「インナーバッフル」は市販品でOK? ワンオフすべき?[イン・カー・リスニング学…スピーカー編]

市販「インナーバッフル」の一例(カロッツェリア・UD-K5313)。
市販「インナーバッフル」の一例(カロッツェリア・UD-K5313)。全 3 枚

車内は格好のリスニングルームだ。なぜなら、誰にはばかることなく好きな楽曲を大きな音量で楽しめるからだ。当連載では、そのリスニングルームのコンディションアップのポイントを総合的に解説している。現在は、「スピーカー」にスポットを当てている。

◆「スピーカーを作る」作業においては、「インナーバッフル」が不可欠!

さて、ここまで説明してきたとおり、カー用のスピーカーは売られている状態ではまだ半完成品だ。クルマに取り付けて初めてスピーカーとして完成する。つまり、スピーカーを取り付ける作業はすなわちスピーカーを作る作業となるわけだ。

かくして前回からは、「スピーカーを作る」という作業の中身の解説を開始し、最初にドアスピーカーの取り付け作業には「インナーバッフル」が必要となることを説明した。それに引き続いて今回はインナーバッフルについてさらに詳しく解説していく。

ところで「バッフル」という言葉の意味を説明していなかったので触れておきたい。バッフルとは「邪魔板」とか「調節板」という意味を持つ言葉で、流体や気体の流れを制御する役目を果たす板のことをいう。で、音響的には、スピーカーの表側から放たれる音と裏側から放たれる音を交わらないように前後の空間を仕切る役目を果たす板のことを指す。

市販「インナーバッフル」の一例(カロッツェリア・UD-K6シリーズ)。市販「インナーバッフル」の一例(カロッツェリア・UD-K6シリーズ)。

◆バッフルはキャンセリングを防止するためのもの。しかし…

というのも、スピーカーは表側からも裏側からも音を発するのだが、それらは耳で聴く分には同じ音ながらも音波としては真逆の関係にある。なぜなら同じ瞬間に表側と裏側とでは振動板の動き方が真逆だからだ。表側で振動板が前に出ているときそれを裏側から見ると引っ込んだ状態となっている。

で、耳で聴く分には同じでも音波としては真逆の関係にある音は、同一空間で交じり合うと互いを打ち消し合うこととなる(この現象のことは「キャンセリング」と呼ばれている)。バッフルは、それを防ぐためのものなのだ。

とはいえバッフルで前後の音が交わるのを防ごうとすると、相当に大きなバッフルが必要となる。なので「ボックス」が用いられる。板を箱にすれば、その中に裏側の音を閉じ込められるのでキャンセリングが起こらない。

では話をまとめよう。バッフルは本来、大きな板であるはずなのだが、インナーバッフルはそうではない。リング状をしていて、前後の空間を仕切る役目は果たさない。ただ、「スピーカーを取り付ける面」という意味ではバッフルと同様だ。そのことを持ってバッフルという名称が付けられているというわけだ。

ワンオフされた「インナーバッフル」の装着例(製作ショップ:サウンドカーペンター<愛媛県>)。ワンオフされた「インナーバッフル」の装着例(製作ショップ:サウンドカーペンター<愛媛県>)。

◆手頃さを取るか、性能を取るか…。最近は「市販品」の高性能化も進行中!?

さて、そのインナーバッフルにはタイプ違いが大きく分けて2つある。1つは「市販品」でもう1つは「ワンオフ品」だ。前者はつまりは「既製品」で後者は「特注品」だ。

違いを説明していこう。まずリーズナブルなのは市販品で、より性能が高いのはワンオフ品だ。ただし最近は市販品にも高性能なものが出ている。特に金属製の市販品は価格は比較的に高めながらも性能も上がる。特に耐久性のアップが顕著だ。なので性能を追求したいのであれば金属製の市販品にも目を向けよう。

ちなみにワンオフ品が高性能であるポイントは、「装着する車両と使用するスピーカーとにジャストフィットするものを用意できるから」だ。また、厚みも状況に応じてベストな厚みにて仕上げられる。

なお、素材に何を使うかでも得られる効果が変化する。加工がしやすいのは「MDF」だが、堅く高耐久で響きが良いとされる「合板」が使われたり、耐久性を重んじて「アクリル」や「アルミ」が使われることもある。

今回は以上だ。次回は「デッドニング」について説明する。乞うご期待」

《太田祥三》

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