住友ゴム工業は、3月28日から30日まで東京ビッグサイトで開催された「第52回 東京モーターサイクルショー」へダンロップブースを出展。スポーツラジアルタイヤである「SPORTMAX Q5」シリーズに、新製品「Q5S」が新たに加わった。
普段乗りからサーキットまで、1本でマルチにこなす「SPORTMAX Q5S」が登場

ダンロップのスポーツタイヤとして、高いグリップ力とハンドリングの良さを備えて評価の高いSPORTMAX Q5シリーズ。本気のサーキット走行までを視野に入れたハイグリップモデルでありつつ、走行時の暖まりも良くストリートでも使えるハイパフォーマンスモデルとしてすっかりスタンダードになっている。
その後、オールラウンド志向の「SPORTMAX Q5A」が投入され、街乗りやツーリングからサーキット走行会までを視野に入れたユーザーにも、まさにマルチで使える使いやすいタイヤとして幅広く認知されている人気モデルだ。

SPORTMAX Q5シリーズのラインアップは、ガチのハイグリップモデルであるQ5、オールラウンドに使えるQ5A、そして両モデルの中間を埋めるべく登場したのがこのQ5Sだ。ワインディングからサーキット走行会までをターゲットに、走りの良さを体感できるモデルとして登場した。展示車両はフラッグシップスポーツモデルのBMW『M1000RR』で、ブース来場者の目を大きく惹いていた。

ダンロップの系譜としてはα14の後継モデルとなり、これまで複数存在したスポーツタイヤのシリーズがQ5に統合され、走りのステージに合わせて選ぶわかりやすいモデル構成になったのもユーザーにとっても好ましいところ。αシリーズで培ったハイグリップタイヤの系譜を継承する最新進化形のモデルであり“新時代S級ハイグリップ”のキャッチフレーズを持つ走り重視のモデルとなった。

Q5Sの魅力は“街乗りスポーツ最強”を謳い、旋回力の高さ、路面に応じた対応力、さらにはライダーの操作にシンクロして応えてくれる応答性能の高さを備えたスポーティなモデルであること。例えばワインディングで出くわす先の見えないコーナーはやっかいだ。しかしQ5Sであればコーナリング中であっても比較的自由度高く走行ラインを変えることができる。

トレッドパターンはQ5譲りのかなりアグレッシブなものだが、溝のデザインによってトレッド面のたわみ量をコントロールしているのがQ5Sの設計陣のこだわり。センター付近には大きく太い溝を配置することで、グリップを増やし・たわみやすく・タイヤをつぶしやすい性能を備えた。一方のショルダー部を見ると短く小さな溝が刻まれている。これはショルダーのたわみを適度に作ることでバンキング時の接地感を高めるのが目的となった。
さらに、ドライグリップのみならずウエットでの高性能も同モデルの魅力。溝の配置を厳選することでタイヤが路面に接地している部分には必ず溝が配置されている。溝が少ないアグレッシブなパターンに見えているが、ウエット性能をしっかり考慮したレイアウトになっているのもストリートでの使用を考えた作り込みだ。

一方でスポーツタイヤ=ライフが短いと言う概念も払拭しているのもQ5Sの特徴。ダンロップの持つコンパウンド技術を結集することで、高いグリップ力とロングライフを両立させた。さらにトレッドパターンの工夫もロングライフに貢献する。例えばセンター部分には比較的溝が少ない設計によって、センター部の剛性を高めることでライフ性能をアップ。加えて、リアタイヤのみシリカを配合することでもライフ性能の向上(同時に低温下でのグリップ力も向上する)を実現している。

ダンロップブースではSPORTMAX Q5Sの性能をリアルに体験できるコーナーも設置。ここでは従来のα14とQ5Sのフロント/リアタイヤのサンプルが置かれ、手で押すことでしなやかさを体感できるというもの。

フロントはQ5Sの方がしっかり感が強く、タイヤの剛性感の強さを感じる、対してリアはQ5Sの方が柔らかいのがわかる。これはリアを十分に路面に押しつける力を発揮させるためだという。また路面を模したパネルにQ5Sとα14のトレッド面を貼り付けたピースが用意され、手で摩擦させることでグリップ力を体感できるコーナーも設置された。小さなパーツなのにグリップ力の差が感じられ、あらためてQ5Sの高いグリップ力を実感した。

Q5、Q5S、Q5Aと3モデルが勢揃いしたダンロップのスポーツタイヤ。サーキット重視、ワインディング~走行会でのスポーツライディング重視、ツーリング~ワインディング重視など、好みの走りの方向性を3モデルの中から選ぶことができるラインアップが揃った。いずれも根底にはスポーツライディングがあるモデル群なので、いずれを選んでもスポーツライディングを存分に楽しめるシリーズとなった。
スポーツタイヤだけじゃない!軽い操縦性で絶大な支持を誇る「ROADSMART Ⅳ」

次に注目したのは「ROADSMART Ⅳ」。現在、ダンロップ最新のツーリングタイヤで、特徴はツーリングタイヤにありがちな“安定性”重視の設計ではなく、スポーツ性能をしっかり備えたモデルである点だ。

従来のツーリングタイヤには、どっしり安定させることでロングツーリングを快適に過ごすという考え方があった。しかしこのタイヤは軽快にバイクを操る(ハンドリング操作の重さを払拭する)ことで疲れにくさを引き出すのが狙い。ライフ性能も高く、ツーリングタイヤとしての性能を全方位で備えているモデルだ。
JSBにダンロップ旋風を巻き起こす!2026シーズンのチャンピオン獲得に向けて開発は止まらない

さらにダンロップのワークスカラーでカラーリングされたJSB1000参戦マシンも登場した。こちらは今シーズンMFJ全日本ロードレース選手権シリーズ・JSB1000クラスに「DUNLOP Racing Team with YAHAGI」から参戦した、長島哲太選手の駆るホンダ『CBR1000RR-R』だ。タイヤにはダンロップのスリックタイヤを履く。

2024年シーズンからタイヤの熟成を進めてきたDUNLOP Racing Team with YAHAGIではディフェンディングチャンピオンの牙城を崩すべく、様々なアプローチを実施してきている。そのひとつが“曲がるタイヤ”の開発だった。ライバルとはまったく異なるアプローチでタイヤを考えることで、チャンピオンを狙いに行くための秘策として考案されたのがこの新タイヤだった。2024年のシーズンからのフィードバックを受けて、勝つためのタイヤ造りの地盤は固まった。近年、話題の少なかったJSB1000に大きな波乱を生み出しそうなDUNLOP Racing Team with YAHAGIと長島哲太選手の熱い走りに期待したい。
旧車からオフ車まで幅広いジャンルを網羅、ダンロップのタイヤがあれば間違いない

さらにブースには旧車のトライアンフ『ロブノーストライデント』が置かれ、履いていたのはダンロップの伝統モデルである「TT100」(1969年にマン島TTで史上初の平均速度100mph=約160km/hを記録したのを記念してTT100と命名)。

ダンロップの元祖スポーツタイヤは今も現役バリバリ、独特なジグザグ形状のトレッドパターンはそのまま踏襲するが、コンパウンドには最新の技術を投入。クラシカルなトレッドパターン=溝が多いことを考慮して、しっかりとコシのあるフィーリングを引き出している現代でも十分通用するスポーティなタイヤでもある。

さらにオフロード用タイヤの「GEOMAX」シリーズも最新ラインアップが展示された。ハード路面=MX71、ミディアム・ソフト路面用=MX53、ソフト・マッドをカバーする=MX34、さらにはマッド・サンド路面に適合する=MX14/MX12をズラリと並べた。中でも独特なトレッドパターンを備えたMX14に注目した。装着車両はホンダ『CRF450R』だ。

ブロックの高さは非常に高く、さらにセンター部にはブロックをサポートするリブ形状を備えるなど独自のトレッドパターンが見られる。これらは縦方向の剛性を高めてサンド路面などを走行する際にブロックのヨレを防ぎ、スライドせずにムダ無く前にバイクを押し出す力を与えるための技術なのだ。細部の設計を聞くとオフロードタイヤには独特の技術が込められているのが興味深かった。

ダンロップのブースではスポーツ、ツーリング、バイアス、オフロード向けなど、幅広いジャンルのタイヤを用意、ニーズに合わせたハイレベルなチョイスが自由自在にできる環境が整っていた。特にSPORTMAX Q5SをはじめとしたQ5のシリーズには多くの来場者が集まる人気のコーナーとなった。

改めてダンロップのスポーツラジアルはSPORTMAX Q5/Q5S/Q5Aに統合され、目的に合わせてセレクトできるラインアップが整えられた。スポーツラインディングを楽しむための、新時代のスポーツタイヤを求めるならば胸を張っておすすめできるタイヤに仕上がっていた。
新時代“S級”ハイグリップ。『SPORTMAX Q5S』の詳細はこちら