【スズキ ジクサー250 試乗】250ccでダントツにリーズナブル! この手軽さと奥深さはスズキ随一の仕上がりだ…伊丹孝裕

スズキ ジクサー250
スズキ ジクサー250全 31 枚

スズキの250ccロードスポーツ『ジクサー250』(以下、ジクサー)に試乗。ストレスを感じることなく毎日使え、どこへでも乗っていける手軽さは、スズキ随一の仕上がりだった。

◆ダントツにリーズナブルな『ジクサー250』

単気筒か、2気筒か。油冷か、水冷か。ネイキッドか、フルカウルか。スポーツ寄りのアドベンチャーか、ツアラー寄りのアドベンチャーか…と選択肢の幅がやけに広いスズキの250ccクラスの中にあって、最もリーズナブルなモデル(48万1800円)が、このジクサーである。

というか、主要な他メーカーの同排気量帯を含めても、乗り出しのハードルはダントツに低く、同社のものづくり理念「小・少・軽・短・美」に、「安」や「得」も加えたような存在だ。

スズキ ジクサー250スズキ ジクサー250

ジクサーは、スチールのバックボーンフレームに油冷の4サイクル単気筒エンジンを搭載する。初代モデルは2020年6月に発売され、これまで大きな変更なく(途中で排ガス規制への対応が施された)、価格上昇も最小限に抑えながら幅広いユーザーを支えてきた。

スズキと言えば油冷であり、油冷と言えば『GSX-R』である。ジクサー(GIXXER)というネーミングもGSX-Rの海外呼称に由来するため、その過去を振り返って壮大な歴史絵巻にすることもできるが、収拾がつかなくなりそうな気もするので、詳細はスズキの公式サイト内に設けられている「GSX-R 40周年スペシャルサイト」をご覧ください。

◆「手練れ感」を味わわせてくれる

スズキ ジクサー250スズキ ジクサー250

さて、そんなジクサー。SACS(スズキ・アドバンスド・クーリング・システム)と呼ばれたかつての油冷方式とは異なるものの、やはりエンジンに妙味がある。

今作では、SOCS(スズキ・オイル・クーリング・システム)という、やけに控え目というか、なにを誇ることもない名が与えられているわけだが、低回転域の扱いやすさ、中回転域のリニアさ、高回転域の伸びやかさがバランス。乗り手の気分によって、あるいは走る環境によって、それらを自由に選択し、行き来することができる。

3000rpmも回っていれば、実用的な力強さでストップ&ゴーを繰り返すことができ、5000rpm~6500rpmではスロットル開度に対して、ダイレクトな加速と小気味いい蹴り出しを披露。そこから先、8000rpm~10000rpmでは一段とシャープさが増し、単気筒特有の頭打ち感を意識することもなく、上までしっかり使い切れてしまう。

スズキ ジクサー250スズキ ジクサー250

どんな回転数でも鈍感だったり、敏感になったりすることはなく、適切なギアレシオのおかげもあって、特にワインディングではどんどん開けていきたくなり、実際に開けられる。少々腕に覚えのあるライダーなら、回せるがゆえにレブリミッターまで簡単に到達してしまうだろうが、慣れてくるとタコメーターを見なくとも、左手と左足を駆使し、その手前で留めておけるようになるはず。

エンジン回転数を上げ過ぎず、下げ過ぎず、パワーバンドを巧みにキープし続けるという手練れ感を味わわせてくれる。

◆バイクへの敷居を下げ、奥深さももたらしてくれる

スズキ ジクサー250スズキ ジクサー250

それを後押しするのが154kgの車重、1345mmのホイールベース、そして胸下と股下に車体がすっぽり収まっているかのようなライディングポジションだ。つまりそれは、軽く・短く・コンパクトという意味と同義であり、振り回せるような手の内感を提供してくれている。

もっとも、それでシャシーが頼りなければ、盛り上がった気分に水を差されるところだが、ベースになった『ジクサー150』から大幅に強化されたフレームやしなやかなサスペンション、十分なグリップ力を発揮するラジアルタイヤがフォロー。スキルやキャリアをほとんど問うことなく、誰もがコーナリングを楽しめるに違いない。

125ccや150cc並の車体に、250ccならではの余力を込め、だからといってピーキーでもスパルタンでもないジクサーは、バイクに乗るという行為の敷居を下げ、それでいて奥深さももたらしてくれる存在である。

スズキ ジクサー250スズキ ジクサー250

■5つ星評価
パワーソース ★★★★★
ハンドリング ★★★★
扱いやすさ ★★★★
快適性 ★★★★
オススメ度 ★★★★

伊丹孝裕|モーターサイクルジャーナリスト
1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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