AIの台頭によって自動運転関連のテクノロジーはハードウェアというよりソフトウェア側、いかに実際的なパターンを効率よく学習させるかがテーマ化している。「ジャパンモビリティショー2025」では「分かりやすい未来の青田売り」のような展示が、前回開催と比べて減ったと感じたかもしれない。ただ数は少ないが、ユーザーに「自動」の領域を広げ、先を見据えたテクノロジーや技術で誰も見たこともない機能やシステムを、着々と積み上げている展示がちゃんとある。三菱重工機械システムのブースがまさにそれだ。
◆「車両搬送ロボット」の可能性

目玉は「車両搬送ロボット」だ。フランスのスタンレー・ロボティクスというベンチャー企業に三菱重工が出資するカタチで、技術供与によって生産自体は日本側で行っている。例えば完成車を荷揚げ・荷下ろしの港で人に代わって車両の搬出・搬入を行う、あるいは空港や商業施設などの駐車場で自動バレーパーキングに用いられるといった用途が考えられる。フランスではすでに地方の空港やショッピングモールの駐車場で導入が始まっているそうで、日本でも千葉・酒々井のアウトレットなど、実証実験が始まっているとか。
これまでドイツのサプライヤなどから、車両側に搭載されたカメラやレーザーといった機器で、駐車場内をWiFiなどを介して車両の操作系をコントロールするといったシステムは発表されていた。が、こちらの車両搬送ロボットはもっと汎用的で、自走ユニットからプラットフォームが伸びていて、車両の床下に差し込んではホイールベースに合わせて伸縮し、8本のアームで4輪を固定。そのまま持ち上げて任意の場所へ、約10㎞/hで自走して運んでいくというものだ。つまり搬送される車両に触れる部分はタイヤだけ。車両側のセンシング機能に依存するところはまったくなく、年式を問わずどんな車両でも運べてしまう。



