HIOKI(日置電機)は、水電解セルおよび燃料電池の研究開発に向けたEIS測定システム「ALDAS-α(アルダス・アルファ)」を発売すると発表した。
同システムは高精度なインピーダンス測定により、水電解セルや燃料電池の特性評価を加速させ、水素エネルギーを活用した持続可能な社会の実現を支援する。
開発の背景として、気候変動対策が世界的に加速する中、水素は世界のエネルギー転換における重要な役割を果たす存在として注目されている。国際エネルギー機関(IEA)の推計によると、2024年の世界の水素需要は約1億トンに達し、カーボンニュートラル実現に向けた水素の需要が高まっている。
ALDAS-αは、水電解セルと燃料電池の研究開発分野で使用される。水電解セルとは、電気分解によって水(H2O)を水素(H2)と酸素(O2)に分解する最小単位の部品。研究開発ではセルを様々な条件下で稼働させながら電気化学インピーダンス分光法によるインピーダンス測定(EIS測定)を行うことにより、セルの内部状態や劣化要因を推定する。
同社は2025年2月に、大型の水電解セル、スタック評価向けの「電解セルアナライザ ALDAS-Mini」を発売した。今回発売するALDAS-αは、小型セルを対象とした研究開発向けモデルとなる。
主な特長として、評価サイクルの向上では、一般的にセルのEIS測定で使用される電気化学測定器は1回の測定に30分以上の時間がかかるが、ALDAS-αは1回あたり約7.6分の測定を実現した。測定時間の大幅な短縮により、ユーザーの測定サイクルを改善する。
高電流密度領域での測定では、セルの高性能化を目指し、高電流密度領域での測定ニーズが高まっている。この測定では大電流を流す必要があるため、一般的にはブースター電源を用いるが、ALDAS-αは測定器本体から直接DC20Aまでの電流を印加できる。
既存設備にも簡単接続が可能で、現在使用している評価装置を改造することなく簡単に接続し、EIS測定を開始できる。段取り替え手順を少なくすることで、準備から測定開始までの時間を短縮する。
複数セルの同時計測では、セルスタック内で最大8セルの同時計測に対応し、セルごとの性能比較を可能にする。
主な用途は、1~5平方cm程度の小型セルを高電流密度で評価、非発電状態における燃料電池の開放端子電圧(OCV)測定、セルの加速劣化試験、長時間耐久試験におけるオーミック抵抗のモニタリングなどとなっている。


 
                              

