EVを自家用車として活用するには自宅での普通充電が基本という考えがあります。これはEVのバッテリーは高出力の急速充電を繰り返すとバッテリーが劣化していくため、低出力の普通充電と呼ばれるもので充電した方が良いためです。
一軒家に住んでいる場合は、普通充電を行える装置の購入設置、電気会社との契約の変更をすることで、家での充電ができるようになります。問題はマンションやアパートなど集合住宅の場合です。駐車場が固定式の場合ならば、マンション管理組合や管理会社との交渉の末に、充電設備を駐車場に設置することも可能な場合もあるかもしれませんが、なかなか現実的ではありません。となるとマンション住まいでEVは購入できない? ということになってしまいます。
◆自宅充電設備の無い状況でEVライフは成立するのか?

スバル『ソルテラ』を購入してEVオーナーになり2年が経つ筆者の場合、現在は小さいマンションに住んでおり、充電器の設置は最初からできないだろうと想定していました。駐車場も背の低い普通車を想定した作りになっており、EVで多いSUVタイプは駐車できないため、最初から別の駐車場を借りることになっていました。
それでもなおEVを購入したのには、住んでいる地域にどのくらいの充電器があるのかをかなり調べて周辺に充電器があり、出かけたついでに充電すれば大丈夫なのではないか、という判断をしてEVの購入に至ります。
よく行く近くの役所に設置されている急速充電器を使うことがあります。この充電器は従来無料で利用できていましたが、充電器を更新し50kWから90kWの大きなものに更新してからは有料になりました。
外での充電ではEVオーナーが契約している充電カードの契約内容により料金が変わります。自分の場合はe-モビリティパワーの充電カードを契約しているため、急速充電を30分行った場合は税込825円になります。
90kWで充電した場合、その時のバッテリーの状態、気温などにより充電量は変化するので一概にはいえませんが、残バッテリー量が30%の状態から30分で80%近くまで充電できます。
急速充電器はどの充電器もおおむね80%程度まで充電を行うことが多く、出力が大きいからといって100%まで充電することはほぼありません。これはバッテリー保護の観点から急速充電はフル充電を行わないという仕組みがあるためです。
この仕組みはスマートフォンやノート型PCなどでも採用されており、常日頃からフル充電するのではなく、必要に応じてフル充電する時もあれば、80%程度までは一気に充電して、その後はジリジリと時間をかけてバッテリーに負荷をあまりかけないようにしています。そのような仕組みが外部の急速充電器には使われているため、筆者の場合は80%充電がフル充電という考えになっています。そのため航続距離もメーカー発表の数値よりも少ない距離になってしまいますが、常日頃の充電で80%がフル充電と思っているとあまり気にならなくなってきます。
またその役所の充電器が他車で満車の場合や、役所の駐車場が閉まってしまう深夜帯や早朝のタイミングでは、近所にあるガソリンスタンドの急速充電器を使用しています。このガソリンスタンドにある急速充電器は50kWタイプですが、必要にして十分な充電を行って帰宅することができます。
◆EV購入検討時には事前にアプリを使ってみること

筆者の場合は自宅で普通充電での充電ができないため、この近所の急速充電の行える役所と24時間充電が可能なガソリンスタンドがメインの充電場所ということになるのですが、逆をいうとこの2か所があることを調べて、状況によって常に充電器が使えるということ理解したのでEV車の購入に至ったともいえます。
なのでまずはEV購入を検討するときには充電場所を調べられるアプリがたくさんありますから、自分の使い方にあうアプリをスマホなどにインストールして、事前に検索することをオススメします。もちろん、EV車のナビに近隣の充電スポットが表示されるので、それを活用することも大事です。
アプリを使うことの良さは、ショッピングモールのどのエリアに何基の充電器があるということや、充電器の故障情報、使い勝手などの口コミも投稿されていますので、それを参考にすることもできます。
筆者の場合はナビ情報よりも、スマホの情報の方が便利に活用できるため使用しています。スマホアプリの場合、その充電器が何時から使用されているのかが分かるものもあり、使いたい充電器が何時何分から使われているので、到着するころには空いている可能性があり充電できる。という計算も成り立ちます。
充電待ちが発生している場合はその情報は分かりませんので、充電器についたら他の方が充電待ちをしていた、またはタッチの差で先に充電が始まってしまった、ということもあります。その場合は充電待ちをするか、他の充電器を探すようにしたり、最近は自動車ディーラーの充電器も高出力タイプに更新されていることも多く、少し移動すれば高出力タイプの充電器にたどり着くこともできます。
充電器に興味を持ち始めると街中に充電器が多く存在していることに気がつくようになるのですが、最近では役所や公園、駐車場などにも急速充電器が普及してきていますし、公道での実証実験としてパーキングメーターの一部を充電スポットに転換している場合もあります。もちろんアプリやナビに表示されている場合もありますので、気がついたらこんな場所に充電器が設置されていた、ということも。
ホールやイベント会場の駐車場での普通充電や急速充電器の設置も多くなっており、長時間その場所に置いておくようなことがあれば、普通充電器を挿した状態でイベントに行くこともできます。もちろん充電が終われば駐車場所を移動し他の方が使えるようにしておくことはマナーとしても大事なことです。
これらのように自動車ディーラー、役所、イベント広場や駐車場などにある急速充電器を活用していくと、意外に自宅充電ができなくても困ったことはありません。
急速充電を多用するとバッテリーの劣化が気になる、という方もいらっしゃるかもしれませんが、新車であればどのメーカーも長期間でバッテリーの保証を付けています。3~7年程度の保有期間であれば、それほど大きく劣化することはないのではと考えます。
筆者が所有するEV車はバッテリーの劣化具合を表示する機能が無いため、2年の保有でどの程度劣化したかは知る由もありませんが、走行可能距離やバッテリー充電量が減った様子は見られません。劣化を気にすることもなくEV車に乗っています。
マンション住まいだからEV車は無理ということも少ないように感じますので、一度お住まいに地域にどの程度充電器があるのか調べてみるのはいかがでしょうか。