スズキは、10月30日から11月9日まで東京ビッグサイトで開催される「ジャパンモビリティショー2025」の出展概要を発表した。総合モビリティメーカーとしての技術を結集させた展示となるが、特に二輪は、世界初公開、日本初公開のモデルを含め二輪ショー並みの台数を展示することが明らかになった。バイクファン、スズキファンは必見だ。
【画像】「e-VanVan」をはじめ初公開モデルが並ぶスズキのJMS2025出展車両
出展テーマは2月の新中期経営計画で発表したコーポレートスローガン「By Your Side」とし、それぞれの出展物でBy Your Side(あなたのそばに)を体感できるブースとなる。
◆「バンバン」がBEVになって復活

二輪展示の目玉となるのが、世界初公開となる『e-VanVan(イー・バンバン)』だ。1971年に登場し人気を博したレジャーバイク「バンバン」をモチーフに、遊びごころのあるBEVファンバイクとして開発されたコンセプトモデルで、BEVになってもバイクに乗る楽しさや操るワクワクを感じたいという願いを叶えるモデルだとしている。
「高揚感×個性をスマートに、移動が楽しくなる、新時代のカルチャーモト」をデザインテーマにしながら、スズキが1月に世界初公開したBEVスクーター『eアドレス(eアクセス)』のEVユニットをベースに、ひと目でバンバンとわかるキャッチーで独創的なスタイリングに先進的なカラー&グラフィックを施した。

幅広のハンドル、フラットでゆったり座れるシート、迫力のワイドタイヤ、レトロ感と先進的なイメージを融合させた丸型の中空ヘッドライト、遊びごころを演出するバーエンドミラーなどが特徴だ。全長1810×全幅825×全高1050mmのコンパクトサイズで、原付2種相当のモデルとなる。
今回は参考出品ということで発売時期などは未発表だが、ファンバイクの新たな可能性を提案する一台として要注目だ。
◆日本導入予定の初公開モデルも続々

日本初公開モデルとしては3台を出展する。まずは7月に発表された新型ネオレトロバイク『GSX-8T』と『GSX-8TT』の2台だ。8月の風物詩「鈴鹿8耐」でも披露されたが、この時の展示車は実は欧州仕様だった。今回提示されるのは日本での市販予定車のため、気になるユーザーは要チェックだ。
GSX-8TとGSX-8TTは、スズキの過去の名車の個性的で魅力的な要素と現代的なデザインを融合させつつ、最新の技術やエンジン、車体を採用したネオレトロのストリートバイク。『GSX-8S/R』で採用され高い評価を得ている775ccのコンパクトなエンジンと高剛性なスチールフレーム、軽量なアルミスイングアームを組み合わせ、レトロ感を醸し出す丸形ヘッドライトを装着。レトロなデザインと最新の電子制御を組み合わせたGSX-8T、GSX-8TTの走りは、安心感と楽しさを両立するものとなる。

もう一台が、スズキとして二輪のBEV世界戦略車第一弾となる『eアドレス』だ。今年1月にインドのモーターショーで発表したモデルが、日本での発売に向けて初公開となる。その名の通り、スズキの定番スクーター『アドレス』のBEV版と呼べるモデルで、原付二種相当のスクーターとなる。
十分な航続可能距離と洗練された外観を持つ実用性に優れたスクーターだとし、スズキが長年、二輪車で培ってきた「走る、曲がる、止まる」といった基本性能を追求した作りこみや高負荷なテストによる品質の高さによって、スズキの従来の二輪車と同様にライダーの意思に忠実な走行フィーリングを提供するという。

バッテリーを含めたEVパワートレインを収納しながらも、17リットルのシート下収納を実現。4.2インチフルカラーディスプレイの装備やアプリ連携、「ターンバイターンナビゲーション」やキーレスエントリーなど、実用性の高さもより現代的なアップデートを果たしている。航続距離は80kmとなる。
また、初公開ではないが、8月の鈴鹿8耐で発表されたスーパースポーツの新型『GSX-R1000R』も展示。レース走行時のようなフルバンク状態を体験しながら撮影できるフォトスポットも用意される。
◆ペダル付き電動バイク『e-PO』がアップデート

参考出品車として、開発中のペダル付の折り畳み電動バイク『e-PO(イーポ)』の改良モデルが展示される。「普段使いからレジャーまで、身近な移動をもっと自由に!」をコンセプトに、電動アシスト自転車とEVバイクを掛け合わせた新ジャンルの原付一種相当のモビリティだ。
ペダルを漕ぐことで強力なアシスト走行ができるだけでなく、バイクのようにハンドルのアクセル操作のみでもスムーズな走行が可能。25kgと軽量な車体は女性や小柄な人でも楽に押し歩きが可能なほか、折り畳み機能を活かして自動車のラゲッジに搭載することも用意だ。パナソニック製の電動アシスト自転車と共通の取り外し可能なバッテリーを採用。フル電動走行で30km以上を走ることができる。
今回の車両は実証実験からのフィードバックをおこなうことで車体やカラーを一新。カラーは全4色を用意するなど、いよいよ市販が近づいていることをうかがわせる展示となりそうだ。

環境対応技術としては、『水素エンジンバーグマン』の進化版も展示。ガソリンエンジンに変わり水素エンジンとタンクを搭載したモデルで、「バイクの楽しさのひとつである、排気音を楽しみながらも環境に配慮した乗り物に乗りたい」を叶えるモビリティ。2023年に出品されたモデルからホイールベースを短縮し、より市販車に近いレイアウトになっている。
このほかにも、いよいよ正式な発売が発表された新型『DR-Z4SM』や、フレックス燃料に対応した『ジクサーSF 250 FFV』、CNG/CBG燃料の研究開発車両や、電動小型モビリティ関連では次世代の四脚モビリティ『MOQBA(モクバ)2』、電動パーソナルユースモビリティ『SUZU-RIDE(スズライド)2』、セニアカーの40周年記念展示もおこなわれる。
スズキは4輪でも世界初公開の軽EVなどを多数出展予定。バイク好き、クルマ好きにとっても見逃せないブース展開となる。