「黄色いSLK」は変革の象徴だった、メルセデスベンツ博物館で「ヤングタイマー」展開催

メルセデスベンツ初代『SLK』のバリオルーフ
メルセデスベンツ初代『SLK』のバリオルーフ全 8 枚

ドイツのメルセデスベンツ博物館は、特別展「ヤングタイマー」において、鮮やかなイエローストーン色の『SLK 230コンプレッサー』(R 170シリーズ)が展示されている。1990年代から2000年代の象徴的な10台の車両を紹介するこの展示は、2025年11月2日まで開催される。

変革の象徴だったメルセデスベンツの初代『SLK』

この黄色い初代『SLK』は1996年春の市場投入時のイメージカラーとして採用され、新時代の力強い象徴となった。発表時には大きな注目を集め、メルセデスベンツブランド全体の変革を象徴する存在となった。SLKは、その後続々と登場する新しいプレミアム車種の先駆けとなり、ブランドイメージを永続的に変えることになった。

R 170シリーズの最大の特徴は、電動油圧式の折りたたみ式「バリオルーフ」だ。鋼鉄製の屋根がボタン一つで滑らかな動きを見せながらトランクに収納され、オープントップのロードスターに変身する。この革新的なシステムにより、メルセデスベンツはセグメントのパイオニアとなり、一年中楽しめる走行の新基準を確立した。実用面でも、屋根を開けた状態でもトランクにある程度の積載容量を確保できる点が重要だった。

最も人気のあったSLK 230コンプレッサーは、機械式スーパーチャージャーを搭載した4気筒エンジンで142kW(193hp)を発揮し、コンパクトスポーツカークラスで強力なパフォーマンスを実現した。この技術は1920年代の名車Sシリーズからインスピレーションを得ており、1990年代に現代的な解釈で復活した。

デザイン面では、SLKは一体成型のような明確なライン、短く引き締まったシルエット、クラシックなメルセデスベンツ『SL』グリルを持つ水平強調のフロントなど、時代を超えたスポーティさを備えている。内装も外装と同様の論理に従い、整然として高級感のある外観を持ち、大型のダイヤル計器、明確に配置された操作系、高品質な素材を使用したコックピットは、R 170シリーズのデビューから約30年経った今でも時代を超えた古典的な印象を与える。

SLKは1996年の発売以来、31万台以上が生産され、多くのミレニアル世代にとって、陽光と週末の楽しさを感じさせる初めてのメルセデスベンツとなった。豪華さよりもデザインや安全性といったブランドの美徳を内在させた新世代の顧客向けポスターカーとなったという。

現在メルセデスベンツ博物館で展示されている黄色いSLK 230コンプレッサーは、「イージーライフ」から「洗練」「空間」まで様々なテーマアイランドで構成された特別展「ヤングタイマー」の一部として、2025年11月2日まで展示される。AIを活用した画像生成からレトロゲームまで、ミレニアム期の雰囲気を現代に伝えるインタラクティブな展示も用意されている。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「TWIN TURBOのロゴ懐かしい!」Z32ファン感涙、レトロ感あふれる新型『フェアレディZ』が話題に
  2. メルセデスベンツ、全固体電池搭載『EQS』で1205km無充電走行を達成
  3. 「みんなガソリン車が欲しいんだよ…」フィアットの新コンパクト『グランデパンダ』、6速MT登場に日本のファンも反応
  4. アイシンが明かす、トランスミッションの膨大な経験値とノウハウが電動化を主導する理由
  5. 「めっちゃカッコよくない?」無限仕様の新型『プレリュード』が話題に、SNSではホイールにも「たまらない」の声
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る