スマホメーカーが造るクルマは、なぜ中国で売れるのか?…ワイズイノベーション 代表取締役 吉川真人氏[インタビュー]

スマホメーカーが造るクルマは、なぜ中国で売れるのか?…ワイズイノベーション 代表取締役 吉川真人氏[インタビュー]
スマホメーカーが造るクルマは、なぜ中国で売れるのか?…ワイズイノベーション 代表取締役 吉川真人氏[インタビュー]全 1 枚

来たる9月9日、オンラインセミナー「Huawei・Xiaomiが切り拓く中国スマートカー最前線 ~巨大市場で進む“技術×価格戦略”のパラダイムシフト~」が開催される。セミナーに登壇するのは、中国・深圳を拠点とし、現地の消費者動向に詳しいワイズイノベーション株式会社 代表取締役 兼 吉川國際貿易諮詢有限公司 董事長である吉川真人氏。

今回のセミナーは以下のテーマで進められる。

1.Huaweiが自動運転ADSに仕掛けた「サブスクモデル強化」の背景と狙い
2.Xiaomi SU7/YU7に見る「ユーザー視点の設計思想」と評価の実態
3.技術優位だけでは勝てない時代の“価格設計と普及戦略”とは
4.日本企業にとっての示唆と今後のビジネス機会
5.対談・質疑応答

講演の後には、本セミナーのモデレーターであるスズキマンジ事務所 代表(株式会社デンソー 技術企画部 CX)である鈴木万治氏を交えて、参加者からの質疑応答やディスカッションの時間が用意されている。

吉川氏に、セミナーの見どころを聞いた。

スマホメーカーがEV市場の台風の目に

「スマホメーカーが自動車産業に参入している、という点では同じですが、実際の両社のスタンスはかなり違います」。

中国・深圳在住で、自らもEVオーナーであるワイズイノベーション株式会社 代表取締役兼 吉川國際貿易諮詢有限公司 董事長である吉川真人氏は、中国新興EV市場の新勢力、ファーウェイとシャオミの関係をこう語る。

世界最大の自動車市場である中国において、最近の話題は、スマートフォンで世界を席巻したIT企業だ。彼らはいかにして消費者の心を掴んでいるのか。両社の対照的な戦略、消費者のリアルな視点、そして日本の自動車産業が学ぶべき新たな視点競争原理を吉川氏に聞いた。

黒子に徹するファーウェイの市場参入戦略

ファーウェイとシャオミ。両社はともにスマホ事業で成功を収めたが、自動車産業へのアプローチは正反対だ。

ファーウェイは、一貫して「自社で車を製造・販売していないし、今後もすることはない」と公言している。しかし、その影響力は市場で絶大だ。彼らが選んだのは、自社の強みである通信インフラ、AI、クラウド、デバイス製造などの技術を武器に、既存の自動車メーカーを支援するサプライヤーとしての道である。

吉川氏はこの戦略を、「ファーウェイ自身が前面に出てしまうと、またアメリカに制裁をかけられてしまう可能性はある。そこで、地政学リスクを踏まえた役割として彼らは車を作らないとしながらも、サプライヤーとして複数の自動車メーカーと組むことでリスクヘッジしている」と分析する。

実際、ファーウェイはセレスと組んだ「AITO(問界)」ブランドを皮切りに、奇瑞汽車とは「LUXEED(智界)」、北京汽車とは「STELATO(享界)」、江淮汽車とは「MAEXTRO(尊界)」を立ち上げ、さらには上海汽車ともブランドの立ち上げを進めるなど、新エネ車市場において一大勢力となっている。

この戦略を支えるのが、中国国内における圧倒的なブランド力だ。「中国では、中国国外と異なり、概してファーウェイへの信頼が高く、技術面でファーウェイと組んでいれば安心、というイメージにつながる」 と吉川氏は言う。中国の消費者は、AITOの車を事実上「ファーウェイの車」と認識しており、「ファーウェイが入っていれば安心」 という絶大な信頼が、販売を強力に後押ししているのだ。

カリスマCEOが手掛ける「最後の創業」

一方のシャオミは、ファーウェイとは対照的に、自らが自動車メーカーとなる道を選んだ。CEOの雷軍(Lei Jun)氏が「人生最後の創業プロジェクト」と位置づけて挑んでいる。そのアプローチは、「スマホを作った発想を、そのままEVに転用する」 というものだ。具体的に説明しよう。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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