躍進するドゥカティの“情熱”に触れる「Ducati Riding Experience」の真髄とは

DRE Holiday
DRE Holiday全 22 枚

MotoGPやスーパーバイクなど、世界のロードレースシーンを席巻するイタリアの雄「ドゥカティ」であるが、そんなレーシーでアグレッシブな活動やマシンのラインナップだけにはとどまらない躍進をここ最近はみせている。環境に配慮した電動マシンの開発やアスファルト上でのアクティビティだけでなく、土の上への進出も積極的である。

アドベンチャーモデルであるムルティストラーダが同社のラインナップ中、もっとも売れているモデルというのは広く知られている話であるが、ラリーマシンイメージの『デザートX』の発売に加え、今年はモトクロス選手権への参戦等、活動の幅を年々広げている。

そして情熱が向けられるのはものづくりだけでなく、それを操るライダーの育成にも及んでいるのである。

◆ドゥカティ流のライダートレーニングプログラムが「DRE」、新たな「DREホリデー」ドゥカティのブランドを満喫する

DRE HolidayDRE Holiday

DREはドゥカティライディングエクスペリエンスの略で、いわゆるドゥカティ流のライダートレーニングプログラムである。2003年にスタートし、現在はサーキット向けの「レーストラック」。ストリートでの操作をメインとした「ロード」。オフロード路面での「アドベンチャー」のほか、本国ではよりビギナー向けの「ルーキー」、サーキット初心者向けの「トラック・ウォームアップ」クラスが用意されている。

そして今回あらたに企画されたのが「DREホリデー」である。これは「レーストラック」のスペシャルバージョン的位置付けで、これまでの1DAYスケジュールではなく、その前後も含めてライディングと同時に、ドゥカティというブランドのパッションと魅力を満喫してもらうためのイベントとして初開催されたのである。

DRE HolidayDRE Holiday

筆者もインストラクターとして過去に携わった経験がある「レーストラックアカデミー」は昨年まで3年間日本でも開催されていたのであるが、様々な要因によって本国での理想を具体化し、継続していくのが難しい面もあったようだ。

そこで日本を含めたアジアパシフィックのユーザーを一同に集め、より魅力的なプログラムとして企画されたのがこのDREホリデーである。開催場所はMotoGPも開催されるインドネシアのロンボク島にあるマンダリカサーキットだ。

DRE HolidayDRE Holiday

観光地として有名なバリ島からもほど近く、インドネシア政府が第二のバリにすべく観光開発しているリゾート地である。とはいっても、まだまだ開発途中であり、のどかでどこか懐かしい風景が広がっている。

サーキットに隣接する高級リゾートホテルが参加者の宿泊先だ。宿泊する部屋の窓からはサーキット、あるいはオーシャンビューといった贅沢な風景が広がっている。日本にも素晴らしいサーキットは数多くあるが、その立地を考えた際にこのようなサーキットは思い浮かばない。世界に目を向ければこのようなサーキットは数多く存在し、モータースポーツが特別なものでもあると実感させられる機会も少なくない。そう。ここで得られるのはただ走るだけではない、贅沢な非日常のスペシャルな体験でもある。

◆インストラクターとともにパニガーレV4Sで全開走行、全参加者が満足できるプログラムに

DRE HolidayDRE Holiday

翌日は朝食後にサーキットへ移動。受付をし、いよいよエキサイティングな1日がスタートとなる。インストラクターの紹介の後、ドゥカティ流のライディングテクニックの座学がはじまる。一通り説明が終わったあとは、それぞれのグループに分かれてさらに細かいレクチャーがおこなわれた。

今回はアジア圏、10ヶ国以上の国から参加者が集まった。開催日は金曜、土曜、日曜とそれぞれが独立しての3日間。我々の走行日は土曜日で、80名以上のライダーが参加と大盛況。3日間、連続でエントリーしているライダーもいるほどだった。

インストラクターはイタリア本国からのレギュラー陣をメインに、言葉の違いによるコミュニケーションの問題等もあるため、サポートとしてアジア圏各国のインストラクターが配属される。

DRE HolidayDRE Holiday

また、今回はスペシャルな企画として日本からの参加者を対象に、これまで日本で開催されてきたDREにおいてチーフインストラクターを務めてきた元世界GPチャンピオン。原田哲也氏が招聘された。

イタリア語も堪能な原田氏による本国との連携も心強いものであった。徹底的に安全に配慮されたイベントだったとしても、言葉が理解できなかったとしたらそのリスクは大きく高まってしまう。

DRE HolidayDRE Holiday

クラスはレベルに応じてイントロ、ウォームアップ、エボ、マスターとチョイスが出来る。ちなみにワントゥワンクラスという個人レッスンプログラムも存在し、受講費は7000ドルという高額ながら、ダニロ・ペトルッチやカレル・アブラハムといったトップライダーからマンツーマンで指導を受けられるというスペシャルなコースもある。マシンは『パニガーレV4S』が参加者全員にレンタルされ、走行は15分程度のセッションが5本設定される。

1周4.3キロの距離をもつマンダリカサーキットはなかなかの高速サーキットで日本ではもちろん、世界的にもなかなかお目にかかれないタイプのレイアウト。ブラインドコーナーや高速の切り返しポイントなどがあって非常に攻略が難しいコースである。

DRE HolidayDRE Holiday

それだけに、少人数制のこのプログラムは徹底して参加ライダーへのケアが行われる。インストラクターを先導に4人が走行。また、最後尾にもインストラクターが付き、走行後に様々なアドバイスをしてくれる。1周ごとにメインストレートでライダーの順番を入れ替えることで、すべての受講者がインストラクターのすぐ後ろを走り、そのライン取りや操作方法を間近に見ることができる。長いストレートでのライダー入れ替えのため、そこでグループが毎周リセットされることで集団から置いてけぼりになるライダーもいない。

DRE HolidayDRE Holiday

自分に与えられた周回ではそのペースに合わせて走行してくれるので、ペースが遅いとストレスを感じることも少ない。僕が受講したマスタークラスでは、インストラクターが後ろから動画撮影をしてくれ、その後動画をチェックしながらライディングのアドバイスもしてくれるサービスもある。

朝から昼食を挟み、夕方まで走ってすべての走行プログラムが終了。しかしここで終わらないのがこのイベントの素晴らしいところである。

◆プログラム終了後にそれぞれ修了書画授与される、形にのこる“体験”の大切さ

DRE HolidayDRE Holiday

サーキット内に設立される高台のビューポイントに移動してのパーティおよび修了証の授与が行われる。今走ってきたコースを眼下に眺めながらビールやシャンパンでクールダウンしながら格別な時間を過ごし、エキサイティングな1日を終えたのである。

来年については開催日程、開催場所などはまだ決定していないとのこと。日本からの参加者は10名ほどであったが、家族を同伴してリゾート旅行として参加された方も少なくなく、楽しめたのはライダーだけではない。すでにそのうちの何名かは来年の予約をしたとのことで、その満足度がどれほど高かったのかがわかるであろう。

DRE HolidayDRE Holiday

コスト的には決して安いものではないかもしれないが、そこにはお金では買えない価値。そしてドゥカティにしか出来ないスペシャルさが存在する。一生に一度かもしれない、ちょっと(かなり)贅沢なプランを組み立ててみてはいかがだろうか。

《鈴木大五郎》

鈴木大五郎

AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  2. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  3. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 宮崎「シーガイア」にサーキットがオープン! セグウェイの「電動ゴーカート」を日本初導入
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る