1.6mだと?! 桁下の低いガードをめぐるこの不定期連載で、今回までで制限高さがいちばん低いガード、おそらく自動車が通れるガードでは都区内最低かと思われたのが、東京都江東区北砂にあるJR越中島貨物線の「第2八右エ門ガード」1.6mだ。
線路は南北に走っており、ガード下の道路は東側:江東区北砂2丁目から西側:江東区北砂1丁目への一方通行だ。明治通りの砂町銀座入口交差点から、砂町銀座とは反対側へ入る。この道は、鉄道が開通する前からある道筋だったが、現代の車両交通の水準では生活道路と言える。取材時に、往来する自転車は多かったが、しばらく待っても自動車は撮影できなかった。
ガード付近の道路はいずれも駐車禁止なので、下車して観察する際は注意したい。公共交通機関だと、錦糸町駅前~亀戸駅通り~西大島駅前~東陽町駅前~門前仲町を走る都営バス「都07」系統が頻発しており、地下鉄やJRとの乗り換えも便利だ。北砂二丁目バス停下車。「八右エ門」の名前は、北砂1丁目付近の旧町名「八右衛門新田」(はちえもんしんでん)に由来すると思われる。
交通標識には桁下の制限高さ「1.6m」とあるものの、実際には1.8~1.85mぐらい。かつてガードの付近には小名木川貨物駅があり、国鉄~JRの貨物輸送縮小に伴い廃止され、周囲は再開発された。貨物駅が稼働してた頃はガード上の線路の本数が今より多く、つまりガード下道路の延長も長く、桁下高さの低い部分があったのかもしれない。現状、桁下高さの実寸については都区内最低級ではないが、少なくとも標識の数字については都区内最低級だ。
貨物線が総武線と分岐・合流する亀戸(かめいど)駅の東側、江東区亀戸6丁目にも低いガードがある。道路は南北に通じており、北側の東武・亀戸線の踏切に隣接して、JR総武線(快速、各駅停車)をくぐる、桁下高さ1.5mの歩行者用通路になっている。大勢の人が日常行き来するガードとしては最低級の数字だ。
実際の桁下高さは1.75mていどで、取り立てて低いものではなくなるが、線路の高さの割に低い印象。亀戸駅ではかつて地平に貨物駅があり、高架の本線との間に連絡線があったそうだ。おそらくガードはこの連絡線の勾配の途中に位置するため、桁下高さに自由度がなかったと想像できる。現在までに大規模な改修工事があり、今では貨物駅も連絡線もない。このへんは鉄道史研究者の建築クラスタが詳しいはず。
■制限1.7mで実際は1.7mない
制限守ってもぶつかる! 高さ1.7mの低いガード…京王線・笹塚~代田橋
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