グランプリ出版が『エンジンチューニングを科学する<新装版>』を発売した。数々の傑作エンジンを設計・開発し、大学で数多くの後進を育成した著者・林義正がエンジンチューニングの基本的性質を科学的かつ明快に伝授する。
カムシャフト、シリンダー、オイルポンプ、バルブなど、エンジンが持つ基本的性質を知るために、そのチューニングの例題103問を通して、さまざまな構成部品の役割、特性、扱い方などについて、イラストを多用して解説。「吸入空気量の増大と燃焼の改善に着目した」、「空燃比を濃くした」、「カムシャフトの取り付け角度を変えた」、「ピストンを削って軽量化を図った」、というように、2ページで1項目をまとめている。初心者からより深く知りたい人までに適している1冊だ。
著者は、エンジンは複雑な“総合機械”であるとする。「機械工学で使う4大力学、すなわち材料力学、機械力学、流体力学、熱力学のすべてを駆使して設計される工業製品は多くない」と指摘し、チューニングに際して全体のバランスの重要性を強調する。そして、ハードウェアの持つポテンシャルを100%引き出す“運転変数の最適化”をマッチングと定義し、ハードの改善とマッチングとを合わせてチューニングと呼ぶ。
よいチューニングとは、全体のバランスを取りながら、無理をせずにベースとなるエンジンの素質を引き出したり、さらに向上させることなのだ。例えばパワーアップを図っても、耐久性を犠牲にするようでは正しいチューニングとはいえない。チューニングには様々なファクターがあり「それらの掛け算の答えが一連の作業の成果」だと著者は言う。したがって「どれか一つでもゼロがあれば、努力は水泡に帰してしまう」のだ。

エンジンチューニングを科学する <新装版>
著者:林義正(工学博士)
発行:グランプリ出版
体裁:A5判・並製・217ページ
定価:2640円(本体価格2400円+消費税10%)
発売:2月28日
本書は2020年10月14日に刊行された『エンジンチューニングを科学する』のカバーデザインを一新して刊行する新装版だ。