クルマでは、純正・市販を問わずメインユニットが備わっていれば音楽を聴くことができる。メインユニットにパワーアンプも内蔵されているからだ。しかし愛好家の多くは敢えて「外部パワーアンプ」を導入している。当連載では、その理由からこの活用法までを多角的に解説している。
◆本格システムの構築には今や、「DSP」の使用はマスト!?
今回からは、より本格的な外部パワーアンプの使い方について説明していく。本格的な使い方とは、「単体DSP」と組み合わせる、というものだ。
ところで、かつては本格的なカーオーディオシステムを組もうとするときには、「ハイエンドメインユニット+外部パワーアンプ」というシステムレイアウトが採用されることが多かった。ハイエンドメインユニットはプレーヤーとして高性能で、さらには高度な「DSP」が組み込まれていたので、それにて詳細なサウンドチューニングも行えた。
ところが2000年代以降、「メインユニット」を交換しづらい車種が増えていき、そしてAV一体型ナビが普及してハイエンドメインユニットを使いづらくなり、さらに近年では交換しづらい純正ディスプレイオーディオ装着車両が増加し、ますますメインユニットを交換しにくくなっている。
このような背景もあり、今や、ハイエンドメインユニットは姿を消した。それに準ずるモデルはあるものの、複雑なスピーカーレイアウトを敷く本格システムを組もうとするなら、DSPの使用がマストになっている。

◆“本格”を手軽に楽しみたいなら「アンプDSP」を、音にこだりたいなら「単体DSP」を!
ちなみにハイエンドメインユニットに準じたモデルとは、前回の記事にて取り上げたカロッツェリアの「ネットワークモード」を搭載した機種だ。これらなら、「マルチアンプシステム」を組めるので、外部パワーアンプの本格運用も可能となる。
ただし、フロント3ウェイ+サブウーファーというスピーカーレイアウトを敷きたい場合や、リアスピーカーまでを詳細にコントロールしたいときには、対応できない。なので、それらのケースでは外付けのDSPが選ばれることが多い。
またサウンドチューニング機能自体も、外付けのDSPの方が高性能だ。より詳細な設定を行える。なのでメインユニットの使い勝手も上げたいという場合を除いては、その点でも外付けのDSPが選ばれることの方が多くなっている。
ところで、DSPの中には「パワーアンプ」を内蔵した機種も多くあるので、それらを用いれば外部パワーアンプを導入する必要はない。
しかしマニアの多くは敢えて、「単体DSP+外部パワーアンプ」という選択をする。なぜなら、そうすることで一層本格的なシステム構築が可能となるからだ。外部パワーアンプには高性能なモデルが多々あり、その中から自分好みの1台を選び出せる。結果、よりこだわりを注いだマイベストシステムを完成できる。

◆「D級パワーアンプ」に狙いを定めると、本格システムを手軽に構築可能に!
しかしながら「単体DSP+外部パワーアンプ」にてシステムを組む場合には、どうしてもコストがかかりがちとなる。外部パワーアンプ選びにこだわれば高級機がほしくなり、「パワーアンプ内蔵DSP」と比べて使用機材の数も増えるのでインストールスペースも取り付けの手間もかさんでしまう。
でも、お手軽に楽しむ術もある。それは「D級パワーアンプを使う」というものだ。
「D級」という駆動方式は、注ぐ物量(コスト)がそれほど多くなくてもある程度の高性能化が効く。そして超小型化も効く。なのでリーズナブルでありながらあなどれないモデルがさまざまあり、しかもコンパクトなモデルも多い。そういった機種に狙いを定めると、製品代を抑制できかつインストールも合理的に行える。
例えばグローブボックスに収まるくらい小型のモデルを選ぶと、ケーブル類も短くて済み、ミニマムに本格システムを完成できる。
今回は以上だ。次回も「単体DSP+外部パワーアンプ」というシステムの構築法を解説していく。お楽しみに。