「見えない! 止まれない!! 流される!!!」に備える…豪雨時の自動車運転

豪雨での走行
豪雨での走行全 6 枚

豪雨の中での運転は、視界不良や制動距離の延長、冠水による車両流失といった危険が高まる。関連当局や道路事業者は「見えない・止まれない・流される」の三つのリスクを前提に、慎重な行動を呼びかけている。

◆やること

まず、速度を大きく落とし、車間を長く取ることが基本だ。濡れた路面ではタイヤの摩擦が低下し、制動距離が伸びる。米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)もスピードダウンと車間拡大を推奨している。

昼間でもライトを点灯し、自車の存在を周囲に知らせることも重要だ。警察庁や日本自動車連盟(JAF)は雨天時の日中点灯を呼びかけている。

出発前にはタイヤの残り溝を確認する。保安基準では溝が1.6mm未満のタイヤは使用不可とされ、JAFや日本自動車タイヤ協会(JATMA)は、溝の浅いタイヤはハイドロプレーニング現象が起きやすいと警告している。

冠水したアンダーパス冠水したアンダーパス

◆避けること

冠水しやすいアンダーパスや地下駐車場は避ける。停止する場合は、安全な場所を選ぶ。高速道路では安易に停止せず、最寄りのインターチェンジやパーキングエリアまで移動することが原則だ。停車時は路肩外への退避と発炎筒の使用が推奨される。

また、水没時のドアや窓は開かない場合があるため、脱出用ハンマーなどの備えと使用方法の事前確認も欠かせない。

避けるべき行動としては、冠水した道路への進入が挙げられる。米国気象局やNHTSAによれば、流れのある水深約30cmで乗用車は、約60cmでSUVも流される可能性がある。静水でも30~60cmで浮力の影響を受け始めるとの研究もある。クルーズコントロールの使用や急なハンドル・ブレーキ・加速も危険だ。

技術的には、舗装のテクスチャやタイヤ溝が深いほどハイドロプレーニングの発生速度は上昇する。路面テクスチャを0.76mmから3.81mmに深くすると、発生予測速度が約16km/h上がるとの報告がある。

◆もし豪雨に遭遇したら

豪雨に遭遇した場合は、速度低下と車間拡大、ライト点灯、冠水地帯回避を徹底し、安全な退避場所まで走行する。冠水を確認したら必ず引き返すことが命を守る行動となる。

実践フロー
1)速度低下+車間拡大
2)ライト点灯(フォグは対向車妨げない範囲で)
3)アンダーパスなど回避
4)高速道路なら走行を継続し、安全な退避場所へ(やむを得ず停止したら乗員は路肩外へ退避、発炎筒は着火など)
5)冠水を見たら引き返す

《高木啓》

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