スタジオジブリのアニメ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』とコラボしたフルラッピングモノレールが、10月17日から東京都の西部、多摩地区を走る多摩都市モノレールで運行を開始した。多摩地域の自然や文化などの魅力を発信することを目的とした取り組みだ。
●小池知事「モノレールで多摩の魅力を感じて」
立川市の車両基地で行われた出発式には東京都の小池百合子知事が出席。「『平成狸合戦ぽんぽこ』は多摩丘陵が舞台の作品。ラッピング車両は車ごとに異なる場面が鮮やかに描かれ、車体を外から見て楽しみ、車窓から景色を見て楽しめる。モノレールが移動の足となるだけでなく、モノレールで多摩の魅力を感じてほしい」と語った。
このラッピングモノレールは、東京都が進める「平成狸合戦ぽんぽこ×多摩の魅力発信」プログラムの一環。広告主は東京都、運行は多摩都市モノレールとなる。運行期間は2025年10月17日から12月21日まで。運行スケジュールは多摩都市モノレールの公式サイトで案内される。
車内では、多摩30市町村の観光スポットを紹介するポスターを掲出。また、多摩動物公園駅構内の「ふれアート」では『平成狸合戦ぽんぽこ』のイメージボードなどの展示も行われる。このほか、コラボデザインの一日乗車券やスタンプラリーも実施される予定で、沿線を巡りながら作品の世界観と多摩の風景を楽しめる内容となっている。
●『平成狸合戦ぽんぽこ』と多摩地域のつながり
『平成狸合戦ぽんぽこ』は1994年に公開されたスタジオジブリ制作・高畑勲監督の長編アニメーション映画。東京都西部の多摩丘陵を舞台に、自然と開発の共存をテーマに描かれた作品である。多くのファンが訪れる「三鷹の森ジブリ美術館」も多摩地域に位置する。
スタジオジブリの西岡純一執行役員は「ジブリと東京都で何かできないかという構想から約1年をかけて実現した。30年前の作品だが今見ても古びない。忘れてほしくない作品なので、こういう形になってうれしい。自然開発に反対したタヌキが主人公なのはどうかな、とも思ったが、最後は人間社会に溶け込む、前向きな作品。出発式にも本当はタヌキだという人が来ているかも」。
●「2050東京戦略」との連動
「平成狸合戦ぽんぽこ×多摩の魅力発信」プログラムは、東京都が推進する「2050東京戦略~東京 もっとよくなる~」の一環で、特に「戦略25 多摩・島しょ」の施策に位置づけられている。同戦略では、多摩地域の特色と魅力を発信し、東京全体のプレゼンス向上を目指すとしている。
多摩都市モノレール(旅客案内は「多摩モノレール」)は、東京都多摩市の多摩センター駅から東大和市の上北台駅までの約16kmを南北に結ぶ路線。通勤・通学など日常の足として利用される一方、沿線には多摩動物公園や立川の商業エリアなど観光スポットも多く、天候によっては車窓から富士山を望むこともできる。