トピー工業が「22インチ大径超軽量アルミホイール」で鋳造の軽量化と造形自由度を両立し次期主力を狙う…ジャパンモビリティショー2025

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トピー工業…ジャパンモビリティショー2025
トピー工業…ジャパンモビリティショー2025全 29 枚

自動車メーカーへのホイールのOEM供給で高いシェアを誇るトピー工業がジャパンモビリティショー2025に新技術を満載したブースを出展。鋳造アルミホイールの次世代を担う技術や、商用車用鍛造アルミホイール、さらにはホイールで発電する技術の実用例を披露した。

◆ トピー工業の事業概要と市場シェア

トピー工業 代表取締役社長 石井 博美氏トピー工業 代表取締役社長 石井 博美氏

トピー工業はスチールを扱う鉄鋼事業に加え、ホイールなどの自動車部品事業、建設機械用足回り部品事業などを手がける企業だ。中でもジャパンモビリティショー2025で大きくアピールしたのが自動車用ホイールの新技術。同社は乗用車用スチールホイールで国内51%(世界22%)※のシェアを持ち、トラック・バスの商用車用スチールホイールでは国内87%※のシェアを誇るトップメーカーだ。近年ホイール市場で進むスチールからアルミへの素材移行にも積極的に取り組み、アルミホイールでのシェア拡大にも余念がない。※2024年度OEMシェア(同社調べ)

トピー工業…ジャパンモビリティショー2025トピー工業…ジャパンモビリティショー2025

今回トピー工業がブースで示した核が、鋳造アルミの軽量化と造形自由度を高めた新開発品「22インチ大径超軽量アルミホイール」、ホイールのひずみを利用して発電する技術「TOPY GREEN WHEEL TECHNOLOGY」を活用した「商用車用ナット緩み検知ホイール」および「乗用車用空力・放熱性向上ホイール」、そして「商用車用鍛造アルミホイール」という4つのホイールだ。

◆ 鋳造で鍛造級の軽さへ「22インチ大径超軽量アルミホイール」の狙い

22インチ大径超軽量アルミホイール22インチ大径超軽量アルミホイール

ブース中央前面でひときわ脚光を浴びたのが「22インチ大径超軽量アルミホイール」。新たに開発されたプロトタイプの22インチホイールは、繊細なスポークや細かなスリットを備えたデザイン性の高い造形で、重量は“鋳造ホイール”でありながら鍛造ホイールと同等の軽さが特徴だ。その秘密はトピー工業ならではの製法にある。鍛造は、加熱した金属に高い圧力をかけて組織を緻密化し成型する製法で、同等強度なら薄く軽く作ることができる。一方、鋳造はアルミを型に流し込む製法で、同社は複数の注入口を備えるマルチゲート工法を採用。一般的なセンターゲート工法(1カ所の注入口からアルミを流し込む製法)に対して、より細かい造形でも隅々までアルミを行き渡らせやすい。結果として強度が必要な部分は厚く、その他は薄く鋳造でき、軽量化とデザイン性の両立が可能になる。さらにリムを成型するフローフォーミング工法も組み合わせ、より軽量なホイールづくりが可能になった。同サイズ(22インチ)の一般的な鋳造に比べ4~5kg/本の軽量化を実現するという、これまでにない鋳造ホイールの製法だ。

22インチ大径超軽量アルミホイール22インチ大径超軽量アルミホイール

軽量化に加え、攻めたデザインを反映した22インチ大径超軽量アルミホイール。スポークの隙間に幅の狭いスリットを設けるなど、従来の鋳造では難しい造形を実現。スリット部に橋渡しとなるブリッジ形状を与える処理もマルチゲート工法だからこそ可能となる。またプロトタイプは鋭利なスポーク形状だったが、ディッシュ系でもディスク面を極限まで薄肉化して軽量化に振る設計が可能だ。これらはあくまで一例であり、この技術からは今後も先進的なデザインが生まれてくるだろう。鋳造ホイールの軽量化とデザインの自由度を兼ね備えた22インチ大径超軽量アルミホイールは、次世代の鋳造アルミホイールを切り拓くプロダクトである。

◆ ホイールが発電する「TOPY GREEN WHEEL TECHNOLOGY」の実用化

商用車用ナット緩み検知ホイール(TOPY GREEN WHEEL TECHNOLOGY)商用車用ナット緩み検知ホイール(TOPY GREEN WHEEL TECHNOLOGY)

前回のジャパンモビリティショー(2023年)で公表された、走行中のタイヤ変形に伴うホイールの“ひずみ”を利用して電力を得る「TOPY GREEN WHEEL TECHNOLOGY」(圧電素子をホイールに取り付け、ひずみから発電)は、今回実用段階に入った。その具体例が「商用車用ナット緩み検知ホイール」だ。

商用車用ナット緩み検知ホイール(TOPY GREEN WHEEL TECHNOLOGY)商用車用ナット緩み検知ホイール(TOPY GREEN WHEEL TECHNOLOGY)

ホイールにナット緩み検知センサーを設置し、緩みを検知するとドライバーにワーニングを出す。センサーの駆動電力は圧電素子で賄うため外部給電は不要。近年トラック業界で課題となるホイールナットの緩みによる事故を未然に防ぐ、安全技術としての意義が大きい。

乗用車用空力・放熱性向上ホイール(TOPY GREEN WHEEL TECHNOLOGY)乗用車用空力・放熱性向上ホイール(TOPY GREEN WHEEL TECHNOLOGY)

もう一つの提案が「乗用車用空力・放熱性向上ホイール」。圧電素子で発電した電力を用い、ホイールディスクの可変フィンを作動させ、状況に応じて空力アップやブレーキ放熱を可変制御する。燃費/電費志向が高まる中、ホイール自体のアクティブ機構で性能を最適化する新コンセプトとして、自動車メーカーの関心を集めそうだ。
※「TOPY GREEN WHEEL TECHNOLOGY」は商品名ではなく、開発名称です。

◆ 商用車の新基準へ「商用車用鍛造アルミホイール」を提案

商用車用鍛造アルミホイール商用車用鍛造アルミホイール

注目のホイール4つ目は「商用車用鍛造アルミホイール」。商用車用のホイールはスチール製が主流だったが、燃費向上と軽量化ニーズの高まりからアルミ化が進み、とくに耐荷重と軽量を両立できる鍛造への転換が加速している。

商用車用鍛造アルミホイール商用車用鍛造アルミホイール

トピー工業はここに防汚性有機塗料を採用し、高い防汚性と優れた洗浄性によりドライバーの作業負担を軽減する商用車用鍛造アルミホイールを開発した。商用車用鍛造アルミホイールは2026年初夏の発売を予定している。

トピー工業…ジャパンモビリティショー2025トピー工業…ジャパンモビリティショー2025

ホイールの可能性を押し広げるトピー工業の新技術群。エコとデザイン、そして安全と効率――ホイールに秘められた価値を実証した今回の展示から、同社の積極的な開発姿勢と近未来のホイール像が鮮明になった。

トピー工業の詳細はこちら

《土田康弘》

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