今回は久しぶりのインプレッションということで、約半年ぶりにレーシングスーツを着てメディア試乗会に参加してきました。そしてその試乗車は、ドゥカティの新型『パニガーレV2』です。
実は以前、スーパースポーツ『950S』や前モデルのパニガーレV2にはストリートで試乗した経験があるのですが、新型に跨った瞬間にまず感じたのは、ポジションの変化でした。
ドゥカティ パニガーレV2S
前モデルと比べてステアリング位置がわずかに高くなり、ステップも気持ち前寄りに設定されているため、前傾姿勢がきつすぎず、ライダーへの負担が少ない印象です。私のような女性でも、無理なく上半身を支えられる自然な姿勢が取れるので、サーキットだけでなくツーリングなど長時間のライディングでも快適に過ごせそう。
今回はサーキットでの本格走行ということで、正直ちょっと緊張しました。ただ、それ以上に楽しみなのは間違いなし。今回はプロ視点ではなく、ストリート+ちょっぴりスポーツ走行を楽しむ女子目線でこのバイクの魅力をお伝えします!
◆「軽い!」これぞドゥカティ、な世界観が味わえます
ことりちゃんとドゥカティ パニガーレV2Sまず1本目の走行を終えて感じたのは、「軽い!」ということ。乾燥重量はわずか179kg。120馬力という数値以上に、扱いやすさが際立っています。取り回しも軽快で、またがって起こす瞬間からその軽さを実感できました。
今回のモデルでは、3000回転あたりからすでに全体トルクの約70%が出ているということで、低回転からの加速も力強く、街乗りでも快適そうな印象です。強さはあるけれど、暴れすぎない。そんな絶妙なバランス感があります。
なお、今回試乗したのはパニガーレV2のスタンダードではなく、サスペンションにオーリンズを採用した『パニガーレV2S』。このおかげで、コーナーへの進入時や強めのブレーキングでも安定感が高く、サーキットでの走行にもしっかり対応してくれます。
ドゥカティ パニガーレV2Sそしてモード切り替えの印象についても触れておきたいのですが、今回のパニガーレV2には「ウェット」「ロード」「スポーツ」「レース」の4つのライディングモードが用意されています。2本目の走行ではそれぞれのモードを試しましたが、驚いたのはモード毎に設定されたパワー感やレスポンスの違いです。
たとえばウェットモードでは馬力が最大95馬力まで制御され、レスポンスもマイルドに。これにより、スーパースポーツモデルとは思えないほど穏やかで優しい挙動になり、初心者でも安心して乗れる仕上がりになります。渋滞や雨天時など、街乗りでの実用性も十分に期待できるモードです。
一方、ロードモードは街乗りに適したバランスの良い特性。スポーツモードに切り替えればレスポンスが鋭くなり、より「走る楽しさ」が味わえます。そして、レースモードになると、もはやじゃじゃ馬。鋭いスロットルレスポンスと荒々しいエンジンフィールが全面に出てきて、「これぞドゥカティ!」という世界観を体感できました。
◆ドゥカティの世界を身近にしてくれる1台
ドゥカティ パニガーレV2Sこうしたモードの切り替えによって、ライダーの技量や用途に応じた柔軟な乗り方ができる点は、このパニガーレV2の大きな魅力です。スーパースポーツへの憧れを持つライダーが、無理なくステップアップするための“入り口”としても十分に機能してくれると思います。
また、パーツ類の仕上がりにも注目です。車体はV4に比べてかなりスリムで、ウィングレットも装備されていない分、よりスタイリッシュな印象。タンク容量は前モデルから2リットル減って15リットルとなり、ボディ全体が引き締まったフォルムに。シートには高級感のあるアルカンターラ調素材が使用されており、見た目にも触り心地にもこだわりが感じられます。
ドゥカティ パニガーレV2S足つきに関しては、シート高が837mm。私は身長160cmですが、両足はつかず、片足で支える感じでした。それでも軽さのおかげでバランスは取りやすく、「足がつかない=不安」という感覚は感じにくかったです。とはいえ、安定して扱うには165cm以上あると安心かもしれません。今回のようにサーキットを思い切り走るのも楽しいですが、ポジションもきつくないためロードモードでのんびり街中を流してみたり、高速道路をクルージングするような楽しみ方もしてみたいなと思いました。
今まで「パニガーレ=敷居が高い」と思っていた方にこそ、ぜひ一度このV2Sを体感してみてほしいです。軽さとパワーのバランス、そして電子制御の賢さが詰まった、まさに“ドゥカティの世界を身近にしてくれる”1台。これからスーパースポーツに踏み出したい方にも、自信を持っておすすめできるモデルでした。
ことりちゃんとドゥカティ パニガーレV2S■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★★
小鳥遊レイラ|愛称:ことりちゃん
レースクイーンに憧れてモータースポーツ業界へ。しかしMOTOR STATION TVでの出演をきっかけに走る方に目覚めてしまい、いきなり大型二輪免許を取得。現在では2輪4輪共にサーキットを走り、一昨年に4輪のレース参戦のためJAF国内A級ライセンスを取得。先日、MFJロードレース国内ライセンスを取得して、今年は2輪でもレースに参戦予定。イベントMCから2&4輪の耐久レース参戦まで楽しむモータースポーツ女子。身長は160cm。




