HMIとAIが加速するSDV革命、グローバルトレンドと中国OEMの独自戦略…SBD Automotiveジャパン 大塚真大氏[インタビュー]

HMIとAIが加速するSDV革命、グローバルトレンドと中国OEMの独自戦略…SBD Automotiveジャパン 大塚真大氏[インタビュー]
HMIとAIが加速するSDV革命、グローバルトレンドと中国OEMの独自戦略…SBD Automotiveジャパン 大塚真大氏[インタビュー]全 1 枚

来たる4月23日、オンラインセミナー「【CES2025】SDVの解像度が高まった・HMIやAI統合に向けたグローバルトレンド」が開催される。セミナーに登壇するのは、SBD Automotive ジャパン 製品企画・技術戦略調査 シニアコンサルティングスペシャリストの大塚真大氏。

今回のセミナーは以下のテーマで進められる。

1.SDVの定義とその影響について
(1)SBDが定義するSDV
(2)OEMがSDVに期待するビジネス変革とその現状
(3)中国OEMのCES参戦とその技術
2.CESトレンド1:AI
(1)様々な領域で利用されるAI
(2)注目のAI活用ツール・ソリューション(自動車部門)
(3)中国OEMのAIに関する取り組み
3.CESトレンド2:HMI
(1)進化し続けるディスプレイ技術
(2)乗員検知技術とその付加価値
4.CESトレンド3:SDV
(1)チップベンダーのSDVプラットフォームソリューション
(2)シフトレフトを支えるソリューション
(3)OEMの主要な発表
5.質疑応答

講演の後には、参加者からの質疑応答の時間が用意される予定だ。

セミナーに先立ち、見どころを大塚氏に聞いた。

Arm寡占状態に挑むインテルのSDV戦略

自動車業界では、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)が重要なトレンドとなっているが、SBD Automotive ジャパン 製品企画・技術戦略調査 シニアコンサルティングスペシャリストの大塚真大氏は「今年のCESで最もインパクトがあったのはインテルの発表ではないでしょうか」と語る。

「SDVを実現するためのSoCにおいて、Arm勢が主流となっている状況ですが、インテルは自社アーキテクチャでエッジECUからコックピットシステムまでカバーできるシステムを発表し、車載コンピューティングのすべてをインテル製チップで賄えるようにするという提案をしています。これと同時に、アメリカのEVスタートアップであるカルマがインテルと提携し、すべての車両チップをインテル製としてSDVアーキテクチャを共同開発することを発表しています」

主要コンポーネントをまとめて調達することは、OEMにとってメリットとともにリスクもあるだろうと大塚氏は示唆する。

「同じサプライヤーからすべてのチップを仕入れることで、コストメリットが生まれ、開発の効率化も進むでしょう。一方でサプライチェーンリスクを考えると、(インテルであれクアルコムであれ)一社に全面依存することはOEMにとって両刃の剣とも言えます」

RISC-Vがもたらすチップ業界の地殻変動

Armの寡占市場に挑むインテル(x86)という図式が現れるなか、第三の勢力として「RISC-V」の動向に注目すべきだと大塚氏は指摘する。

「RISC-Vはオープンソースのアーキテクチャであり、インテルやArmに依存しない開発が可能になります。そしてRISC-Vの最大の利点は、ライセンス料が不要なことです。Armやインテルのチップを使う場合は、当然のことながらライセンス料の支払いが発生します。しかしRISC-Vはオープン仕様なので、誰でも自由に設計し、カスタマイズできるのです」

いっぽうで、先行するArmにおいては、これまでに蓄積してきた充実した開発環境やライブラリ、開発者コミュニティの存在が大きなアドバンテージとなっていることも事実だ。この点について大塚氏は、中国市場におけるRISC-Vの台頭がこの状況を変えるかもしれないと話す。

「注目すべきは、膨大な開発リソースを抱える中国において、RISC-Vが積極的に採用され始めていることです。実際にいくつかの中国OEMは、すでにRISC-Vベースのチップを試験的に導入し始めています」

「中国に対する技術輸出の制限が進む中で、中国政府がRISC-Vに対する投資を加速させているとの情報もあります」

「すでにNXPやクアルコムといった大手車載チップベンダーも、RISC-Vの導入に動き出しています。特にクアルコムはArmとの訴訟を抱えており、Armからの独立性を高めるためにRISC-Vへのシフトを進めているとも言われています」


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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