ドゥカティ初のミドル専用設計エンジン「V2」が日本上陸! 新型『パニガーレV2』から新章が始まる

ドゥカティ 新型V2エンジン
ドゥカティ 新型V2エンジン全 93 枚

ドゥカティはこれからの時代に対応するため、そしてカスタマーのニーズに応えるため、NEWエンジンである「V2」(890cc)を2024年10月に発表。そのV2エンジンを搭載した初のモデルである『パニガーレV2S』がついに日本に上陸した。

【画像全93枚】

すでにドゥカティ正規販売店でのデビューフェアで多くのライダーが試乗し、SNSなどでも「軽い」「馴染みやすい」「これぞ新しいドゥカティ」と大きな反響が届き始めている。

今回はそのV2エンジンと新型パニガーレV2S』の技術発表会がドゥカティジャパンで開催されたため、参加してきた。

◆ドゥカティ本気のV2エンジンが登場、本国でもその仕上がりに感動

ドゥカティ 新型V2エンジンドゥカティ 新型V2エンジン

筆者(小川勤)は、2024年10月にイタリアのボローニャ本社を訪問し、本国のV2エンジン発表会に参加。2025年4月にはスペインで開催されたパニガーレV2Sの試乗会にも参加し、その素晴らしさを一足先に体感。帰国後の反響はとても大きく、ディーラーはもちろん、ファンの皆さんからパニガーレV2Sについて聞かれることが非常に多かった。それだけV2&パニガーレV2Sは、今のニーズに寄り添っているし、注目度が高いということだろう。

その注目のポイントになっているのは、大胆な軽量化だ。前モデルのパニガーレV2Sと比較すると、エンジン単体で9kg、車両全体で17kgの重量を削減。その数値のインパクトはとても大きい。

史上最軽量パニガーレとして登場したパニガーレV2Sは240万8000円。スタンダードのパニガーレV2は211万9000円史上最軽量パニガーレとして登場したパニガーレV2Sは240万8000円。スタンダードのパニガーレV2は211万9000円

また、V2エンジンはストリートファイターV2およびムルティストラーダV2シリーズにも搭載されている。ストリートファイターV2Sは17kg、ムルティストラーダV2Sは18kgも前モデルから軽量化されている。

今回は、改めてその軽さを生み出すために進化したディテールの数々を紹介しよう。

◆スペックダウンにデスモ不採用、しかし速さは変わらず?!

ドゥカティ 新型パニガーレV2Sドゥカティ 新型パニガーレV2S

MotoGPライダーのマルク・マルケスのSNSにNEWパニガーレV2Sの走行動画や写真が上がったのは2025年の1月。

890cc V2はそのスペックだけを見ると「ん?」と感じるところがいくつかある。まず前モデルのパニガーレV2Sのスーパークワドロよりも、排気量を65cc、パワーを35psも失っている。また、ドゥカティのスポーツバイクの伝統ともいえる、バルブ開閉機構のデスモドローミックを採用していない。

しかし、マルクは2025年初にスペインのサーキットで新旧パニガーレV2Sを乗り比べ、新型で1分12秒2(前モデルは1分12秒1)を記録。NEWパニガーレV2Sは、スペックダウンを感じさせないパフォーマンスを見せたのだ。

マルクは試乗後、開口一番「軽い、とても軽い」とコメント。軽さがブレーキングにも貢献し、エンジンが低速域から使いやすいこともアピールした。史上最軽量のパニガーレは、マルクのコメントにより、多くのライダーの疑問や不安を払拭した。

ドゥカティ 新型パニガーレV2Sドゥカティ 新型パニガーレV2S

また、ドゥカティ本社のテストで、マルク以外にも様々なライダーが新旧パニガーレをサーキットで乗り比べたところ、キャリアの浅いライダーほど、NEWパニガーレV2Sの方が良いタイムを刻んだとのこと。これはパワーやトルクといったスペックだけでなく、軽さをキーワードに新しいバイクを誕生させたドゥカティの方向性が正しかったことを証明している。

◆小さな積み重ねがエンジン単体で9kgの軽量化を実現

ドゥカティ 新型V2エンジンドゥカティ 新型V2エンジン

ドゥカティのスーパーミッドシリーズは1994年の『748』からスタートしている。このエンジンは『916』のダウンサイジングであり、これ以降のミドルツインはすべて大排気量からのダウンサイジングとなる。もちろん前モデルのパニガーレV2Sのスーパークワドロも例に漏れず、『1199パニガーレ』『1299パニガーレ』からの排気量ダウンだった。

ドゥカティ 新型V2エンジンドゥカティ 新型V2エンジン

そのため、エンジンが大きかった。例えばシリンダー周りの部品は共通のため、パニガーレV2はスリーブの肉厚が大きかったという。しかし、全バラになったV2は、各部に軽量化の工夫が見られる。一番の変更点は前述した通りデスモドローミックの廃止である。これが部品点数の軽減を実現し、ヘッド周りのコンパクト化を実現。また、バルブに関してはドゥカティ初の中空バルブ(慣性を5%低減)を採用。シリンダーとクランケースは一体となり、ミッションやクラッチハウジングのギヤも小さくなった。

ミッションも小さくなった部品の一つ。大パワーに対応しなくて良いため、各パーツがコンパクト化された。ミッションも小さくなった部品の一つ。大パワーに対応しなくて良いため、各パーツがコンパクト化された。

スーパークワドロは、ミドルクラス用のエンジンだが、200psに対応できる作りだった。しかし、V2は120psに対応すればいいため、各パーツがコンパクト化されたのである。エンジン単体で9kgの軽量化の秘密は、こうした一つひとつの積み重ねによるものである。

クラッチハウジングを新旧パニガーレV2Sで比較。左がスーパークワドロ(1,943g)で右がV2(1,576g)。ギヤの大きさが全然違うのがわかるクラッチハウジングを新旧パニガーレV2Sで比較。左がスーパークワドロ(1,943g)で右がV2(1,576g)。ギヤの大きさが全然違うのがわかる

◆車体も大幅にシンプル化で、17kgの軽量化を進める

史上最軽量パニガーレとして登場したパニガーレV2Sは240万8000円。スタンダードのパニガーレV2は211万9000円史上最軽量パニガーレとして登場したパニガーレV2Sは240万8000円。スタンダードのパニガーレV2は211万9000円

V2を搭載するために車体も設計を一新。先にデビューしたパニガーレV4のコンセプトを踏襲し、フレームとスイングアームは横方向の剛性を落とす方向で進化。フロントフレームには大きな穴が開き、スイングアームは片持ちから両持ちになった。

ドゥカティ パニガーレV2Sドゥカティ パニガーレV2S

またV2エンジンはVバンクを後方に20度傾けることで、車体設計の自由度を向上。エンジンをより前方に搭載することが可能となり、前輪の接地感を確保。また、これはスイングアーム長を確保できるメリットにも繋がり、トラクションを向上させた。小ささと軽さをアピールする一方でホイールベースは伸び、最新電子制御を搭載。現代のシャシーづくりを採用している。

ドゥカティ 新型V2エンジンドゥカティ 新型V2エンジン

またリヤサスがリンクを持たないカンチレバー式になったことにも注目したい。シンプル化=軽量化を実現している。

ドゥカティ 新型パニガーレV2Sドゥカティ 新型パニガーレV2S

そして7月2日に袖ケ浦サーキットでメディア向けの試乗会が開催された。改めて、パニガーレV2SとV2エンジンの実力をお伝えする。

眺めた時にどうすると美しく見せるか。そんなテーマを元にデザイン。ライダーを襲う熱気もかなり軽減されているとのこと眺めた時にどうすると美しく見せるか。そんなテーマを元にデザイン。ライダーを襲う熱気もかなり軽減されているとのこと

《小川勤》

モーターサイクルジャーナリスト 小川勤

モーターサイクルジャーナリスト。1974年東京生まれ。1996年にエイ出版社に入社。2013年に同社発刊の2輪専門誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。以後、2輪メディア立ち上げに関わり、現在は『webミリオーレ』のディレクターを担当しつつ、フリーランスとして2輪媒体を中心に執筆を行っている。またレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

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