【ヤマハ NMAX155 試乗】「シフトボタン」でテンション爆上げ!電子制御CVTによる新感覚の走りとは…伊丹孝裕

ヤマハ NMAX155
ヤマハ NMAX155全 44 枚

ヤマハの軽2輪スクーター『NMAX155』に試乗。独自の機構「YECVT」がもたらす、マニュアルトランスミッション車のようなライディングとは、一体どんなものだったのか。

【画像】ヤマハ NMAX155 の走りとディティール

◆2つの走行モードと、電子制御CVT「YECVT」の採用

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155ccの水冷4ストローク単気筒エンジンを搭載する「NMAX155」は、2017年に初代モデルが登場した。その後、2022年にモデルチェンジを受け、2025年3月から発売が始まっている今作が3代目となる。

スチール製のバックボーンフレームは従来モデルから引き継ぎつつ、それ以外の多くのコンポーネントに大小様々な改良、もしくは刷新を敢行。利便性や質感もさることながら、スポーツ性が大きく引き上げられたことが特徴だ。

まずひとつは、「T」(Touring)と「S」(Sport)という2パターンの走行モードが設定されたこと。そしてもうひとつが、その走行モードをさらに活かせる電子制御式CVT「YECVT」(Yamaha Electric Continuously Variable Transmission)の採用である。

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走行モードの味つけはネーミングの通りの印象だ。「T」を選択している時は穏やかなスロットルレスポンスなのに対し、「S」の時は鋭さが増し、速度やスロットル開度が同じなら、「S」の方が500~1000rpmほど高いエンジン回転数を維持。特に中速域からの加速力には明確な差がつけられている。また、スロットルを閉じた時のフィーリングもそれに準じたものとなり、「T」のエンジンブレーキは滑らかに効く一方、「S」ではより強い減速感をともなう。

そこに加わる新しく、かつユニークな制御がYECVTだ。一般的なスクーターが加速する際は、「スロットルを開ける」→「クランク回転数が増す」(エンジン回転数が上昇する)→「そこにプーリーの駆動力が連動」→「プーリーに架かるベルトの巻き径が遠心力で変化」というプロセスを経て速度が上乗せされていくが、YECVTはプーリーの動きをモーターで制御。これによって、変速比の設定に自由度が増したことがトピックだ。

◆「シフトボタン」で加速も減速も思いのままに

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と文字で書かれても、いまひとつピンをこないかもしれないので、パドルシフトを持つ4輪のオートマ車を思い浮かべるとイメージしやすい。たとえば一定の速度で走行中、追い抜きのためにアクセルを踏み込むとキックダウンして加速力がアップする。ドライバーの意志をもっと介在させたい時は、パドル操作でギアを落として強い加速を得ることになるが、そういうシーンだ。

このようなキックダウンや、意図的なシフトダウンの代わりを担ってくれるシステムが今回の電子制御式CVTのYECVTで、従来の機械式CVTでは難しかったダイレクトな加速と減速を実現している。物理的な装備もそれに近く、「NMAX155」のハンドル左側スイッチボックスには、親指で操作できる位置に「SHIFT」ボタンをレイアウト。走行中にこれを押すことによって、最大3段階のシフトダウンをアシストしてくれるのだ。

その作動状態はメーターで確認することができる。シフトボタンを1回押せば、液晶画面下部に刻まれた1/2/3の数字の内、「1」までのバーグラフが点灯。ダッシュ力をもうひとこえ望むなら、さらにもう1回押せば「2」まで点灯というように、セミAT車の要領で車速をコントロールすることができる。

ヤマハ NMAX155ヤマハ NMAX155

体感的にもわかりやすく、シフトボタンを押した瞬間、エンジン回転数が高回転側へ一気に触れ、適度なショックとともにいつでも加速態勢にあることを伝達。そのままスロットルを開ければ、車速がグングン増していく。

シフトボタンによる、こうした能動的な操作だけでなく、スロットルの急開だけでもシフトダウンを誘発することもでき、これが既述のキックダウンにあたる。いずれにしても、任意のタイミングでエンジン回転数を引き上げることができ、下り坂の車速コントロールや減速時には、エンジンブレーキとして活用できる範囲が拡大。場合によっては、この2パターンを組み合わせ、まずはスロットル操作によるキックダウンで加速し、次にシフトボタンを押して加速力を補う、という使い方もできる。

◆つくづく「スポーツライディング推し」なヤマハ

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「街乗りのスクーターにそこまでいる?」と思われるユーザーもいらっしゃるに違いないが、あれば使いたくなるもので、使えばやはりテンションがあがるもの。なんてこともない、いつもの道を違った感覚で楽しく走れるのは間違いなく、ヤマハはつくづく「スポーツライディング推し」なんだな、と思う。

125ccクラスにこれを採用するとコスト上昇が気になるし、ビッグスクーターの領域になると、瞬く間に必要以上のスピードへ達してしまうはず。YECVTをこのクラスに投入するという選択は、その意味で理にかなったものと言え、車両のクラス感とスポーツ性がマッチ。オートマチックによる移動の安楽さと、然るべきシーンでのパフォーマンスがバランスしている。

もちろん、エンジンや駆動系だけでなく、今回のモデルチェンジではそれらに合わせて、足まわりも最適化。オイルロック機構が追加されたフロントフォーク、ストローク量が5mm延長されたリアサスペンションによって、しなやかさと安定性が引き上げられている。

MAXシリーズの共通項のひとつに「走る楽しさ」が掲げられているが、それがもっとも分かりやすい形であらわれているモデルが、この「NMAX155」である。

伊丹孝裕氏とヤマハ NMAX155伊丹孝裕氏とヤマハ NMAX155

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★

伊丹孝裕|モーターサイクルジャーナリスト
1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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