【トヨタ ランドクルーザーFJ】「ランクルらしさ」と“サイコロ”を融合した小さいランクル、デザインの肝

トヨタ ランドクルーザーFJのデザインスケッチ
トヨタ ランドクルーザーFJのデザインスケッチ全 31 枚

トヨタは『ランドクルーザー』の新しいラインナップ、『ランドクルーザーFJ』を「ジャパンモビリティショー2025」でワールドプレミア。ショーに先行してその姿が発表されると、現行で最もコンパクトなランクルとして注目を集めた。ランクルらしさ、そして「新しいランクル」であることを両立するために、デザイナーは奮闘したという。

【画像】「ランクルFJ」の実車とデザインスケッチ

今回はこのランドクルーザーFJのエクステリアデザインについて、デザイナーの話から詳しく解説していく。

◆小さくてもランドクルーザーでなくてはならない

トヨタ ランドクルーザーFJトヨタ ランドクルーザーFJ

このクルマの車両コンセプトは「Freedom&Joy」。これをキーワードに「サイコロのようなモチーフ使って、アイコニックで新しいプロダクトとしてランドクルーザーの名前にふさわしいデザインにした」とデザイナーは語る。

最初にこの企画に臨んだ時に他のランドクルーザーと比較し、サイズがコンパクトでショートホイールペースになったことで、「悪路走破性や機動力がさらに上がりましたのでサイズの魅力を感じた」という。デザインする上で、「まずはランドクルーザーでなければいけないと思いました。ランドクルーザーを欲しいと思っているお客様が何を求めているのか。その期待を裏切ってはいけないと肝に銘じたのです」とその思いを話す。

トヨタ ランドクルーザーFJのデザインスケッチトヨタ ランドクルーザーFJのデザインスケッチ

ランドクルーザーであるべきものとは何か。それは、「機動性や悪路走破性、信頼性、耐久性。これは車両としても絶対です」。そこからデザインとしては、「ランドクルーザーとして絶対持っていなければいけない機能があります。例えば視界性能や操作性。これはマスト要件ですので、デザインのスタートはまずそこから始めました」。

しかしそのままだと軍用車のようになってしまいかねない。「このクルマはFJ=Freedom&Joyという価値を持たせています。ショートホイールベースで機動性、悪路走破性を生かして、どこまでも行くことができて(フリーダム)、楽しめる(ジョイ)。この新しいパッケージによる、小さいながらもスペースがあり、みんなで移動して楽しむことを表現したかったのです」と話す。

◆新しいランドクルーザーと思わせる工夫

トヨタ ランドクルーザーFJのデザインスケッチ。FJ40(左上)もモチーフとなったトヨタ ランドクルーザーFJのデザインスケッチ。FJ40(左上)もモチーフとなった

「新しいランドクルーザーと認識してもらいたい」という思いもあった。そうすると、「何かアイコニックなものを入れて新しいランドクルーザーが来たと思ってもらえるようにすること。そこがデザインとして力を注いだところ」だと述べる。

では具体的にどう表現したのか。「フロントではランプが他のランドクルーザーと違う形ですが、ランドクルーザー共通の一文字のグリルやランプの配置をしています。また『ランドクルーザー250』もそうですが、交換性を考慮したバンパーデザインを考慮しながら、モダンにしています。結果として遠くから走ってきても『新しいランドクルーザーのFJだ』と分かる記号性を盛り込みました」と説明。

フロントだけでなくリアについても「どこから見ても新しいランドクルーザーという佇まいを目指した」。その原点となったのは『FJ40』だ。「ランドクルーザーの起点であり、ランドクルーザーの知名度をここまで上げてきてくれたクルマ」としたうえで、「ランドクルーザーでありながらプレイフルな感じもありますので、そこに、新しい時代に合った価値観を取り入れました」。「時代が変われば提供するものも進化していかなければいけません。『ランドクルーザー70』のようにずっと変わらない形もありますが、FJのように新しいお客様に向けて出すものは、新しい価値観を入れなければいけない。そこで特にリアはとてもアイコニックにしています」と話す。

トヨタ ランドクルーザーFJのリアコンビネーションランプのデザインスケッチトヨタ ランドクルーザーFJのリアコンビネーションランプのデザインスケッチ

その特徴のひとつとして、外に飛び出したリアコンビランプを挙げる。「室内空間をなるべく広くしようとすると、ランプが中に入っているとその分スペースをとってしまいますから」と機能重視であることを強調。同様に背面タイヤも、「(床下などに収納すると)アプローチアングルを削ってしまいます。このクルマはなるべくショートにしたいですし、自信あるフレーム車です。そして室内はスペースをいっぱいに取りたい。そうするとスペアタイヤはどこに置くのかと突き詰めると背面タイヤになるんです」。

そこから背面タイヤにするとランプはどこに配するのかという思考だ。「法規要件もありますので好きなところに置くことはできません。そうすると70のように下かサイドか。そこで外に出してきちんと安全性や法規も確保したのです」と説明。当然交換性も重視し、ぶつけたとしてもランプのみの交換ですむことも考えられている。

◆ベルトラインと彫刻的アプローチ

トヨタ ランドクルーザーFJトヨタ ランドクルーザーFJ

ランドクルーザーらしさという視点ではサイドビューにもこだわった。ひと目でわかる通り、水平基調だ。「ベルトラインは人が座った時にどのぐらいにすべきかというランドクルーザーとしてのあるべき位置があります」という。それは、ランドクルーザーはいろいろなところを走ることから、「タイヤが落ちないかと外を覗き込むことなどを考慮しているからです」と話す。このベルトラインの位置の考え方は、250でも共通だという。ベルトラインが後ろで切れ上がっているのは、250と同様、後席の乗員の安心感に配慮したものだという。

キャビンは、四角い箱のようだ。「それを機動性のあるプラットフォームとどう共存して魅力的に見せるか。下回りを(ブラックにして)強く見せてその上にキャビンが箱のようにポコッと乗っているようにすると、すごく安定感があるようにも見えますし、実際、安定感もあります」とのこと。

トヨタ ランドクルーザーFJのデザインスケッチトヨタ ランドクルーザーFJのデザインスケッチ

こうした考え方をベースに、「ぶつかりやすい角を削ぎ落とすなど、彫刻的な考え方の結果このようなデザインになりました」と説明した。

一方でフロントフェンダー周りはアイコニックだ。「デザインテーマとしてサイコロがあります。サイコロの角は削ぎ落とされていますよね。それがデザインモチーフになっています。フリーダム・ジョイにもつながりますので要所要所、そういう面の取り方をとり入れていますので、そこがちょっとユニークなところかなと思います」と語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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