走りも快適性も妥協しない! レグノGR-X IIIとエコピアNH200の真価

走りも快適性も妥協しない! レグノGR-X IIIとエコピアNH200の真価
走りも快適性も妥協しない! レグノGR-X IIIとエコピアNH200の真価全 7 枚

ブリヂストンは2025年6月16日、メディアを対象に「タイヤ実車評価技術体感試乗会」を開催した。この体感試乗会は普段タイヤ開発で行われているタイヤ評価方法の一部を紹介することが目的でり、そこで試乗したタイヤのインプレッションをお伝えしたい。

◆プレミアムコンフォート「レグノGR-X III」とエコタイヤ「エコピアNH200」

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試乗したタイヤは「レグノGR-X III」と「エコピアNH200」の2種。レグノGR-X IIIは2023年12月に発表、翌2024年2月から販売開始されたプレミアムコンフォートタイヤ。レグノGR-X IIIは従来のGR-X IIよりも乗り心地や静粛性をアップしたうえで、走りのポテンシャルも高めたタイヤとして位置づけられている。レグノシリーズには、今回試乗したレグノGR-X IIIのほかに、SUVやミニバン用にチューニングされたモデルや、SUV専用のレグノGR-X III Type RVも用意されている。

試乗用のクルマはトヨタ『カローラツーリング』で、あまりレグノが選ばれるようなクルマではない。Sタイヤなどのスポーツタイヤの場合は、ローポテンシャルなクルマへの装着で悪影響を及ぼすことがある。それはタイヤのグリップはいいものの、サスペンションが追いついて来ないといったような現象だが、コンフォート系のタイヤはおおむねいい方向に作用するものである。

◆カローラツーリングで体感した「レグノGR-X III」の魅力

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カローラツーリング+レグノGR-X IIIの組み合わせもいい方向へと作用していた。まず乗り心地がいい。テストコース内であり、平坦な路面なので段差や路面の継ぎ目を乗り越えるようなシチュエーションはなかったものの、全体としてスッキリしている印象。パターンノイズなどのノイズ類もよく抑えられている。じつはこうしたノイズや乗り心地の面をチェックするには、クルマは上級モデルではなくできるだけノーマルに近いモデルがいい。クルマ本体の防音性能や静粛性が高いと、タイヤの静かさがわかりにくいからである。カローラツーリングに履かせて静かならば、多くのクルマで十分な静粛性を確保できるだろう。

試乗はテストコースの区間ごとを決められた速度で走行するというものだった。速度を正確に保つには、勾配やコーナーの曲率に応じてアクセル操作を細かく調整する必要があるが、レグノGR-X IIIを履いたカローラツーリングではその調整がしやすい。勾配での速度低下はドライバーの技量のみで決まると言っても過言ではないが、コーナーでの速度低下はタイヤのパフォーマンスにも関係する。レグノGR-X IIIは適度な横方向グリップがあり、そのグリップを感じながらの走りがしやすい。かつては乗り心地のいいタイヤはハンドリングが甘いという傾向がみられたが、レグノGR-X IIIはそうした過去の常識を見事に消し去っているといえる。

◆エコピアNH200の実力と両モデルの比較

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さて「エコピアNH200」はどうだろう。エコピアNH200は2021年12月に発表。翌2022年2月から販売されている。エコピアブランドは低燃費性を重視したシリーズで、試乗したエコピアNH200のほかに軽自動車&コンパクトカー用のエコピアNH200 C、燃費性をさらに突き詰め全サイズで転がり抵抗係数AAAを実現したエコピアEP001S、EVとのマッチングを図ったEV専用タイヤエコピアEV-01の4シリーズがリプレース用としてラインアップされている。

エコピアNH200はレグノGR-X IIIと比べると若干ノイジーではあるが、大きな差ではない。路面がきれいで安定していたので、ノイズ発生が少ないことも影響しているだろうが、現代のタイヤとして十分な静粛性を持っている。エコピアシリーズにはさらに燃費を重視したEP001Sがあり、とにかく燃費というユーザーはEP001Sをチョイスするだろうから、エコピアNH200は平均的なタイヤで燃費も気にするユーザー向けということだろう。

乗り心地も極端な硬さを感じることもない。レグノGR-X IIIと比べるとアクセルを緩めたときの滑走感が強く、ここでは回転抵抗が少なくエコタイヤであることを感じられる。指定された速度を維持して走るという行為となると、回転抵抗が少なく滑走感の強い部分が難しさを増す。上り勾配はいいのだが、下り勾配ではどうしても速度が上がってしまう。リアルワールドの走りでは気にならない部分ではあるが、テストコースでの走りとなると違ってくる。

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コーナリング時のグリップ感にも不満はない。今回の試乗では十分に安定してコーナリングできる速度が指定されていたため、レグノGR-X IIIと比べても遜色は感じない。重箱の隅をつつきながら唯一異なるところを探すとすれば、コーナリング中にラインを変える修正舵についてはほんの少しだけレグノGR-X IIIのほうが上という印象。しかし、その差はわずかだ。

ブリヂストンの通販サイトを見るとレグノGR-X IIIとエコピアNH200の価格差は1本あたり1万円程度。コスト面などいろいろと考慮したうえで、カローラツーリングへの装着となるとエコピアNH200のほうがマッチしそう。しかし、逆に考えればカローラツーリングにレグノGR-X IIIを履かせることで、走りのグレードを上げられるのもまた事実。タイヤ選びはクルマの性格を変える要素だけに、いつも悩みの元となるのである。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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