そのキズ、まだ板金いらず? 中度でも目立たなくする実践テクと必要ツール~Weeklyメンテナンス~

そのキズ、まだ板金いらず? 中度でも目立たなくする実践テクと必要ツール~Weeklyメンテナンス~
そのキズ、まだ板金いらず? 中度でも目立たなくする実践テクと必要ツール~Weeklyメンテナンス~全 1 枚

夏の行楽シーズンも一段落して、クルマの洗車やメンテナンスを実施していると、ボディのキズを見つけてしまうことがある。気になる場合はDIYで簡単な補修を実施して秋のドライブに備えよう。

◆小キズに気づいたらDIYも選択肢

愛車はいつもピカピカにしているつもりでも、洗車などのタイミングで各部を細かく見ていくと、思わぬ部分に小さなキズを見つけることがある。何かを引っかけたりした明確な記憶がないのでそれまでは放置されていたキズだ。

しかし、ごく小さなキズなので、プロにお願いする本格的な板金塗装を施すほどではないと判断したら、思い切ってDIY補修を実施してみるのもよいだろう。カー用品店などに行けばリペアグッズは数多く用意されているので、その気になればかなり高い精度のリペアが可能だ。実践してみよう。

キズを見つけたら最初にやるのはキズの状況判断だ。キズの状態次第では、DIYでのリペアに適していない場合もあるので、的確にキズの現状を判断した上でDIYを実践するのが安全だろう。

そしてもうひとつ注意したいのは仕上がりのレベル。完璧に新車どおりに復元したいという神経質なユーザーは、DIYには向かないだろう。迷わずプロにオーダーして補修してもらうのが得策だ。簡易的なDIYだとどうしても目立たなくする程度の仕上がりになるのはいたしかたない、それを納得できるユーザーが対象だと考えるとよい。DIY補修では、「3m程度離れたところで見ても目立たない」仕上がりがひとつの目安。キズ部分に顔を近づけてまじまじと見つめてもどこがキズだったかわからないほどの完璧な仕上がりは求めないことも心得ておきたい。

◆水かけチェックで“浅い/中度/深い”を見極める

キズの状況を簡単に見分ける方法は、キズのある部分に水をかけることだ。さっと水をかけるとキズが見えなくなる場合は、塗装表面のクリア層だけの極浅いキズと判断できる。これだとコンパウンドを使って表面の荒れをならすだけで目立たなくできる可能性が高い。

次に水をかけてもキズがくっきり見える場合は、クリア層の下の塗装面までを傷めているケースが想定される。今回はこの中度のキズを対象としてみた。ちなみに、さらに深いキズは塗装面を貫通して金属面まで到達しているケースだ。キズの奥底を見るとキラリと金属面が見えているケースである。その場合は、簡易的なDIYでの補修だと一気にハードルが上がってしまうので、要注意だ。

◆中度キズの直し方、道具と手順

さて、今回は塗装面まで傷めた中度のキズを想定する。クリア層までのキズのように、コンパウンドで処理できる場合よりも、作業の難易度は高いがDIYで補修も可能な範囲だ。

用意するのはボディ色に合わせたタッチアップペイントである。これはメーカーごとのカラーナンバー/色名で区分されて販売されているので、適合品を選ぶ。例えば同じブラックでもカラーナンバー/色名ごとに少しずつ違う色なので、ぴったり適合するタッチアップペイントを選んでおこう。その他にはマスキングテープ、耐水サンドペーパー(#1000番程度)、脱脂スプレー、極細目のコンパウンドなどを用意すれば作業の準備は完了だ。

キズ部分の補修は最初にキズ周辺をならすことから始める。引っかきキズがついている=クリア層&塗装面が傷んでいることは先にも紹介したが、キズ部分をよく見ると両サイドがギザギザに盛り上がっている場合が多い。まずはこのギザギザをボディの面と均一にならすことから始める。そのためには、耐水サンドペーパーを使って軽く研いでいく。その場合は水をつけつつ研ぎ一気に研がずに少しずつ状態を確かめながら何度にも分けて研ぐのがコツ。

ある程度平滑になったらキズ部分の周囲をマスキングテープで養生した上で脱脂スプレーでボディ面の油分を除去しその上でタッチアップペイントを塗っていく。その際の注意点は薄く塗ること。一気に厚塗りすると垂れたりまだらになってしまう。薄く塗っては乾かす~また薄く塗るを繰り返すことで均一で平滑な塗装面が再現できるのだ。ここは根気強く作業するとよいだろう。

ところでタッチアップペイントにはキャップ部にハケが付属しているのだが、これはあくまでも簡易的なもの。できれば塗装用のハケを別途用意して用いると、塗装の精度も上がるので試してみよう。

以上のタッチアップペイントを施すことで目立っていた引っかきキズはかなり目立たなくなっているはず。塗装面が不均一だと感じたら、塗装が完全に乾燥してからコンパウンドを使って補修部分を少し研いでみると、周りと馴染むだろう。ここまで処理したらDIYでのキズ処理は完了だ。作業している本人はキズの場所も知っているので仕上がりに納得がいかない場合もあるが先に紹介した通り少し離れて見ると目立たなければOKと考えて深追いせずに完成とするのがよいだろう。

このように塗装面までを傷めた中度のキズでも簡易的なDIY補修が可能だ。キズを手軽な方法で簡単に補修して目立たなくするだけでもクルマ全体をきれいに見せる効果は絶大なので試してみるとよいだろう。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請け負い、現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

《土田康弘》

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