ジャパンモビリティショー2025(東京ビッグサイト/10月31日~11月9日)にはタイヤメーカーが出展しサステナブル技術を含めた新世代のタイヤ技術をアピールする展示など見どころも満載となった。ここではブリヂストン、ヨコハマタイヤのブースに注目した。
◆ブリヂストン:63インチ鉱山タイヤと第3世代エアフリー
ブリヂストンブース…ジャパンモビリティーショー2025
タイヤメーカーで注目の出展となったのがブリヂストン。ブースの壁面には世界最大のタイヤとなる鉱山用のタイヤ(63インチ)を展示(実物大)。展示品はダミーだが本物は1本の重量が6tにも及ぶモンスター級のタイヤだ。そのサイズ感を間近で見られる展示は迫力いっぱいとなった。
ブリヂストンブース…ジャパンモビリティーショー2025ブースの中ほどに展示されていたのは次世代タイヤのエアフリー(第3世代)。空気を充填しないタイヤとしてメンテナンスが簡便であることやサステナブルな性能に優れている点がメリット。
このエアフリーが富山市で走行が予定されているグリーンスローモビリティ(その車両がブースに展示された)へ装着されることが決まり間もなく実際に走り出す。長年開発を進めてきたエアフリーがいよいよ社会的に実装される時期がやってきたことを感じさせる取り組みとなった。
●水平リサイクルとENLITEN、循環と高性能の両立
ブリヂストンブース…ジャパンモビリティーショー2025またサステナブルの分野にもブリヂストンは力を入れる。そのひとつが従来は非常に難しいとされていたタイヤの水平リサイクルを可能にした技術だ。
タイヤを使用後に新しいタイヤへとリサイクルするこの技術は使用後のタイヤを精密熱分解(油化)することで再生カーボンブラックを生成できる。さらに二次処理によって新品のカーボンブラック並みの性能を持つ素材へと再生させることができる。また廃タイヤの分解油からケミカルリサイクルを実施することで合成ゴムの原料となるブタジエンを再生しこれら使用後のタイヤを使ったリサイクル素材を使って再びタイヤを製造することを可能にしタイヤの水平リサイクルを完成させた。
ブリヂストンブース…ジャパンモビリティーショー2025ブリヂストンブースにはその他にも同社が推し進める商品設計基盤技術であるENLITEN TECHNOLOGYやモータースポーツの世界でのサステナブル化の取り組みなどタイヤによる新技術や取り組みを積極的にPRした。
◆ヨコハマタイヤ:サステナブル×モータースポーツの最前線
ヨコハマタイヤブース…ジャパンモビリティーショー2025ヨコハマタイヤのブースにはスーパーフォーミュラのマシンが置かれ多くの来場者の注目を集めた。注目なのは同カテゴリーに採用されているタイヤがサステナブルレーシングタイヤ(ADVAN A005)である点だ。
2016年からヨコハマタイヤがワンメイク供給をはじめたこのカテゴリーでは再生可能・リサイクル原料を用いたサステナブルタイヤを用いている。リアルレーシングの世界にサステナブルタイヤを投入する同社の狙いはハイパフォーマンスとサステナブルという相反する機能を両立させる実験の場として活用するためだ。さらにスペックのみならずレースで走らせてみてドライバーのフィーリングまでをフィードバックして製品開発に生かしているのもポイント。2050年には100%サステナブルなタイヤのリリースを目標に掲げている。
ヨコハマタイヤブース…ジャパンモビリティーショー2025さらにタイヤ原料における新しい取り組みとして紹介されたのが植物原料由来のエタノールをブタジエン(合成ゴムの原料)に変換する技術(石油を使うことなく合成ゴムを作る技術)を発表した。
ヨコハマタイヤブース…ジャパンモビリティーショー2025未利用バイオマスと呼ぶ植物の残材や枯れ葉、木片などを原料としてエタノールに変換し触媒技術を使ってブタジエンに変換するというもの。合成ゴムの製造に石油を使うことなく原材料が植物由来であることからカーボンニュートラルに貢献する技術として注目されている。
ヨコハマタイヤブース…ジャパンモビリティーショー2025一方製品紹介の中で特に力を入れたのが新スタッドレスタイヤであるアイスガード8。凍結路面での滑りを抑制する手法のひとつに路面とタイヤの間に浮く水膜の吸水があるがそのために“水膜バスター”と呼ばれる新素材を採用したのがアイスガード8の大きな特徴。従来吸水に用いられていた吸水バルーンに比べて路面との接触点を63%増加させ吸水量も8%アップさせる効果がある。凍結路面で止まる曲がる性能を高めることにつながっている。




