【ホンダ CL500 試乗】風雨も砂利もお構いなしに使い込みたくなる…伊丹孝裕

ホンダ CL500
ホンダ CL500全 21 枚

2023年5月に発売されたホンダのスクランブラーが『CL500』だ。クルーザーの『レブル500』から、もしくは弟分の『CL250』から発展したこのモデルは、なににでも幅広く使えるストリートバイクに仕立てられていた。

詳細画像:ホンダ CL500

◆走り出せば、がんがん使い込みたくなる気持ちがわかる

ホンダ CL500ホンダ CL500

試乗に際し、ホンダの青山本社の地下でCL500を受け取った。ひどく目立つわけではないが、車体の数か所には擦り傷が見られ、ダートに持ち込んだとおぼしき、泥汚れも残っている。全体的にくたびれた雰囲気が漂い、メーターをチェックすると、走行距離は8000kmを超えている。広報車両としての期間や一般的な扱われ方からすると、かなりハードに乗られた形跡がうかがえる。

借り物なんだからもう少し丁寧に乗りましょうよ、とか、洗車はきちんとしてから返しましょうね、という小言は、読者の皆さんにとっては無関係なのでさておき、CL500で走り出すと、確かに、がんがん使い込みたくなる気持ちはわかる。車体をぴかぴかに磨き上げるのも、バイクの楽しみ方のひとつには違いないが、気負うことなくサッとまたがり、風雨も砂利もお構いなしにスロットルを開け、先へ先へと分け入りたくなる、そんなギア感があるからだ。そして実際に、それができてしまう。

ホンダ CL500ホンダ CL500

軸間距離1485mm、シート高790mm、車重192kg。CL500は特に小柄ではないものの、車体のスリムさやフットワークの軽さ、快活なエンジンフィーリングによって、その数値よりもずっとコンパクトに感じられ、振り回せる感覚がことさら強い。

最初手にした時は、愛想のない質感に対して、もうちょっとどうにかならなかったのか、とも思ったが、これはスクランブラー(ホンダはそう明言せず、スクランブラースタイルと呼ぶが)なのだ。オンロードはもちろん、ちょっとしたオフロードもこなし、そこでつけてしまった少々のキズや凹みはタフさの証。塗装の艶やかさやデザインの繊細さが優先されていては、自由さの足枷になる。

◆高いエンジンスペックも高度な電子デバイスも必要ない

ホンダ CL500ホンダ CL500

CL500の印象を手短に表現すれば、リズミカルなバイクである。フロントフォークのストローク量とリアサスペンションのトラベル量は、それぞれ150mmと145mmという余裕のあるもので、鷹揚とした乗り心地に貢献。前後方向のピッチングもわかりやすく、スロットルのオンオフやブレーキへの入力加減ひとつで、車体姿勢の変化をコントロールできる。

もっとも、コントロールというような小難しい話ではなく、勝手にそれができてしまう。スロットルを開ければ、リアタイヤがグッと路面を蹴り出し、ブレーキを掛けて左右どちらかに傾ければ、スッと旋回。そのプロセスが極めて容易であり、シンプルな正立フォーク、必要十分な制動力のシングルディスク、安定性と走破性に優れるフロント19インチホイール、150/70R17という細身のセミブロックリアタイヤ(ダンロップのトレイルマックス・ミクスツアー)等の効果も手伝って、鼻歌のような気分でスイスイと操れるのだ。

ホンダ CL500ホンダ CL500

法定速度+αの中でいかに扱えるか、そして楽しめるか。そこに狙いを定めれば、高いエンジンスペックも高度な電子デバイスも必要なくなり、物理的にも心情的にも軽やかなバイクになる。その好例が、このCL500である。

数少ないリクエストは、ステップの中途半端な位置だ。停車時に、足をステップペグの前に降ろしても後ろに降ろしてもしっくりこず、どちらの場合でも脛やふくらはぎが干渉しがちだからだ。ただし、欧州向けに発表された2025年モデルでは、どうやらこれが改善されている模様。これによって、その万能性にさらに磨きが掛けられていそうだ。

ホンダ CL500ホンダ CL500

■5つ星評価
パワーソース ★★★
ハンドリング ★★★★
扱いやすさ ★★★★★
快適性 ★★★★
オススメ度 ★★★★

伊丹孝裕|モーターサイクルジャーナリスト
1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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