「ドイツ中心のモデルは終わった」と語るシェフラー ローゼンフェルトCEO、ヴィテスコ統合合併後の見通しを説明

シェフラー・グループCEO クラウス・ローゼンフェルト氏
シェフラー・グループCEO クラウス・ローゼンフェルト氏全 10 枚

「ドイツ中心のモデルは終わった」と語るシェフラー ローゼンフェルトCEO、ヴィテスコと統合合併後の見通しを説明[インタビュー]

2月中旬、ドイツ本国よりシェフラー・グループCEOのクラウス・ローゼンフェルト氏が来日し、横浜のシェフラー日本支社で記者会見を開いた。


合併によりどのような相乗効果を狙うか

同グループのオーナーであるシェフラー家はコンチネンタル・グループの大株主。コンチネンタル・グループから独立して上場していたとはいえ、そのパワートレイン部門から派生したヴィテスコ・テクノロジーズ社の株式をシェフラーは昨秋に88.81%取得し、ここ2年来進めてきた合併統合を完遂した。

「シェフラーといえばベアリングで知られていますが、自動車だけでなく産業機器向けのソリューションも多数手がけており、ヴィテスコはコンチネンタル・グループからスピンオフしたパワーエレクトロニクスの会社でした。ただコンチネンタルもシェフラーのいずれも、シェフラー家がオーナーで、合併して同じ会社になるのはひとつの帰結でもありました」

地政学上の問題、各市場の難しさ、規模や量的なスケールなど、様々に合併を後押しした大きな要因はあったというが、ローゼンフェルトCEOはドイツ的な企業風土を最大の拠りどころとする。

「シェフラーもパワーエレクトロニクスを手がけていましたが、競走ではなく合併で大きくなるという道を選んだのです。ドイツでは中規模の技術力ある会社が家族経営、あるいは会社のオーナーであることが多く、長期的な視野に立って経営するマインドセットがあります。ですから会社の構成として、ただ合併するのではなく、新しいものを創り出そうとしています。我々はヴィテスコとの合併を通じて、日本でのビジネスがこれまで以上に戦略上、市場としても拠点としても重要になると考えています」

「規模として、従来のシェフラーは売上高160億ユーロ、従業員数は約8万3000人で、全世界に82の拠点をもっていました。これからのシェフラーはモーション・テクノロジーを先駆ける会社として、売上高250億ユーロ以上、社員数は約12万人、拠点も100点以下となります。規模感も大事ですが、事業部門を4+1の構成とすることで、自動車、産業用機器だけでなく、提供していく製品に合わせて体制を整えていきます」

それぞれのコア・コンピテンスを合わせて、単なるスケールメリットだけではない相乗効果を狙う、というのだ。4つの事業部門の内訳は、1つはE-モビリティ。ここには電動ドライブの駆動系はもちろん、メカトロニクスに制御系など、ヴィテスコから来ているところが多く含まれる。旧シェフラー単体の部門だった頃よりも、購買面でスケールメリットが生じやすいところでもある。

2つ目はパワートレイン&シャシー。電動のみならずICEのエンジン&トランスミッションのパワートレインやそれらに対応するシャシー制御のソリューションが含まれる。電動以外にも、複数ソリューションをもっていることが重要と、ローゼンフェルトCEOは説く。

3つ目はライフタイム・ソリューションと呼ばれ、修理やアフターマーケット関連が該当する。新しいものを次々に購入するより、修理して直す流れも次の時代には求められている以上、事業体制として独立させることで利益率・キャッシュフローの高いビジネスになる可能性を高める。

4つ目は自動車・産業機器向けのベアリングで、ニードル・ベアリングも含まれる。ここはシェフラーが世界でも1、2を争うシェアをもつ領域だ。+1とは、コーポレート&その他で、管理部門以外にもスタートアップや回収ビジネスが充てられている。

事業体制を再構築、拠点の統合と整理

もうひとつ事業面と並んで、体制面でもグローバル全体の拠点の統合と整理が進められた。アジア・パシフィックは当初から中国とは別リージョンとして分類され、日本と東南アジア/韓国/インドという3つがサブリージョンで構成される。


《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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