スーパー耐久レースを舞台に、低炭素ガソリンの開発で“共挑”…ENEOS、トヨタ、スバル、マツダ、日産

(左から)トヨタ中嶋氏、スバル藤貫氏、エネオス藤山氏、STMO桑山事務局長、マツダ梅下氏、日産モータースポーツ&カスタマイズ木賀氏
(左から)トヨタ中嶋氏、スバル藤貫氏、エネオス藤山氏、STMO桑山事務局長、マツダ梅下氏、日産モータースポーツ&カスタマイズ木賀氏全 16 枚

ENEOS(エネオス) 、トヨタ自動車、スバル、マツダ、日産モータースポーツ&カスタマイズは5月31日、「スーパー耐久シリーズ2025 第3戦 富士24時間レース」開催中の富士スピードウェイ(静岡県)において会見を行い、共同で低炭素ガソリンの開発実証を行うと発表した。

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低炭素ガソリンは、既存の化石燃料由来のガソリンにバイオエタノールを混合したもの。バイオエタノールは、トウモロコシやサトウキビなどに含まれるグルコースならびに草本系植物やパルプ、古紙などを原料とするセルロースを発酵させて製造する。原料となる植物等が大気中のCO2の吸収することから、化石燃料と比べて炭素排出量が少なく、カーボンニュートラル社会実現に貢献する燃料として期待されている。

エネオスでは、これまでエタノール20%混合ガソリン(E20)の品質(JIS企画)が定義されていないことや国内外の技術情報が不足しているという課題に取り組んできた。海外では10%程度の混合濃度での社会実装が既に行われているが、日本ではバイオエタノールの安定調達や供給インフラの整備、燃料品質や車両搭載への対応が必要な段階だ。ENEOSホールディングス常務執行役員CTOの藤山優一郎氏は、「ガソリンとエタノールは単純に混ぜればいいというものはなく、ガソリン側の調整をしたり、トータルでどういう性能で出すかというところで安全ノウハウが必要だが、我々エネオスは長年ガソリンを扱ってきた経験があるので、そこは得意としている部分。今回も自動車会社の皆さんにはかなり綿密な試験をしてもらい、これなら使えると言っていただいている」と話す。

トヨタ自動車の中嶋裕樹 副社長 CTOは「カーボンニュートラル燃料(CN燃料)というのは保有の面から見ても絶対に必要なもの。現在保有されている車の割合を考えるとICEモデルも多く、CN燃料の活用によってCO2削減を進めていくことが重要だ。さらにはBEVに使う電気も再エネに切り替え、最後の最後はCO2を回収するということも自動車業界全体でやっていかなければならない」と話す。

また、バイオ燃料の普及が進んでいるブラジルを例に挙げ「ブラジルではバイオエタノール混合ガソリンの価格が通常のガソリンよりも安い。これは政府が補助金を出し、CN燃料を世に広めていこうという考えのもと積極的に進めているから。トヨタとしてもフレックス燃料車(Flexible-Fuel Vehicle 、FFV)の『プリウス』を投入して以来、様々な車種に適応させている。これらの動きはブラジルだけではなく、アジア諸国にもどんどん広がっていくのではないかと言われている。過渡期という話もあるかもしれないが、新興国までグローバルに目を広げていくとこのバイオ燃料というものこそが今、非常に重要なキャスティングボードを握ってる」と語った。

今回、ST-Qクラスでトヨタ(「#28 TGRR GR86 Future FR concept」「#32 TGRR GR Corolla H2 concept」/液体水素エンジンGRカローラ)、スバル(「#61 SUBARU High Performance X Future Concept」)、マツダ(「#12 MAZDA SPIRIT RACING RS FUTURE CONCEPT」)のマシン4台がそれぞれエタノール20%混合の低炭素ガソリンを使用し、レースに臨んでいる。日産も今後、この燃料を使用し出場することを宣言。各社が協力して耐久レースという過酷な条件下での知見を蓄積し、今後の技術開発に活かしていくという。

《吉田 瑶子》

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