いすゞ自動車は9月16日、ルネッサンス・エナジー・リサーチ(RER)が大阪府泉佐野市内で実施した、国内初となる小型充填機を用いたバイオメタンの車両充填実証に参加したと発表した。
本実証では、樹皮や廃油など利用率が低いバイオマスをメタン発酵させて得たバイオガスから、RER独自の分離膜技術によりCO2を分離し、高純度なバイオメタン(メタン濃度約90%)を生成。このバイオメタンを小型ガス充填機で圧縮し、いすゞの小型トラック『エルフCNG車』に充填した。
その結果、エンジン始動および走行を問題なく行い、バイオメタンが自動車燃料として実用可能であることを改めて確認した。
本実証は、大阪府が大阪・関西万博開催期間中に実施した「令和6年度カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の一環として行われた。実証の様子は、10月7日から13日にかけて大阪・関西万博「フューチャーライフヴィレッジ」で開催される「フューチャーライフエクスペリエンス」展示内にて動画で紹介される。
RERは、バイオガスを活用した発電システムの開発・実証に取り組むとともに、自動車燃料としての地産地消利用を提案している。地産地消で充填速度を要さないケースにおいては、今回用いた小型充填機も有用と考えられる。
廃棄物処理事業者等が比較的安価な小型充填機を設置し、ごみ処理と燃料供給の運用を一体化することも容易になる。その結果、資源循環とエネルギー循環を両立するモデルの構築につながると期待される。
いすゞは国内で唯一、NGV(天然ガス車)トラックを量産・販売している自動車メーカーである。環境負荷低減およびエネルギーセキュリティーの観点から、NGVの普及に取り組んできた。
今回、量産車両であるエルフCNG車が実証に用いられたことは、商用車におけるカーボンニュートラル(CN)燃料導入の可能性を裏付ける重要な検証となった。いすゞは今後も、商用車の多様な用途や特性を踏まえ、マルチパスウェイでさまざまなCN商品の可能性を検討するとともに、その普及促進に積極的に取り組むことで、地球温暖化の抑制や脱炭素社会の実現に貢献していく。