サムスンとのシナジー効果で誕生、ハーマンインターナショナルの先進プラットフォーム「Ready」を体験

二つの赤外線カメラ(◯枠内)でドライバーの表情や脈拍や呼吸までもセンシングして、運転への集中度を推定する
二つの赤外線カメラ(◯枠内)でドライバーの表情や脈拍や呼吸までもセンシングして、運転への集中度を推定する全 18 枚

ハーマンインターナショナルは4月23日、次世代製品「Ready(レディ)」の最新技術を体験できるメディア向けイベントを開催した。急速に進むSDV時代に合わせた車載インフォテイメントシステムにより、車両開発の期間短縮とコスト低減に貢献していく。


ハーマン・インターナショナルは、グローバルでもっとも多くのオーディオブランドを傘下に持つ多国籍企業だ。1953年の同社創立時から続くハーマンカードンをはじめ、JBL、マークレビンソンといったブランドは、世界中のオーディオファンに愛され続け、今ではカーオーディオにおいてももっとも馴染みあるブランドのひとつとなった。会社規模も巨大で、世界中に従業員は3万3400人おり、年間総収益約1.5兆円(105億米ドル)に達するという。

ハーマンインターナショナル代表取締役 桑原拓磨氏によると、事業概要としては、コンシューマー製品、自動車関連事業、ソフトウェアサービスという三つの柱を中心に展開しており、特に自動車事業においては、車内空間に特化したテクノロジーに注力していると説明。そんな中、2017年3月に同社は韓国のサムスン電子の完全子会社となり、「このReadyもサムスンとのシナジー効果によって生まれた」と語っている。

車内での体験価値を高める次世代製品「Ready」について説明する、ハーマンインターナショナル 代表取締役 桑原拓磨氏

一方、自動車産業は今、かつてない変革期を迎えており、それによって期待されるものは単なる性能や信頼性にとどまらない。日常使用しているスマートデバイスとの連携が欠かせず、パーソナライズ化も求められる。しかもその開発スピードはかつてないほど速くなっている。この変革期にあたって業界をリードするために生まれたのが、革新的な自動車インテリジェンス技術Readyで、今年1月に米ラスベガスで開催されたCES 2025でも注目を浴びたところだ。

開発期間の短縮と低コスト化に貢献

では、このReadyはどんな特徴を持っているのだろうか。

最大の特徴は、ディスプレイやヘッドアップディスプレイ(HUD)、コネクテッドサービスと言ったプロダクトを、ほぼ完成品された製品として提供することにある。

これまでは、自動車メーカーから提示される仕様書に従って作り込んでいくのが通例で、新車の開発期間と並行して製品化されるため、企画から世に出るまで5年近くもの期間を要していた。そのため、新車が発売される頃には、そのデバイスは一世代前の仕様となってしまっているケースも少なくなかった。

Readyの導入により、自動車メーカーはイチから開発するのではなく、ハーマンによってパッケージ化された製品のプラットフォームとして活用する形となる。その上で自動車メーカーはソフトウェア上で自社ブランドに合わせた変更を行う。これによって自動車メーカーは、開発時間の短縮と開発コストの低減が期待できるだけでなく、カスタマイズされたオリジナル機能を最新の状態でユーザーに提供できるようになるのだ。

Readyのプロダクトは多岐にわたる

Readyは、オーディオなどを扱う自動車製品事業部であるハーマンオートモーティブが取り扱い、すでに24年からは量産車にも展開済みだという。同社によれば、すでに多くの受注を獲得しており、今後も順次、搭載車が登場していく見込みだ。

ドライバーモニタリングで音場を自動的に最適化

ここからは、体験会で披露されたものから注目度の高い製品をピックアップしていきたい。


《会田肇》

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