総合パーツメーカー「BLITZ」(ブリッツ)。そのパーツはサスペンションからマフラーやエアクリーナーなどのパワー系パーツ、そして電子系パーツ、エアロと多岐に渡る。そして、それぞれに共通しているのが車種のコンセプトに合わせた味付けがされていること。
スポーティな車種のサスペンションはある程度スポーツ性と走行性能を意識したものだし、ラグジュアリーさが売りの車種には快適性を高める味付けをする。しっかりと開発陣が走り込んで味付けしていくことを身上にしている。
快適性と運動性能を高次元でバランスしたBLITZのチューニング術

今回トヨタ『アルファード』『ヴェルファイア』(40系)に提案するのは、その快適性を高めるサスペンションは、これまでもブリッツオリジナルサス(DAMPER ZZ-R)はその乗り心地の良さが多くの人から支持されてきた。だが、今回さらなる乗り心地を目指してこれまでの「ZZ-R」シリーズに加えて、新たな位置付けの「ZZ-R L」を開発した。
このZZ-R Lはラグジュアリー性を重視した性能が特徴で、見た目にはZZ-Rシリーズの直巻きバネではなく、新たに専用設計したタル型バネを採用する。タル型のスプリングは縮んでいったときにバネが限界まで縮む線間密着までのストローク量が長く取れることで、長いストロークを可能にして底付きによる乗り心地の悪化を防ぎやすく、スプリング自体も特殊高張力材を採用して走りの質感の高さをもたらしている。

大きくストロークしたときは専用バンプラバーが機能する。長くてじわじわと潰れることによってストロークを吸収する、専用バンプラバーはウレタン製。積極的にこれを使うことで乗り心地はよく、段差など大きな入力ではサスがじわっと奥でストロークして、不快な突き上げを吸収してくれる仕組みだ。
車高を大きく下げるよりも乗り心地のグレードアップを目指した設計で、ダンパー自体も長めに設計されている。オイル容量、ガス容量ともにたっぷりと確保することで乗り心地のグレードアップを狙う。リアのロアケースはアルミ削り出しとすることで、軽量化も意識する。

減衰力は32段階調整式。室内から減衰力調整ができ、自動調整も可能な「Spec DSC Plus」をセットすることももちろん可能。リアはダンパーの横から調整機構が出てモーターを組み合わせる。その取付けには苦労も多かったというが、簡単に減衰力調整ができないミニバンだからこそDSC Plusが活きて来るだけに、その開発には注力したという。これだけ手が掛けられた「ZZ-R L」は標準の「ZZ-R」に比べて5万円アップとなる。
車検対応マフラーやエアロパーツも充実、サラッと個性化で上質なスタイリングを纏う

マフラーはヴェルファイアのガソリン車用のみとなるが「NUR-SPEC CUSTOM EDITION」を開発。排気音量はかなり厳しく開発は大変だったというが、試行錯誤の結果、加速騒音規制と排気抵抗の低減の両立を実現した。軽快な吹け上がりとトルク感をもたらす。テールエンドはオーバルステンレステール、チタンカラーをラインアップし、夏頃にはフォージドカーボンも登場する予定だ。

スタリングパーツにはフロントリップスポイラー、リアアンダースポイラー、リアスポイラーをラインアップ。前後リップは純正バンパーに追加するタイプで、控えめながら低さと塊感のアップに効果的。リアスポイラーはボルテックスジェネレーター状の形状で純正スポイラーに追加。見た目のアクセントと空力的な効果が期待できる。

力強い走りに驚き! それでいて快適な乗り心地はまさしく“調律”(チューニング)だ

他にもいくつか装着されているパーツはあるが、まずは市街地で試乗してみた。乗った直後に道路に出る段差からその乗り心地の良さを感じる。もちろん、ノーマルでも乗り心地が良い車種ではあるが、ZZ-R Lは適度な引き締まりを感じさせつつも極めて良好な乗り心地を実現している。
減衰力は調整によってそのキャラクターが変わる。ある程度締めていくとハリのあるキビキビ感が出てくるし、緩めていくとゆったり感を感じられる。フルオートモードにしておけば、その走行フィールドに合わせて自動的にアジャストしてくれるのもDSC Plusの特徴である。

アクセルを踏んでいくと力強さが強調された加速をしていく。こちらはマフラーの抜けのよさと合わせて「パワスロ」による効果が大きい。28.1psアップしたエンジンパワーは明らかに力強い。今回は試作品の「SUS POWERエアクリーナー」が装着されていて、そこから響く吸気音はミニバンらしからぬスポーティさを感じさせてくれた。

ブレーキはフロントにオリジナルキャリパーを装着。こちらも既存パッド摩材ではいまいちフィーリングに納得が行かないと現在開発中で、試作品のフィーリングは極めて良好だった。極低速域の停止時も扱いやすく、ペダルの剛性感の高さを感じて普段乗りこそ楽しくなる演出にピッタリのパーツである。

サスペンションの味付けは乗り心地がよく、かつしっかり感を感じるもの。そのフィールには「フロントタワーバー」の効果も大きい。取り付けは大変な部分で装着してしまうとあまり見えないところではあるが、ステアリングを切っていった時の質実剛健な反応はタワーバーによるものがあるだろう。そういった意味で全体的にラグジュアリーでありながら、スポーティさを失わないブリッツらしい仕上げがされていた。
ただのラグジュアリーな味付けではないところに、ニュルブルクリンクでのタイムアタックやドラッグレース、サーキットタイムアタックに挑んできたブリッツのこだわりを感じる。アルファード・ヴェルファイアのカスタムには、ぜひブリッツのパーツを選択肢に加えてみることを胸を張っておすすめする。
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