スズキは10月12日、ファンイベント「GSX-S/R ミーティング 2025」を静岡県の浜松工場で開催した。今年はスーパースポーツバイク『GSX-R』シリーズ40周年を迎える記念イヤーとあってか、開幕時点で1000台を超えるバイクが集結。駆けつけた全国のスズキファン、オーナーたちは熱気あふれる1日を過ごした。
【画像】サプライズが目白押しだった「GSX-S/R ミーティング 2025」
ミーティングイベントでは必ずサプライズを用意するスズキ、今回は未発表の“赤い”新型『GSX-S1000』と“白い”新型『GSX-S1000GT』を展示ブースで初公開。GSX-Rの40周年を祝福するかのような紅白カラーに、来場したファンの注目を集めていた。
◆GSX-R1000の復活と、サプライズの2モデル

スズキGSX-Rシリーズが日本に初登場したのは1984年。400ccの「GSX-R400」から、スズキのフラッグシップの歴史が始まった。グローバルで展開されたのが1985年ということで、今年2025年が40周年となる。7月末には鈴鹿8耐の開催に合わせ、しばらく販売が途絶えていた『GSX-R1000』の復活を発表しファンを沸かせたばかりだ。
この新型は現時点で発売時期などは未定だが、この日開幕の挨拶をおこなった鈴木俊宏社長は「フルモデルチェンジと言ってもいい出来になっている。たぶん近々、日本でも紹介があるのではないかなと思うが、期待を裏切らないモデルになっている。ぜひご期待ください」と語った。また、チーフエンジニアをつとめた野尻哲治氏は「馬力を落とすな、重くするな、というのがこだわった。R1000はナンバーワンじゃなきゃいけない。馬力も、軽さも、乗ってもやっぱりナンバーワンじゃないと」と語り、その出来栄えに自信を見せ「なので、ぜひ買ってください」と呼びかけた。

「GSX-S/R ミーティング 2025」ではスズキにゆかりのあるさまざまな企業がブースを構えたほか、ステージでは開発者や、レース関係者によるトークショーも開催。展示ブースには歴代GSX-Rシリーズや、往年のMotoGPマシンが並べられたほか、新型GSX-R1000をはじめ最新の「GSX-S/R」シリーズの跨り試乗も可能となっていた。
そこで目玉となっていたのがサプライズで展示された“赤い”新型GSX-S1000と“白い”新型GSX-S1000GTだ。「参考出品」として展示されていたもので、特に何の説明もされていないにも関わらず、現在のラインアップにないカラーとあってスズキファンの注目を集めた。

これらは今後発表予定の一部改良モデルで、GSX-S1000はボルドーのような深みのある赤いタンクとホイールをまとっていた。現行のラインアップはブルー、ホワイト、ブラックと寒色系で揃えられているが、赤が加わることで大きくイメージチェンジ。街乗りからツーリング、スポーツ走行までこなすオールラウンダーなGSX-S1000の新たな魅力を提案するモデルとなりそうだ。
もう一方のGSX-S1000GTは、先進的でクリーンなデザインをさらに強調するようなソリッドな白をまとっていた。現行モデルではブルー、レッド、グレーメタリックの3色だが、こちらも大きくイメージを変えるカラー変更となる。いずれもスペック的な変更はなさそうだが、新たなファンを獲得できるかにも注目だ。

◆鈴鹿8耐、そしてMotoGPでの「GSX-R」
GSX-Rといえば、8月の鈴鹿8耐を戦った「スズキCNチャレンジ」での活躍が記憶に新しい。バイオ燃料や植物由来のカーボンなど、環境にやさしいサステナブルアイテムでレースを戦い、市販車への技術フィードバックをめざす取り組みで、2年目の参戦となった今年は転倒のトラブルもあり表彰台は逃したものの完走。3年目に期待させる結果を残した。
トークイベントに登壇した「スズキCNチャレンジ」の砂原慎一プロジェクトリーダーは「順位としては我々が目指したものではなかったが、チームとしては成長でき、年々上がっていくという目標には到達できた。転倒はあったが、諦めることなくしっかり修復できたことは大きな収穫だった。順位は満足ではなかったが、チーム力としては満足している」と語った。またライダーの津田拓也選手は「カーボンニュートラルだからといって、性能が落ちることはなく、むしろ速くなっている。普通に走れる、というのが凄いところ」とGSX-R1000の出来栄えを評価し、応援を呼びかけた。

豊富なイベントが用意された今回の「GSX-S/R ミーティング 2025」だが、スズキはさらなるサプライズも用意していた。
恒例の参加者全員による記念撮影のあとで、一台のマシンが来場者の前に置かれた。これは2022年、スズキがMotoGP撤退を決めた年に走ったマシン「GSX-RR(ダブルアール)」そのもので、これに気づいたファンからはどよめきが。さらにエンジン始動もおこない、当時サーキットを沸かせた轟音を響かせると拍手喝采が巻き起こった。
当時MotoGPのプロジェクトリーダーをつとめた砂原リーダーは、「このマシンは動態保存しているもの。だが、現在は部品も手に入らなくなってきている。エンジン音をお聞かせするのはこれで最後になると思う」と話した。この日、会場を訪れたファンにとっては忘れられない思い出となったに違いない。
