5月21日~23日にパシフィコ横浜で開催された人とくるまのテクノロジー展2025。新技術・新製品目白押しの同イベントの中でも特に編集部が注目したのが日野自動車、HKS、小野測器だ。各社の興味深い新技術を紹介する。
災害時にも役立つ移動オフィス
日野自動車のブースには「デュトロZ EVモバイルオフィス」が登場した。ベースとなる車両は『デュトロZ EV』。2022年に登場した小型BEVトラックであり、物流のラストワンマイルを担うトラックとして注目されている存在だ。

そんなデュトロZ EVのパネルバン構造の荷台を活用することで新しい可能性を拡げるための試みが、今回のモバイルオフィスへの架装だ、EVであること、さらには超低床であるメリットを最大限に生かした架装がプランされた。そこでコンセプトになったのがオフィス。災害時などにも使える指揮車や災害支援車、移動オフィスが想定される用途だ。車内を見ると4脚のシートが取り付けられ、折りたたみ式のテーブルさらには大型の棚を設置。モニターやエアコンも取り付けられ、まさにオフィスとして活用できる仕様となっている。低床であることから荷室高=1795mmを確保するので車内の開放感も抜群。さらにBEVであるため、車内で電気を使うことができるのも魅力だ。また車載バッテリーから外部に給電することもできるため、災害時にトラックで救援物資を持って行くのに加えて、電気も被災地に供給できるというメリットを備えている。
さらに普通免許で運転できることから、災害発生時に自治体などの現地スタッフが自ら移動できるというメリットも備えている。もちろん排ガスが発生しないので屋内まで車両を残り入れることが可能な点も、災害時の物資の搬入などでメリットとなりそうだ。トラックは従来から客先のニーズに合わせて架装して納品することが多かったが、そのスタイルをデュトロZ EVではさらに広げ、オフィス利用に加えてトイレカー、移動販売車、移動図書館など、さまざまなジャンルでの活用が見込まれている。
日野自動車のブースにはもうひとつの注目アイテムが展示されていた。商用モビリティ利用プラットフォームの開発・運営、マネジメントサービス提供などを行う「CUBE-LINX」(日野と関西電力が共同設立)が手がける底面型充電器がそれ。その名の通りクルマの底面に充電口を設置してクルマを充電ユニットの上に駐車するだけで自動的に充電器を接続するという機器、車両側の機器にはQRコードを備え充電ユニット側からカメラで監視することで給電コネクターの差し込みを自動にしている。従来のように充電ガンを手動で差し込んで充電を開始する手間も無くEV充電のハンズフリー化を実現できるシステムとなった。
「HKS e-HIACE MULTI ENERGY CONCEPT」の現在地
2024年の東京オートサロンに出展され注目を集めたHKSの「HKS e-HIACE MULTI ENERGY CONCEPT」は、いよいよ実走行試験が始まり実用化への道を着実に歩み始めている。そんな現在進行形の開発報告が人とくるまのテクノロジー展のHKSブースでなされた。

HKS e-HIACE MULTI ENERGY CONCEPTはハイエースをハイブリッド化した車両、純正搭載の2TR(2.7リットル)エンジンはそのまま使い“発電用エンジン”として残すスタイル。AT部分に同社が開発したギアボックスを取り付けることで発電モーター/駆動モーターを設置するという仕組みだ。プロペラシャフトやデフなどの駆動部は純正を残したことでコストを下げつつハイブリッド化を果たすのが特徴。