キャンプやレジャーにポータブル電源を持っていくスタイルは、珍しいものではなくなってきた。照明や暖房などアウトドアでも電気があると便利であり、慣れると手放せなくなる。
「H2 & FC EXPO 水素・燃料電池展」(会期:2月19日~21日)でアイシンが展示していたのは、水素カートリッジを利用した可搬型FC発電機(コンセプトモデル)。形状はちょっと大きめのクーラーボックスサイズだ。車輪と転がして運ぶための取っ手がついている。重さは約37kgと軽くはないが、同サイズのポータブルバッテリーよりは軽い。定格出力は2kW。アウトレットはAC100VのコンセントとUSBポートがついている。EVやHEVに搭載されているACアウトレットは100V/15A(=1.5kW)が標準だ。このFC発電機はそれより高い出力を持っている。
FC(燃料電池)発電機なので、水素と酸素の化学反応によって電気を生み出す。可搬型として小さくできたのは、本体を空冷としたことが大きい。FCの化学反応は温度管理が非常に重要だ。適切な温度でセルの中に水素・酸素を通してやる必要がある。通常は温度管理と冷却は水冷式で行う。
しかし、アイシンの可搬型FC発電機はファンを回す空冷方式だ。冷却系のパイプやポンプが必要なくサイズやコストダウンにつながる。
本体はコンパクトだが、FCの発電には水素ガスが必要(酸素は大気から取り込む)だ。水素ガスの供給はタンクを接続して行う。会場にはタンクと一体式で運べるタイプの発電機も展示されていた。横に丸い大きな穴があいており、水素カートリッジを差し込む。水素カートリッジは昨年トヨタが発表したものだ。重さは8.7kgほどで4.7リットルの容量があり、200g分の水素が重点される。カートリッジ1本でおよそ2時間の連続発電が可能というので、電源の容量としては4kWhということになる。