ロールスロイス・モーターカーズは世界で1台だけの『ファントム・ダンテル(Phantom Dantelle)』を発表した。この車両は中東の顧客が父親への贈り物として依頼したもので、同社のプライベート・オフィス・ドバイが手がけた。
デザインのインスピレーションとなったのは、希少なリバー織機で織られたクチュールレースで、立体的な花のモチーフと真珠のような柔らかなディテールが特徴だ。

最も注目すべきは、ギャラリー全体に施された精巧な刺繍アートワーク。8つの技法を駆使し、16万針以上のステッチで構成されている。フィリグリーのレースのようなベースはトリプルランステッチで形成され、その上にサテンステッチで花のデザインが描かれている。さらに真珠を思わせるディテールが立体的なアクセントとして加えられ、光を捉えて繊細な深みを生み出す。
リアシートのウォーターフォール・セクションにも約7万針の刺繍が施され、ギャラリーのデザインテーマを引き継いでいる。スピーカーグリルはローズゴールドで仕上げられ、刺繍のトーンを引き立てる。

インテリアは、サンライズとグレース・ホワイトのレザー、フロントとリアのヘッドレストに刺繍で施された「RR」のモノグラム、ピアノ・ホワイトのベニアで仕上げられている。
エクステリアは、ビスポークのツートーン仕上げで表現されている。ボディ下部はクリスタルのアークティック・ホワイト仕上げ、上部はクリスタルのパレ・ネマスカ・ドーン仕上げで、この依頼主専用のカラーとなっている。ダブル・コーチラインはサンライズで描かれ、手描きのモチーフとして真珠の「実」を持つ葉の枝があしらわれている。

22インチのディスクホイールは全面ポリッシュ仕上げで、センター部分はボディと同色、センター・ピンストライプにはアークティック・ホワイトが採用されている。パンテオン・グリルにはローズゴールドのスピリット・オブ・エクスタシーが冠され、刻印入りのトレッドプレートにも同じくローズゴールドが用いられている。
プライベート・オフィス・ドバイは、英グッドウッドにあるホーム・オブ・ロールス・ロイスの雰囲気を維持しながら、特別な体験を地域の顧客のもとに届けるスペースとして機能している。顧客はビスポーク・デザイナーやクライアント・エクスペリエンス・マネージャーと直接連携しながら、静かで快適な空間で特別な一台をオーダーできる。