北海道宗谷地域で活躍するヤマハ発動機のミズダコ漁向けのFRP製小型漁船が、34年ぶりにフルモデルチェンジを果たした。
7月中旬に行われた新型の「DY-48I-0A」試乗会では、約30人の漁業従事者が乗船し、「2m超の波でも安定感があるし、スピードも出せる」「舵の効きがバツグン。タコがかかった樽に早く移動できるので、体力温存にもつながる」などと評価した。

新モデルは1990年発売の「DY-48G-0A」の後継で、これまでの特別仕様変更を約120カ所に及び対応してきた課題を解消。設計担当の尾崎吉彦氏は、若い漁業者の増加や水産庁が推進するスマート水産の効率化に対応するため、漁労の実態を深く理解し設計に反映したと説明する。
燃費性能は模型実験やシミュレーター検証により約16%向上。年間燃料代が1隻あたり約800万円とされる中、燃料高騰の影響を軽減する効果が期待される。また、艇体の安定性向上や低速時の小回り性能も強化され、漁労時の疲労軽減に寄与する。

営業担当の樹林謙氏は「新艇は漁家にとって家の新築に等しい。誠心誠意向き合い進水式を迎え、豊漁で漁師の笑顔に繋げたい」と語った。
国内初の量産型FRP漁船発売から60年以上の歴史を持つヤマハ発動機は、今後も現場のニーズに応え日本の漁業の持続的発展に貢献していく方針だ。