日産自動車は5月13日、経営再建計画「Re:Nissan」を発表した。イヴァン・エスピノーサCEOは「競争の激しい環境下で、長期的な成功へと導くための経営再建計画」であると説明し、2026年度までの自動車事業営業利益黒字化を目指す。
●課題はコスト構造にある
エスピノーサCEOは「状況を深く掘り下げ、慎重に策定した。課題はコスト構造にある」と指摘。2024年度の業績悪化や変動費上昇、不透明な市場環境に対応するため、販売台数に依存しない収益性の確立を急ぐ必要があるとした。
Re:Nissanは「コスト削減」、「戦略の再定義」、「パートナーシップの強化」の3つを柱とした現実的な実行計画だ。
●コスト削減目標は5000億円
Re:Nissanの柱の一つはコスト削減で、2024年度実績比で計5000億円の削減を掲げる。内訳は変動費2500億円、固定費2500億円を目標とし、変動費革新プログラムやサプライチェーン再編で効率化を図る。
Re:Nissanでは、先行開発や2026年度以降の商品の開発を一時的に停止して、3000人の従業員がコスト削減活動に集中的に取り組む。開発期間を短縮するプロセスを迅速に適用することで、商品の市場投入を遅らせることはないという。また、日産はサプライヤーパネルを再構築し、より少数のサプライヤーでより多くの量を確保する方針だ。

●7工場を閉鎖
固定費削減策として、車両生産工場を2027年度までに17か所から10か所へ統合する。これにより工場稼働率を2027年度までに100%、年産250万台(上方余力50万台)とする。どの工場を閉鎖するかは、現時点では公表されていない。設備投資も削減し、北九州市で計画していたLFPバッテリー新工場の建設中止も本取り組みの一部だ。
●2万人の人員削減
2024年度から2027年度にかけて、発表済みの9000人を含む計2万人の人員を削減する。生産・一般管理・R&Dの直接員・間接員・契約社員が対象となり、シェアードサービス拡大やマーケティング効率改善も併せて実施する。
●プラットフォーム数削減、開発期間短縮
エンジニアリングコストの削減や開発スピードの向上を図るため、開発プロセスを刷新する。プラットフォームを統合し、プラットフォームの数を2035年度までに現在の13から7にする。開発期間について、リードモデルの開発期間を37か月、後続モデルの開発期間を30か月へと短縮する取り組みを進めている。この取り組みで開発される車種には、新型『スカイライン』、グローバルCセグメントSUVの新型、インフィニティブランドの新型コンパクトSUVが含まれる。
