテリーの残存能力を評価する基準が浸透しておらず、消費者への説明や啓発も不十分だ。そのためリセールより海外にそのまま売ったほうがよいということになる。

これでは、バッテリーを循環させるサーキュラーエコノミーが成立しない。サーキュラーエコノミーでは、販売やサービスといった静脈産業側の視点で製品や資源の再利用を促進することで、限られた資源を最大限活用するアプローチをとる。エネルギー危機や経済安全保障が叫ばれる現在、じつは日本に必要なアプローチでもある。

3Rとサーキュラーエコノミーの違い

協議会の4つのミッション

協議会としては、次の4つを活動内容とする。

1:規格標準化
2:評価指標
3:CO2削減
4:社会実装

再利用やリサイクルを前提としたバッテリー製造や構造の規格化は、組み替えや再利用をしやすくする。SOHの標準的な評価指標、劣化モデルの作成は、中古EVの資産価値を明確にし、ユーザーが安心して中古車を買うことができるようになる。バッテリーのライフサイクルや性能評価ができれば、CO2削減クレジット化の指標にもなりうる。社会実装では、ユーザーニーズと技術・サービスをマッチングさせるプロジェクトを立ち上げるとする。

循環型社会は成長戦略として政府も支援

協議会の取り組みには、環境省、経済産業省もバックアップしている。


《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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