【エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC試乗】エクストレイル史上最高の乗り心地に感動…加茂新

新型 日産「エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC」
新型 日産「エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC」全 57 枚

2022年に登場した4代目の日産エクストレイル』のマイナーチェンジが発表された。前モデルから人気グレードの1つが「AUTECH」で、今回満を持して初投入されたのが「AUTECH SPORTS SPEC」だ。

新型 日産「エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC」新型 日産「エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC」

AUTECHの車両製作を手掛ける旧オーテックジャパンは1986年に設立された会社で、主に日産の特別仕様車の開発や製造を行ってきた。日産『スカイライン GT-R』(R33)の4枚ドアや、日産『ステージア』にR33GT-Rのエンジンと駆動系を載せたステージア・オーテックバージョンなどを作ってきた。2022年にNISMOことニッサン・モータースポーツ・インターナショナルと合併し、現在の日産モータースポーツ&カスタマイズとなった。

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だが、AUTECHとしてのブランドは不変。上質さを高めたグレードとして存在している。今回もエクストレイルのマイナーチェンジに伴って、前モデルと同じく「AUTECH」モデルが設定された。

◆ノーマルから上質さを極めた「AUTECH」、エクステリアもインテリアも抜かりなし

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外装は高級感を高めているのが特徴。フロントグリルはAUTECHエンブレム入りになり、専用サイドターンランプ付き電動格納式リモコンドアミラー、フロントプロテクター、リヤプロテクターもメタル調フィニッシュ、ホイールアーチはグロスブラックに変更された。さらにリアハッチやセンターコンソールにも、AUTECHのエンブレムが華を添える。

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AUTECH専用20インチアルミホイールには、専用チューニングが施されたMICHELIN PRIMACY4(255/45R20)がセットされる。ちなみにタイヤサイズはNISMOも同様だが、AUTECHのホイールは0.5Jリム幅が狭いセッティングとなる。

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内装は専用ブラックテーラーフィット巻ステアリングにブルーステッチを配置。インストロアフィニッシャーは紫檀のダークな木目調に、インストピンモールはダーククロム、ブラックレザーシートにはAUTECH刺繍+ブルーステッチを配された専用キルティングとなる。ブラックトリム/インストパッド/センターコンソールボックスも同様にブルーステッチの仕立てだ。

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AUTECHはNISMOグレードと同様に専用サスペンションと専用駆動力制御、専用VCM(アクセル操作や回生の制御)、パワステMAPが採用される。この専用サスペンションはカヤバ製のSwing Valve付きショックアブソーバーで、非着座バルブの構造を活かして極めてゆっくりサスペンションが伸びたり沈んだりするときに減衰力を発生させ、乗り心地を良くしてくれる。

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ドライブモードの制御も変更されていて、基準車に比べてAUTOでは加速力とレスポンスをアップ、後輪駆動配分も高めて滑らかで伸びやかな加速を実現。SPORTではさらに加速力とレスポンスをアップし、後輪駆動配分もさらに高めた。それによってワインディングロードや加減速が多い場面で爽快に気持ち良く走れるようにセッティングしている。

また、4輪の駆動力を制御する「e-4ORCE」は「AUTECH SPORTS SPEC」専用セッティングを採用。コーナー出口での加速時に発生するアンダーステア挙動を抑え、ライントレース性を高めている。

◆「AUTECH SPORTS SPEC」は走りまで上質さをアップ、秘密はパフォーマンスダンパー

YAMAHA Performance DamperYAMAHA Performance Damper

さらにAUTECH SPORTS SPECにのみ設定されているのが「YAMAHA Performance Damper」。こちらはボディの振動やしなりなどを吸収し抑えるダンパーで、乗り心地が良くなる。アフターパーツとしても販売されているが、一部新車時から装着されているクルマもある。

YAMAHA Performance DamperYAMAHA Performance Damper

今回はテストコース内で試乗となった。直線は高速道路を想定した最高時速100km/hで走行。コーナーは大小とS字があるが、決して限界走行ではなく法定速度内で一般道の走行と何ら変わらない条件だ。

走り出すと、まず乗り心地の上質さが伝わる。このカヤバ製サスペンションは他車種でも試乗したことがあるが、ピストンバルブに締め付けられているわけではなく、非着座状態でオイルのなかに置かれるSwing Valveが極めて微妙な減衰力を生み出してくれる。

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サスペンションはゆっくり走るときも、高速道路などフラットな路面を走るときも微妙に上下にストロークしている。その領域の減衰力がないと、そこが上下に動いてクルマがぴょこぴょこして不快。かといって、一生懸命そこで減衰力が出るようにしていくと大きめの段差などでサスペンションのストロークを抑制してしまい乗り心地が悪くなってしまう。そのジレンマをSwing Valveが解消してくれている。極めて微妙な動きから減衰力が発生してサスペンションの無駄な動きを抑えてくれるので、乗り心地がしっとりとしている。

ここまでは同じサスペンションも持つ「NISMO」グレードも変わらない。しかしAUTECH SPORTS SPECはさらにワンランク上。同じサスペンションにさらに「YAMAHA Performance Damper」が装備されさらに上質感が引き立てられている。

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ボディの微妙な振動などを吸収するYAMAHA Performance Damperがあることで、純粋に乗り心地が良くなっている。コーナリングで曲がり出すとボディは微妙にひねられてしなっていく。ボディのしなりやその戻りをコントロールしてくれることで、曲がるときのハンドル舵角が一発で決まるようになる。自然と修正舵が減って運転が楽になり、スムーズに曲がれるようになる。

その足まわりともともと上質でさらに扱いやすく調教された駆動制御が相まって、極めて快適なSUVに仕上がっている。長距離走行も楽で、ワインディングロードも楽しく走れることは間違いない。それほどまでの完成度の高さに驚かされた。

チューニングライター 加茂 新氏チューニングライター 加茂 新氏

ベース車のXグレードは434万9000円。それが「AUTECH」になると514万1000円。「AUTECH SPORTS SPEC」はさらに76万1000円アップの590万2000円となるが、正直その価格差を後から使っても、ここまでの仕上がりはまず不可能だろう。ちょっと高めと感じるかもしれないが、満足感は間違いなく高い。きっと開発陣が密かに一番自信を持っているのではないかと感じられる、段違いのトータルバランスであった。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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