【三菱 デリカミニ 新型】開発責任者が語る、キープコンセプトの理由と進化した「デリカらしさ」

三菱 デリカミニ 新型(左)と従来型(右)
三菱 デリカミニ 新型(左)と従来型(右)全 49 枚

三菱自動車は22日、軽スーパーハイトワゴン『デリカミニ』のフルモデルチェンジを発表。今秋の発売を予告し、予約受付を開始した。三菱らしいSUVテイストや、親しみやすいデザインといった好評なポイントはキープしながら、全面進化を果たしている。

【詳細画像49枚】三菱 デリカミニ 新型と従来モデル

三菱としては久々のヒット車となったデリカミニだが、新型の開発においては何が求められたのか。デリカミニの「強み」と「弱み」とは。開発責任者に直撃した。

◆デリカミニの「強み」と「弱み」

三菱 デリカミニ 新型と開発責任者の藤井康輔さん三菱 デリカミニ 新型と開発責任者の藤井康輔さん

新型デリカミニの開発責任者をつとめる三菱商品戦略本部チーフ・プロダクト・スペシャリストの藤井康輔さんは、現行デリカミニの前身である『eKクロススペース』をはじめとした軽自動車シリーズの開発に携わってきた、いわば三菱の軽のキーマンだ。それだけにデリカミニの「強み」も「弱み」も熟知している。

藤井さんはその強みについて、「強みはクルマとしてのキャラクターの強さです。それとお客様のクルマに求める満足度、情緒的価値感の高さが強みです。これは自分は(人とは)違うクルマに乗っているという満足感ですね。『デリカD:5』でいえば高いオフロード性能が備わっていることによる満足感。これがデリカミニでも感じられているんです」と解説する。

一方で弱みは、「あまり大きなものはない」としたうえで、「(ユーザーからの声で)多かったのは内装が他と一緒だから残念というものでした。また多くのユーザーがアクティブに使われていることから、シートがフラットにならないという声もありました。同じようにシートバックテーブルが片側にしかないので、それが両方欲しいなどですね。新型ではこういったことは全部解決しました」という。

しかしひとつだけ解決できなかったことがあった。それはガソリンタンク容量の拡大だ。デリカミニの燃料タンクは27リットルで他の軽自動車とほぼ同じだが、前述の通りユーザーはアクティブに遠出をする機会が多いことから、「もっと大きなタンクが欲しいという要望を頂いていました」というが、「今回はレイアウトの関係もあり同じサイズになってしまいました。これは本当に心残りで」と藤井さんは悔しさをにじませる。

◆「専用の内装」へのこだわり

三菱 デリカミニ 新型三菱 デリカミニ 新型

こうしたユーザーの声に応える以外にも、三菱として、開発責任者としてのこだわりがあった。「最もやりたかった」ことは大きく2つ。

ひとつは「デリカミニ専用の内装」だ。「先代の外観はデリカミニですが、室内はシート生地は変えられたものの、それ以外は『eKスペース』と変わらないんです」。もうひとつは、「三菱、四駆、デリカときたらやっぱり走行モードをダイヤルで触りたいですよね」。その思いからデリカミニ専用のインパネが完成したのだ。

三菱 デリカミニ 新型三菱 デリカミニ 新型

しかしNMKV(日産自動車との軽自動車に特化した合弁会社)での日産との共同開発車であることを踏まえると、この決断はかなり厳しかったのではないか。そう藤井さんに聞くと、「2つの説得がありました」と明かす。1つは三菱に対してだ。こちらは、「会社のマインドとして三菱らしいクルマをちゃんと作ろう、これぞ三菱という商品じゃないとダメだというのが経営トップから降りてきていますので、非常にやりやすかった」とのこと。

もうひとつは、日産に対してだ。藤井さんは、「三菱としてこういうことをやりたいという理解を求めていくために、我々のテストコースを走ってもらって、こういうところで評価をしていることや、こう仕上げていきたいんだと説明し、理解を求めていきました」と明かす。その結果として、内装はもとより走行モードも三菱ならではのグラベルモードとスノーモードを追加することができた。

◆かっこかわいくて愛くるしい表情と、デリカらしさ

三菱 デリカミニ 新型(上)と従来型(下)三菱 デリカミニ 新型(上)と従来型(下)

しかし、藤井さんが新型で最も強調したいのはデザインだという。「四駆性能などは三菱なのでPRしたいところですが、全員が四駆性能を求めているわけではないんですね。ですから一番はデザインで、これぞデリカミニというエクステリアデザインと、今回こだわった内装を最もアピールしたいです」と話す。

そのエクステリアデザインは、誰が見てもデリカミニとわかるほどにキープコンセプトだ。そこは藤井さんも認めるところで、「変えると“デリ丸。”(デリカミニをデフォルメしたキャラクター)も変えなくてはいけないでしょう」と冗談めかしながらも、「先代のかっこかわいくて愛くるしい表情と、一番のシンボルになっている半円形のシグネチャーランプは踏襲しました。そのうえで三菱らしいクルマ、特にデリカのネーミングを冠していますので、デリカらしさをお客様に感じていただけるクルマにしたい、というこの2つは先代から変わっていません」と説明した。また、登場から2年という短いスパンでのフルモデルチェンジとなったことや、現在のデザインが非常に好評であることも、キープコンセプトにつながった要因といえる。

三菱 デリカD:5(左)とデリカミニ 新型(右)三菱 デリカD:5(左)とデリカミニ 新型(右)

では藤井さんの考える「デリカらしさ」とは何か。

「いろんな見方がありますが、商品としては形とか四駆性能です。一方お客様目線では、大切な家族や仲間との楽しい時間や大事な時間を過ごせる空間というのが一番の基本コンセプトなんです。そのために、よりアクティブに活動できるような仕様や、それを裏付ける安心感のあるタフな外観、広い室内空間を確保するなど、それぞれの狙いに合わせてクルマを仕上げています」と説明する。

「デリカミニもデリカの名前を冠するからにはその基本コンセプトにはこだわっています。デリカが目指したタフなデザインや高い走行性能はいろんな路面でも安心して走ることができるわけですが、デリカミニにそのまま採用するとさすがにオーバースペックになってしまうので、ちょうどいいバランスでいかに入れ込むかを突き詰めていきました」

三菱 デリカミニ 新型三菱 デリカミニ 新型

その上で、デリカミニでは静粛性や乗り心地も高めた。「家族と会話する時間も大事にしたいですし、その時にオフロードを走っていて乗り心地があまりに悪かったら、楽しい時間を過ごせないでしょう。そういうところをこだわってデリカミニを仕上げていきました」と藤井さんは話す。また様々な先進機能などを追加したのも基本コンセプトに沿ったものだ。

そうして仕上がった新型デリカミニ。藤井さんは、「装備も含めて軽の枠を超えたクルマに仕上がっています。一度試乗していただければ、これまで軽自動車に乗ったことのない方でもきっと満足いただけるレベルに仕上がっているでしょう」とその仕上がりに自信を見せる。

三菱 デリカミニ 新型三菱 デリカミニ 新型

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「飛びついちゃうよね」第3のエコカーがフルモデルチェンジ!? 次期ダイハツ『ミライース』に期待の声
  2. レクサス『NX』ビッグマイナーチェンジはこうなる…新デザイン採用で商品力を大幅強化か
  3. アキュラ『インテグラ』の「タイプS」、FF車の新記録を達成…パイクスピーク 2026
  4. 【シボレー コルベット Z06 新型試乗】ノーマルとは別物、まさに「洗練の極み」…中村孝仁
  5. ホンダ『シビックタイプR』受注停止のままモデルチェンジへ、登場は2026年秋か…最終デザイン
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. ボルボカーズ、2028年以降の車両にアプティブのGen 8レーダー採用へ…悪天候や複雑な市街地でも高精度センシング
  2. ボッシュ、ヒューマノイド向け需要拡大でロボティクス事業を強化
  3. アステモが執行役員を解任、「職務遂行の適切性に問題」…子会社社長も交代
  4. SDV時代、進化するアフターマーケットの“今”と“未来”が一堂に…「アウトメカニカ フランクフルト 2026」9月8~12日開催
  5. 7/27申込締切 【激変するインド自動車産業】政策転換とEVシフト、クイックコマースが拓く日本企業の勝機
ランキングをもっと見る