EVの航続延長へ、風洞実験施設を開設…ステランティス

ステランティスが米国ミシガン州の研究開発センターに空力技術を開発する「Moving Ground Plane (MGP)」開設
ステランティスが米国ミシガン州の研究開発センターに空力技術を開発する「Moving Ground Plane (MGP)」開設全 5 枚

ステランティスは10月23日、米国ミシガン州オーバーンヒルズの研究開発センターに、空力技術を開発する「Moving Ground Plane(MGP)」を開設した、と発表した。

2950万ドルを投じて建設されたこの最新の風洞実験施設は、タイヤやホイールによる空気抵抗を測定・低減することが可能。実際の走行時の空気抵抗全体の最大10%を占めるこれらの要素を最適化できる。空力効率の向上は、電気自動車(EV)の1回の充電あたりの走行距離を延ばす上で重要だ。この技術革新により、顧客はより長い航続を享受でき、さらにはバッテリーサイズの縮小によるコストと重量の削減も期待できる。

MGP技術を採用した風洞実験施設では、テスト車両を静止させたまま実際の走行状態をシミュレートできる。エアクッションで支えられたベルトが4輪すべてを動かし、車両の下を縦方向に走る5本目のベルトが路面走行条件を再現する。これにより、より精密なテストと空力改善が可能となる。

この施設は、ステランティスの複数ブランドに恩恵をもたらし、販売地域や動力源に関わらず、空力最適化の恩恵を受けることができる。また、仮想開発ツールを補完する貴重な役割も果たす。

新施設では、従来の風洞実験では2時間かかっていたホイールベースやトラックのテスト変更が数分で行えるなど、自動化機能も大幅に向上している。リアルタイムのデータ収集と自動化の向上により、市場投入までの時間短縮が期待できる。

ステランティスは世界中の他の施設でもMGP技術を使用しているが、それらは小型車向けだ。今回アップグレードされたオーバーンヒルズの施設は、STLA LargeやSTLA Frameプラットフォームをベースとする大型車両にも対応可能だ。


《森脇稔》

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